第16話 成果 side B
目の前で倒れているもう動かない兄。
その手を両手でギュッと握りしめる。
背中に生えた翼はゆっくりと閉じ、消える。
頭に生えた角も煙のように消えていく。
そこに残ったのは、兄の死を悲しむ人間の男の子だった。
*
指先に力を込める。空間は真っ黒に染まる。
その闇をただ漠然と眺める。
その目に光は無い。
消えてしまいたい。
あれから数日。何も飲まず、何も食べず。ただ兄とここで過ごしている。
この闇に飲み込まれてしまいたい。
真っ暗な倉庫に月明かりが差し込む。
照らされた蒼汰の瞳はキラキラと輝いていた。
【ライログ「…俺の復讐をしようなんて考えないでくれ…」】
蒼汰「無理だ…無理だよ…兄さん…」
【ライログ「蒼汰…お前は…優しい子だ…お前に復讐は似合わない…」】
瞳の輝きはやがて頬を伝い、落ちる。
*
母の首は急に現れたあの男によって斬られた。
兄もあいつに殺された。
心の熱がひいていく。
まるで自分の中で何かが壊れたようだった。
指先の闇で空間を切る。
蒼汰「兄さん…ゆっくり休んでね…」
闇に兄が吸い込まれる。
蒼汰は目を瞑り自らをその闇にゆだねる。
これで終わり、すべてが終わる。
本当に?
これで、終わりでいいのか?
…
じゃあどうする?
…
ここで全て諦めるのか?
…
どす黒い何かに飲み込まれる。
終われない。
こんなところでは終われない。
全て、終わらせる。
飲み込まれた闇の先に小さな光が見える。
蒼汰はそこに向けて指先を向ける。
闇は裂け、空間に穴が開く。
飛び込んだ先にあったのは、2色の空が広がるそんな世界だった。
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