第14話 撤退 side AB
突如現れた魔族。使った魔法とその見た目。
レギス「…ライログ。やっぱり、あの時の攻撃じゃ倒せてなかったのか…」
ベクト「ライログってあの魔王の側近のか?」
レギス「…はい。」
レギスの目には迷いが生じていた。
ベクト「…もう対話は無理だ。倒すぞ、レギス。」
レギス「…でも、」
ベクト「まだやるのか?次は本当に死ぬぞ?」
レギス「…分かりました。」
レギスは背負った剣を抜き取り、地面を蹴った。
呼応するようにベクトも斧を持ち地面を蹴る。
蒼汰「!」
レギスに向かって刃物が飛んでいく、しかしレギスは足を緩めない。
直前に飛ぶ刃物は当たらない。
ライログ「転移。」
瞬間、かわしたはずの刃物が目の前に現れる。
レギス「!?」
ベクト「甘い!」
ベクトはレギスの進行方向、刃物の軌道上に斧を差し込む。
刃物は斧に当たり、床に落ちていく。
ライログ「蒼汰!」
蒼汰「はい!」
斧に進路を遮られ、足を緩めたレギスに刃物が飛んでくる。
レギス「…ック!」
剣で刃物を捌き致命傷を避けるが、体にはいくつも切り傷ができた。
ベクト「レギス!」
レギス「まだまだ!」
だが、足は止まらない。
あと数m先、このままいけば、奴を討てる…
もう覚悟は決めた。
地面を強く踏みしめる。
ライログ「転移」
瞬間足元が歪む。つま先が、右を向いていた。
レギス「え?」
体は勢い良く右に傾く。
ライログ「今だ!蒼汰!」
ベクト「まずい!」
蒼汰「くらえ!」
幾つもの刃物がレギスに向かい降り注ぐ。
レギス「ック!」
『ザシュザシュ』
ベクト「レギス!」
全身に無数の切り傷と共に、血だまりを地面に作る。
レギス「はぁ…はぁ…」
『バタン』
足元に転がる大量の刃物の上に血まみれのレギスは倒れた。
リム「レギスさん!」
ベクト「貴様ら!!」
ライログ「転移」
大きく踏み込んだベクトの足元もまた歪んでいた。
体はバランスを崩し大きく傾く。
ベクト「っく。」
斧を地面にたたきつけ、体を支える。
そうか、刃物が四方から飛んでくるカラクリはこれか。
魔王の子の魔法は空間を歪ませる。
そして歪ませた空間をライログの転移で持ってくる。
この場は完全に奴らの狩場だ。ここにいては勝てない。
ベクト「リム嬢ちゃん!撤退だ!ゲートの準備をしろ!」
リム「で、でも、倒さないと…」
ベクト「早く!」
リム「は、はい!」
リムはゲートに向かい強く力を込める。空間にできた穴は少しずつ大きくなっていく。
ベクトはダッシュでレギスの元に向かう。
ライログ「させません。転移。」
ベクト「っく。」
足元に歪んだ空間が現れ体のバランスを大きく崩す。
『ドタッ』
ベクト「クソっ!どうする!レギ――!!」
魔王の子がレギスの元に歩いていくのが視界に映り、言葉が止まる。血だまりの中心で剣を握っているレギスの目は死んでいなかった。
ライログ「…?」
*
そうだ。こい、魔王の子。
俺が奴に近づけないなら、来るのを待てばいい。
ライログ「…!」
蒼汰はレギスの目の前で止まり、刃物を振り上げた。
蒼汰「終わりだ」
今だ。
隙だらけの腹部に向けて剣を、
ライログ「転移!」
『ザシュ』
振り抜いた。
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