第4話 襲撃 side B
あ、あれ?どうして俺はいま河川敷にいるんだ?
蒼汰は近所にある川の橋の下にいた。
そうだ。早く家に帰らないと、兄さんと母さんが待ってるから。
ゆっくりと体を起こし、ズボンについたほこりを払う。
履いているスリッパには紫色の液体が付着している。
蒼汰「?あれ?これって。」
後ろから荒い息遣いが聞こえる。嫌な予感が体中を走る。
ゆっくりと振り返る。
そこには倒れた兄がいた。
蒼汰「あ、ああ。ああああ。」
*
理解ができなかった。
目の前で母の首が飛んだ。
蒼汰「…は?」
空間に空いた穴から飛び出した男がこちらをギロリと睨みつけ、とびかかる。
兄「っく!」
兄が目の前にある机の脚を持ちそいつに向かって投げつける。
蒼汰「な、なに?何が起こってるの!?」
机が宙を舞う。男はしゃがみ込んで机を避ける。
その手には確かに剣が握られていた。
兄「転移!!」
兄の声に反応し、飛んで行ったはずの机が突然その男の目の前に現れる。
『ガッシャーン!』
兄「蒼汰!!」
兄が肩を抱きしめてくる。
瞬間周りの空間が歪んだ。
レギス「逃がすか!」
机の裏から男が飛び出し、剣を振り下ろし、兄の肩に刺さる。
兄「転移!!」
瞬間地面に穴が開き、落ちた。
『ドサッ』
頭はぐちゃぐちゃだった。
*
蒼汰「う、うおぇぇ」
蒼汰は我慢が出来ず川のそばで吐いてしまった。
胃液の酸っぱい匂いが嫌でもここが現実であることを教えてくれる。
蒼汰「はぁ、はぁ、に、兄さん…!」
蒼汰は倒れている兄のそばに駆け寄る。
兄「…蒼汰様。無事ですか?」
兄は肩を抑えながらゆっくりと体を起こした。
蒼汰「な、何が起こってるの?ねぇ?さっきまで家にいて!家にいて…」
脳裏に宙を舞う母の頭がフラッシュバックする。
蒼汰「っう。」
溜まらず蒼汰は再び吐いてしまった。
兄「…まさか、こんなことになるとは…ごめんなさい…」
蒼汰「な、何言ってんの?それにその肩!怪我してて!」
兄「落ち着いて聞いてください。」
兄の肩からは紫色の血が流れていた。
兄「あなたは、この世界の住人ではないのです。」
蒼汰「…は?」
兄「あなたは、別世界の魔王の子どもなんです。」
吹き抜ける風は蒼汰の前髪を揺らした。
蒼汰「な、何言ってるの?」
兄「私は魔族です。こんな怪我すぐに治ります。」
兄は真剣な目をしていた。
兄「あなたも同じ、人間じゃあないんです。」
蒼汰「ふざけないでよ…」
兄「信じられない気持ちもわかります。ですが――」
蒼汰「うるさい!!意味わかんないよ!!」
目にたまっていた涙が頬に伝う。
人間じゃない?魔王の子?
そんなのを信じろっていうのか?
兄「飲み込むのには時間がかかると思います。ですが、それが真実です。」
蒼汰「…!!そんなのっ!」
蒼汰は言葉を失った。
兄「これで少しは理解してくれましたか?」
兄の頭に2本の角が生えていた。
蒼汰は膝から崩れ落ちた。
砂利で凸凹した地面に膝をついたのに、痛みは感じなかった。
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