第7話 魔法 side B
母の死から数分。血だまりができているリビングに2人はいた。
ライログ「…魔法というのは、魔力を用いた現象のことで、私の使う転移魔法は自身が行ったことのある場所に残留した魔力をたどり…」
蒼汰「説明はいいから、それより俺はどうすればその魔法を使えるようになるの?」
ライログと向かい合うように椅子に座る。ライログは小さく震えている。
ライログ「…ま、魔力の覚醒です。魔族は生まれつき使える魔法が決まっています。蒼汰様の場合、お父様の空間魔法か、お母様の炎魔法のどちらかかと…」
蒼汰は自分の手をジッと見つめた。
蒼汰「…“魔族は”?人間は違うの?」
ライログ「に、人間は魔族と体のつくりが違います。私たち魔族は決まった魔法が出力されやすいようできています。逆に言えば、それ以外の魔法は出力が困難。しかし、人間はその器官がない。故に魔力さえあればどんな魔法も扱えます。」
蒼汰「…つまり、俺が使える魔法は1つだけ…」
手をグッと握りしめる。拳が震えていた。
蒼汰「じゃあ、その魔力の覚醒ってやつ。どうやるの?」
ライログ「…多分ですが、もう覚醒しているかと。」
ライログは気まずそうに目線を逸らした。
蒼汰「え?でも何も…」
ライログ「…。」
蒼汰「どうすればいい?教えて。」
ライログ「…。」
ライログは口を閉ざしている。まるで何か葛藤しているようだった。
蒼汰「教えてよ、兄さん…」
その声を聞きハッとしたように目を見開いた。
ライログ「…ゆ、指先に、力を込めて…蒼汰ならきっとできる…。」
それは自分が尊敬する兄の声だった。
言われた通り右手の指先に力を込める。
指先がプルプルと震え力を込めた指はつりそうだった。
ライログ「…指全体に力を込めるんじゃなくて…あくまで指先の空間に力を込めるイメージで。」
指先の空間に力を…
蒼汰「っふぅー」
大きく息を吐く。あくまで指先、指全体じゃない…
目を瞑り右手に意識を向ける。
【ブゥン】
指先に何か小さな球体ができた。そんな気がした。
ライログ「…」
目を開くと指先の空間が小さくではあるが、確かに歪んでいた。
蒼汰「…これが、俺の魔法…」
ライログ「…魔族は特定の年齢になるか、許容できないほどの強い感情にさらされることで魔力が覚醒する。」
ライログは変わらず目を見てくれない。
蒼汰「これで、これであいつは殺せる?」
ライログ「…。」
ライログは無言で首を横に振った。
蒼汰「…」
ライログ「蒼汰の力はまだ目覚めたばかり、今は飛んできた小さな物の軌道を逸らす程度の力しか…。」
蒼汰「なんだよ…なんだよ、それ…。」
部屋には母の血の匂いが充満している
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