第三幕 第八場
「ふざけた事いわないで!」
巨乳姫マンスロートの怒鳴り声が洞窟内に響いた。
「誰もふざけてなどいやしないよ」
魔法使いリンクランクが言った。
「巨乳姫。お前さんには正真正銘魔女の血が流れておる」
「そんなの嘘よ。だって私は普通の人間よ」
「そう思いたければ、そう思っておればいい」
リンクランクは振り返ると呪文を唱えた。
「ブリックレーブリット」
洞窟の中央に巨大な丸いベッドが突如として出現した。
リンクランクはベッドに歩み寄った。
「良い出来じゃ」
膝をつくようにしてベッドに乗ると寝床を確かめ始める。
「とてもふかふかじゃのう」
そう言うとマンスロートに下卑た笑みを向けた。
「巨乳姫もこれなら気に入るだろう」
マンスロートは顔をしかめた。
「私に手を触れたら許しませんよ」
「許さない?」
リンクランクは笑い声を漏らした。
「許さないとはどういうことかね? もしワシがお前に触れでもしたら、どうするつもりなんじゃ?」
「我がおっぱい王国最強騎士の二人を持って、あなたを八つ裂きにしてやります」
「ワシを殺すのか。でもそれは止めた方がいいぞ。ワシが死んだら大変な事になるからのう」
マンスロートは鼻を鳴らす。
「ふん、私にそんなハッタリ通用すると思って」
「ハッタリなどではない。お前も見ただろあの悪魔の小人を。あれはワシが召還した悪魔なんじゃがな、今はワシの魔力でそのすごすぎる力を押さえ込んでいる。もしワシが死んでしまったら、ヤツはその力を解放し、本能のまま好き勝手暴れ回るだろうさ。そうなったらお前も、このおっぱい王国もお終いじゃぞ」
マンスロートの顔が青ざめる。
「そ、そんな……」
「さあわかっただろマンスロートよ。大人しく服を脱いでベッドに来てもらおうか」
「嫌!」マンスロートは叫んだ。「助けてお父様! ベンヤミン、ゲオルク助けてよ!」
「こんなところに助けが来るはずもなかろうに。叫ぶだけ体力の無駄じゃ。どうあがこうと、お前はワシの子供を産む運命なのだ。そして生まれた偉大な魔力を持つ子供にワシは乗り移り、その力を持ってして世界を征服し、長きにわたり世界の支配者として君臨してやる」
リンクランクが高笑いし、マンスロートが目に涙を浮かべ恐怖で震えていると、洞窟の天井からなにやら男の叫び声が聞こえてきた。その叫び声はどんどんと大きくなる。
「なんじゃ?」
リンクランクが天井を見上げたその瞬間、天井から降ってきた巨大な落下物に押しつぶされた。大きな衝撃音が洞窟内に響き渡り、ベッドは真っ二つに折れ曲がる。
マンスロートは突然の出来事に呆然としている。
「……な、なんなの?」
ベッドの残骸に横たわるリンクランク。それに覆いかぶさるようにして倒れていたのは、仕立て屋のハンスルだった。
ハンスルは痛みに呻きながら立ち上がった。
「あんなところに落とし穴があるなんて聞いてないぞ。でもおかげであの騎士から逃げ出せたぜ、っておい」
側に倒れているリンクランクに視線を落とす。
「じいさんこんなところで、なに倒れているんだ?」
返事はなかった。リンクランクは身じろぎ一つもしない。
ハンスルはかがみ込むとリンクランクを揺さぶった。
「おい、じいさん大丈夫か?」
やはり返事はない。
「……まさか」
ハンスルはあわててリンクランクの脈を確かめる。
「し、死んでる!」




