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境界線の復讐者~勇者の子に復讐を~  作者: 春間 来善


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第3話 世界 side B

家に帰ると蒼汰はソファに横になった。


大学に行けるかもしれない…


でも、良いのか?家族は俺のために必死に働いてくれているのに、俺だけ楽しんで。


別にいいじゃないか。自分の人生だ。家族は関係ない。


違う!そんなの良いわけがない!


頭のなかがぐちゃぐちゃで落ち着かない。


整理するようにゆっくりと目を瞑る。


瞼の重みがまるで将来への不安のように感じた。


*


蒼汰「っは!!」


目を覚ました蒼汰は慌てて時計を確認する。時刻は20時を過ぎていた。


兄「お、起きたか?」


洗濯物を畳む兄が蒼汰を見て微笑む。


蒼汰「ご、ごめん!寝ちゃって!!」


母「大丈夫よ。それより、ご飯は今から作るからもうちょっと待っててね。」


優しい母の声がキッチンから聞こえる。


蒼汰「あ、うう。ごめん。」


蒼汰は胸が締め付けられるようだった。


そんな様子をみて、兄がそっと蒼汰の肩に手をのせる。


兄「蒼汰。お前はいい子だ。兄ちゃんたちはそんな蒼汰の為ならなんだってできる。もっとわがままを言ってもいいんだぞ。」


兄の目は優しかった。


母「そうよ、蒼汰。」


エプロンで手を拭きながらキッチンから母が蒼汰のもとにやって来る。


母「あなたのその家族思いなのは凄くいいところ。でもね、蒼汰はまだ子供なの。だからもっと私たちを頼ってもいいのよ。」


母が優しく蒼汰の頭をなでる。


母「本当にこんなにいい子に育って…お父さんが知ったらきっと喜ぶわ。」


その優しい目には涙が浮かんでいた。


蒼汰「…母さん、兄さん…」


蒼汰は優しい二人を見て霧がかかっていた心が晴れ渡る。


蒼汰「…あのさ、実は俺、大学行こうと思うんだ。」


兄「え?」


母「…本当に?」


兄と母は目を丸くして蒼汰を見つめていた。


蒼汰「うん、スポーツ特待ってのがあるらしくてさ、お金で迷惑はかけないから――」


母「蒼汰~~!お母さん嬉しいわ~。」


母が、蒼汰の髪がぐちゃぐちゃになるほど頭をなでる。


母のその力は異様に強く感じた。


兄「お金の心配なんかするな。兄ちゃんがもっと働くさ。それよりも、蒼汰が大学進学を決意してくれて、兄ちゃんは嬉しいよ。」


兄は肩をポンポンと叩いた。


兄「…もし、――様が知れば、きっと泣いて…」


兄の小さな声は蒼汰には聞こえなかった。


母「よーし!そうと決まったら!母さん料理頑張っちゃうわね!!」


母がエプロンを結び直しキッチンに向かう。


兄「蒼汰、行きたい大学はどんなところなんだ?教えてくれ。」


蒼汰「え、ええとパンフレットを貰ってきてて、」


キッチンに立った母はコンロに火をつけようと捻る。


『チチチチッ』


しかし、なかなか火はつかない。


蒼汰「あった。これがそのパンフレットーー」


そんな母の後ろ姿が蒼汰の視界に映り、体が固まる。


母のすぐ横の空間が歪んでいた。


母「コンロの調子が悪くてなかなか火がつかないわね…久しぶりあれ使おうかしら。」


母は人差し指を歪んだ空間の付近で突き立てた。


母「…燃えろ」


蒼汰の中に嫌な悪寒が走る。


蒼汰「母さん!!」


母の指先に火が付く。


瞬間歪んでいた空間に燃え移り、ぽっかりと穴が開く。


母がそこに視線を送る。


母「!あなた?」


飛び出してきたのは自分と同い年くらいの男だった。


その手には漫画やアニメでしか見たことの無い、剣が握られていた。


『バシッ』


宙を舞う母の首。


体だけがその場に残った。


この日、俺の世界は壊れた。


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