第二幕 第七場
日が傾き、夕日によっておっぱい王国が赤く染められる頃、お城に付設された厩舎に向かって苛立ちまじりに歩く男の姿があった。それはおっぱい王国の王様で、その後ろには二人の大臣がついて歩いてくる。
「王様どうか落ち着いてくださいませ」太った大臣が言った。
「ええい、落ち着いていられるものか」
王様の顔つきは険しかった。
「まだマンスロートは見つからぬのだぞ」
「だからといって、自ら探しに行かなくともよいではないですか」やせた大臣が言った。
「貴様らは事の重大さがわかっておらぬ。もしもマンスロートが結婚が嫌で逃げ出したとシュヴァンツ王国側に知れたら、取り返しのつかない事になるぞ。これまで両国間で気づき上げてきた信頼は失われる。下手をすれば挑発行為と見なされ、戦争になる危険性もあるのだぞ」
「それは考えすぎなのでは」太った大臣が言った。
「愚か者が!」王様が怒鳴った。「もともとおっぱい王国とシュヴァンツ王国は敵同士。いつだって火種を抱えてきた。だからこそ両国間で婚姻を交わし、和平を結ぼうというのに」
そこで歯ぎしりをする。
「あの馬鹿娘め。ぶち壊しにしよって!」
王様が愚痴り、大臣達がなだめる。そうこうしているうちに厩舎へとたどり着いた。
「ファラダ!」王様が叫んだ。「マンスロートを探しに行くぞ!」
馬房にいたファラダが王様に顔を向ける。
「どうしたんですか王様。そんなに慌てて。それに巨乳姫を捜しにいくってどういうことですか?」
「くわしい説明している暇はない。急ぐぞファラダ」
王様がファラダに歩み寄る。
その時だった。厩舎の外から歌声が聞こえてくる。
「私はかごの中の小鳥」
それはまぎれもなくマンスロートの歌声だった。
「そんな私のかごの扉を開けるのはいったい誰?」
それを聞いた王様はすぐさま厩舎の外へと飛び出した。
「この馬鹿娘!」
しかしそこにいたのは鵞鳥番のリーゼルだった。リーゼルは突然王様に怒鳴られたため、顔を青ざめさせている。それとは反対に、後ろをついて歩く鵞鳥はのうのうとしていた。
「あ、あの王様」
リーゼルが怯えた表情で言った。
「わ、私……な、何か粗相を……」
王様はしばしの間呆気にとらわれる。
「……あ、いや、そのすまん。あまりにも娘の歌声に似ていたものだからつい」
そう言うとリーゼルをまじまじと見つめる。
「髪の色や長さは違うが、お前の容姿は娘にともてよく似ておるの」
胸に視線を移す。
「胸は普通のサイズだが」そこではっとした表情になる。「そうかその手があったか」
王様はリーゼルを力強く指差す。
「今からお前には巨乳姫マンスロートになってもらう!」
「……え?」リーゼルの困惑が驚きへと変わる。「ええ!」




