第一幕 第一場
昔々あるところに、おっぱい王国という国があった。
緑豊かな自然に囲まれたおっぱい王国には、赤瓦の屋根に白壁の建物が建ち並び、城下町を形作っていた。その建物群を縫うようにして石畳の道が城下町の奥へと走り、ひときわ目立つ大きな建物へと誘う。大理石の壁にいくつもの尖塔がそびえる絢爛豪華なその建物は、おっぱい王国のお城だった。そんな豪奢なお城の背後には、二つの大きな山がそびえ立っている。
「そんなの私は嫌です!」その悲痛な叫び声は、お城の玉座の間に響いた。
お城の玉座の間の奥で、猫足の豪華なイスに腰掛けるヒゲを生やした王様がため息をつく。
王様の両隣にはやせた男と太った男が立っている。それはおっぱい王国の大臣達だった。
王様と大臣達が見据える先には、大きな胸の少女が立っていた。少女は背中が大きく開いた白いドレスを着ていたが、長い金髪の髪が肩甲骨あたりまで伸び、白い柔肌を隠していた。少女は柔和な顔をできるだけ険しくさせ、王様をにらみつけている。
「我が娘、マンスロートよ」王様が少女の名前を呼んだ。その名前はこの国のお姫様の名前だった。「これはもう決まった事なのだよ。我がおっぱい王国に、隣国であるシュヴァンツ王国の第二王子、ローラント王子が花婿としてやってくる。お前はそのローラント王子と結婚し、おっぱい王国を繁栄へと導くのだ」
「お父様、そんなの勝手すぎますわ」マンスロートが言った。「私はまだ十七になったばかりだというのに、もう結婚だなんて早すぎます。それに私の気持ちは——」
「巨乳姫様よ」太った大臣がマンスロートの言葉を遮った。「あなたは一国の王女として生まれたのです。お国の繁栄のためにも、ご自身の想いはどうかお忘れください」
マンスロートはくやしげに拳を握り、床に視線を落とす。
「お気持ちはお察します」やせた大臣が言った。「私個人としては、一人の少女としてあなたには自由に生きてほしいと思っています。だがしかし、おっぱい王国の王女として生まれたからにはそうもいかないのです。あなたが背負った責務、どうかご理解ください。巨乳姫」
「巨乳姫と呼ばないで!」マンスロートが勢いよく顔を上げた。「私の名前はマンスロートです。巨乳姫と呼ばれると、まるで私が胸だけしか価値のない人間のように聞こえるではないですか」
二人の大臣は頭を下げると、声をそろえて言った。「失礼しました。マンスロート姫様」
王様が気を取り直すかのように咳払いをする。「マンスロートよ。この婚姻はもう決まった事だ。もはやどうにもならんぞ」そこで声を強める。「王女として覚悟を決めるのだ」
マンスロートは目に涙を浮かべると王様に背を向ける。
「お父様の馬鹿!」
そう叫ぶと、泣きながら玉座の間から走り去ってしまう。




