第11話 激突 side B
町の外れにある廃倉庫。
中に散乱した大量の物の中には危険なものもある。
小学生の頃、秘密基地にして遊んでいたのが、母さんにバレて怒られたことがあった。
怪我をしたら危ない。
あの日の母の怒りは今でもよく覚えている。
蒼汰「ごめん母さん。約束破るね。」
フェンスをよじ登り倉庫内に侵入する。
ここなら、この魔法も上手く活用できる。
母が死んだあの日から1ヵ月。魔法の扱いはだいぶ分かってきた。
今では最大10か所空間を生み出せる。
蒼汰は倉庫内に歪んだ空間を配置し、持ってきた沢山の刃物を準備する。
後は奴らが来るのをただ待つだけだ。
握りしめた包丁が光を反射する。
埃っぽい倉庫の暗さは今の蒼汰にとっては心地よかった。
*
この倉庫に来てから5日ついにその時が来た。
空間が大きく渦を巻いて歪んだ。
思わずつばを飲み込んだ。
蒼汰はゆっくりと呼吸をし、空間を睨みつける。
蒼汰「…?」
しかし、空間は一向に開かない。
そう言えば、あの日、母さんの横に現れた空間は燃えていた。
たしか、母さんの指先が燃えていた。
あの時は母さんの指に火が燃え移ったように見えたけど、逆なのか…?
つまりあの空間はこちらから攻撃しないと開かない…
…
蒼汰は人差し指の先に力を込める。発生した小さな歪みをその空間に向けて投げる。
歪みは衝突し、小さな穴を作り、広がる。
広がった穴の先には3人の人影が見えた。
*
ベクト「ここは…なんだ?」
リム「なんだか薄暗いですね。」
斧を持った大柄な男。眼鏡を掛け、三つ編みの女。
そして
レギス「魔王の子!!いるんだろう!!」
母さんを殺した、剣を背負った男。
心臓が大きく脈打つ。
リム「ちょ、ちょっとレギスさん!?」
ベクト「大丈夫だ。嬢ちゃんはゲートに集中してくれ。」
リム「は、はい!」
黒い感情が溢れ出す。
レギス「お前と話がしたい!!!」
…は?
思考が停止する。
話がしたい?
何を言ってるんだ?今更何を話すことがある?
溢れ出した黒い感情が脳を焼く。
許さない。許せない。
…
…奴は、
…油断している?
…
蒼汰は物陰から立ち上がり3人の前に姿を現す。
蒼汰「なんだ…」
距離にして20m先。奴の目は何か希望を持っているようだった。
間違いない、奴は今油断している。
レギス「話し合おう!俺たちは何か大きな勘違いをしている可能性がある!」
蒼汰「…」
勘違い…
手に握っている包丁に力がこもる。
蒼汰「…話し合い?」
小さく笑う。
勘違いで、母さんが殺されたってことか
そうか…
…ふざけるなよ。
蒼汰「…わかった。」
包丁を物陰に向かって投げる。
その先にあるのは配置していた歪んだ空間。
それに吸い込まれた包丁は軌道を変え、物陰の中を飛んでいく。
そして、別の空間に吸い込まれ、また軌道を変える。
真っ黒に染まった目は奴から離さない。奴の死ぬ瞬間をこの目に焼き付ける。
レギス「良かった!やはり対話で――」
ベクト「危ない!」
奥にいた斧を持った男が身を挺して奴を守る。
ベクト「ック!」
蒼汰「ッチ。」
お互い転がるように物陰に隠れる。
リム「えっ?えっ?」
失敗した。
だがまだだ。この場所は今日のために沢山罠を張っている!
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