第二幕 第十場
おっぱい王国のお城の玉座の間では、王様が満足げな笑みを浮かべていた。
王様の見据える先には、大きな胸の少女が立っていた。少女は背中の開いた白いドレスを着ていたが、長い金髪の髪が肩甲骨のあたりまで伸び、白い柔肌を隠している。少女はおどおどとした様子で王様を見ていた。
「どこからどう見ても、我が娘にしか見えない。すばらしいぞリーゼル」
王様が少女の名前を呼んだ。
玉座の間に集っていた大臣達や騎士達、小間使いの女達に従者のキュルトヘン。みなは目の前にいる少女を驚き入った様子で見つめている。
巨乳姫マンスロートに変装した鵞鳥番のリーゼルが言った。
「あ、あの王様。やはり私にはこんな大それた事は——」
「リーゼルよ」
王様がリーゼルの言葉を遮った。
「そなたの不安な気持ちはよくわかる。だがもしもシュヴァンツ王国の王子に、結婚相手である姫が逃げ出したと知れたら大問題になる。下手をすれば戦争だ。だからそうならないよう、マンスロートを演じておくれ」
「で、でも王様。私には姫様を演じる自信がありません」
「大丈夫だ。安心せい」
王様は玉座の間に集う人々を手で指し示す。
「ここにいる者達も、お前がマンスロートを演じれるよう協力させる。案ずる必要はない。マンスロートが見つかるまでの少しの間の辛抱だ。これが終わったらお前には褒美をはずむぞ」
リーゼルはためらいがちにうなずいた。
「……わ、わかりました」
「王様」
そう言って前に歩み出たのは、赤い瞳の騎士ベンヤミンだった。
「巨乳姫の捜索についてですが、町中を探しまわりましたが手がかりすらつかめておりません」
「王様」
そう言って前に歩み出たのは、青い瞳の騎士ゲオルクだった。
「巨乳姫様が誰にも見とがめられず、町を出たとは思えません。もしやこれは何者かによる誘拐なのでは?」
「誘拐だと?」
王様が眉根にしわを寄せた。
「よもやそんな事が——」
突然大きな爆発音が聞こえたかと思うと、お城が揺れだした。人々は不意の出来事に慌てだす。揺れが収まると外から二人の男の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「いったい何事だ」
王様が窓の外に目を向けると、二つの人影がおっぱい山に向かって走っていく姿を捉えた。
「まさか賊か。もしやマンスロートの失踪に関わってるかもしれぬ。引っ捕らえるのだ」
二人の騎士は返事をするとすぐさま走り出し、玉座の間から姿を消した。
玉座の間にいる人々が誘拐という言葉を口にし、ざわめき始める。
王様は厳しい表情で、賊が逃げ出す先にあるおっぱい山を見据えてつぶやく。
「嫌な予感がする。マンスロートがいなくなったのはお前の仕業か。カーテルリースヘン」




