幕間 其の二
「こいつは大変だ!」狼が大声で言った。「ティーア劇団は悪者じゃないか!」
「なんということだ」狐が顔をしかめる。「動物達の劇団の座長さんを務めるからには、きっといい人間だと思っていたのに。それがとんだ悪党だったとは」
「きっとティーア劇団の座長は、動物達をこき使う悪いヤツだ。そうに決まっている」兎が言った。「だいたい、ちょびヒゲを生やしたタキシード姿の男なんてうさんくさすぎる」
男は自分のちょびヒゲをなでる。
「そうでしょうか。私はそのティーア劇団の座長さんは、とてもいい人だと思っていますよ。名前もクレープスという素敵な響きをしていますし、きっとすばらしい紳士ですよ」
そう言うとタキシードに胸元にある蝶ネクタイを正した。
「そうなのかな?」狼が首を傾げた。
「私たちの目の前にいる、ちょびヒゲを生やしたタキシード姿の紳士がそう言うのならば、そうなんじゃないかな」狐が言った。
「うん、きっとそうだね」兎が納得する。「目の前いる紳士がそう言っているんだから、そうに違いない。だからちょびヒゲを生やしたタキシード姿のティーア劇団の座長はいい人なんだ。ぜったいに悪い人じゃないよ」
男は満足げな笑みを浮かべた。「わかっていただけたでしょうか?」
三匹はうなずいた。
「それにしても巨乳姫に貧乳姫」狼が言った。「この呼び名はどうなんだろ?」
狐が言う。「所詮人間のオスなんてメスを胸でしか判断できない生き物なんですよ」
「こらこら君たち」男が言った。「口が過ぎますよ。すべての人間の男性がそうではありませんからね。気をつけてくださいよ」
「でも人間の中には、巨乳好きだったり貧乳好きがいるのも事実でしょ」兎が言った。
男がよわったていで頭をかいた。
「……ええ、そうですよ。君たちは人間の事をよく知っているね。たしかに人間という生き物は女性の胸が大好きです。時には争いになるほでにね」
「人間という生き物は愚かだ」
狼が嘆かわしげに首を横に振った。
「そんなことで争うとは信じられない」
狐も嘆かわしげに首を横に振った。
「どうしてそうまでして争うの?」兎が問いかける。
「大変いい質問です。答えは単純明快、そこに胸があるからです」
男が答えた。
「じつを言いますと、この『おっぱい王国の花婿さんの乳選び』というお話は、おっぱい王国で過去から続いている巨乳派と貧乳派の争いのお話でもあるのですよ」
三匹が驚き顔になる。「なんだって!」声をそろえて叫んだ。
「いい表情ですよみなさん。それではそろそろお話を再開しましょう——」




