第四幕 第二場
おっぱい山の麓に広がる森を歩く二人の男女の姿があった。それは寝間着の上にローブを羽織った巨乳姫マンスロートと仕立て屋のハンスルだった。ハンスルの両手は背中にまわされ、その両手首には錠がはめられている。そして錠から伸びる鎖の先をしっかりと握りしめるのはマンスロートだ。
「おい賊。ちゃちゃと歩けや」
マンスロートが罵るような口調でハンスルに言った。
「あ、あの姫様」ハンスルが言った。「俺は賊なんかではありません。ただの一般庶民です」
「うるせえ。だったらなんで騎士のベンヤミンが、あんたのことを賊って呼んだんだ?」
「さ、さあ?」ハンスルはとぼける。「何かの聞き間違えじゃないのかな。俺はたんなるおっぱい王国の一般庶民です。間違っても賊などではありません」
「ほお、そうかい。庶民ごときが、おっぱい王国の王女であるこの私の胸を揉んだんだ。それも無理矢理何度も繰り返して。お前、絞首台でブランコ決定だな」
ハンスルは情けない悲鳴をあげる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。あ、あれは不可抗力です。そ、それに姫様は自分で気づいてないですが、とても気持ち良さそうにしていましたよ。あんな甘い声までだして」
「ああっ! 何だって!」マンスロートはハンスルをにらみつけ威圧する。
「ご、ご、ごめんなさい。ゆ、ゆ、ゆるしてください」
「許してほしかったら、ちゃちゃと歩けや。急がないと間に合わなくなる」
「あ、あの姫様。お急ぎみたいですけど、どこへ向かわれるのですか?」
「シュヴァンツ王国第二王子ローラントのところよ」
「ああ、そういえば、今日は王子様がこのおっぱい王国にやってくる日でしたね……ってちょっと待ってください」
そう言うとハンスルは後ろを振り返る。
「お城は向こうですよ。どこへ行くんですか?」
「お城には戻らない。戻るかどうかはこれからのローラント王子の対応しだいよ」
「あ、あの姫様。意味がよくわからないのですが」
「あんたにいちいち説明するつもりはないわ」
「そうですか」ハンスルはため息をつく。
「……ハンスルさん」
マンスロートは前を見据え神妙な態度で言った。
「昨日はありがとう」
「え?」
ハンスルは予想外の言葉にほうけた声をあげた。
「何がですか?」
「たしかに私には自覚が足りてなかった。それを気づかせてくれてありがとう」
「ああなるほど。胸を揉まれると気持ちいいってことを、今まで知らなかったんだな」
マンスロートの拳がハンスルの腹にめり込む。
「おまえやっぱり絞首台でブランコな」




