第17話 道筋 side A
レギス「!?」
一瞬空気が重たくなった。それも驚くほどまがまがしい重さ。
レギス「…ま、魔王…?」
全身が震える。
なんで?どうやって?どうして?
呼吸が荒くなる。
どうやってきたかは分からない。でも、奴が来た理由なんて1つしかないじゃないか。
奴は、俺を…
レギス「ひぃ!」
ベッドに飛び込み、頭から毛布をかぶる。
ガタガタと震える全身を押さえつけるように目を瞑る。
レギス「ごめんなさい。ごめんなさい。」
いやだ、魔王と戦いたくない。
俺のせいで、俺が魔王の家族を殺したせいで。
何度も夢で出てきた魔王の姿が脳をかすめる。
足を握る魔王はいつもひどく暗い目をしていた。
レギス「ごめんなさい…ごめんなさい…」
その声は毛布に吸い込まれ消えていく。
もし、魔王がこの世界で暴れたら…
父が手に入れたこの平和を再び魔王が壊してしまったら…
そんなの全て俺のせいじゃないか。
俺のせいで、魔王が復活してしまった。
対話なんて理想を追いかけてしまったせいで。
俺が対話を途中であきらめたせいで。
あの時、俺が戦わず対話を選んでいたら。
あの時、俺があそこに一人で残っていたら。
俺があの時、魔王に殺される選択を取っていれば。
そうすれば、魔王は復活しなかったかもしれない。
思考がぐちゃぐちゃでまとまらない。
恐怖だけが全身を包む。
俺のせい…
全て俺のせい…
レギス「ごめん、なさい…ごめんなさい…」
目には大量の涙をためていた。
どうすれば、俺はどうすれば…
責任を、責任を果たせ。
全部、お前のせいだ。
全部、俺のせいだ。
夢のなかで魔王に言われたセリフを反芻する。
分かった。分かったよ。
戦う。戦わないと。
俺が勇者として、責務を全うしないと。
毛布から飛び出し剣を手に取る。
ひんやりとした冷たさが指先に走る。
それが凄く痛かった。
*
リム「あ。レギス!さっきのって!」
部屋を飛び出すと彼女が険しい表情をしていた。
レギスは黙ったまま頷く。
リム「やっぱり、魔王が…」
彼女の顔は恐怖に染まっている。
リム「わ、私も今転移魔法で飛んできたんです。凄く嫌な予感がして。」
レギスは彼女の横を素通りする。
リム「レ、レギス?どこに?もしかして、魔王を倒しに?」
返事はしない。
リム「待ってください!まずはマージ様とバウンド様の指示を待ちましょう!それに魔王がどこにいるのか分からないですし!」
今はただ、奴の首を取る。勇者として、復讐の当事者として。
その目に勇者としての輝きは皆無だった。
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