第11話 激突 side A
外にはすでに魔法使いが複数人集まっていた。
リム「遅いですよ!レギスさん!」
レギス「ご、ごめん。ちょっと寝れなくて。」
ベクト「…」
ベクトはレギスをじっと見ていた。
マージ「まったく。もう子供じゃないんだから、恥ずかしいわ。」
母はおでこに手を当てていた。
マージ「それじゃあ、改めて作戦の説明を――」
ベクト「レギス…昨日言ってたこと、本気なのか?」
ベクトが小さい声で耳打ちする。レギスは首を縦に振った。
ベクト「…そうか、昨日はあんなこと言ったがな、少しは協力してやる。だが、気をつけろよ。もし危険だと判断したら俺が魔王の子を殺す。」
レギス「ベクトさん…」
マージ「ちょっと二人!聞いてるの!?」
母の声にいたずらがバレた子供の用に背筋を伸ばす。
マージ「まったく…ごめんなさいね。リム。あなたが今回一番危険な立ち回りなのに…こんな2人に任せてしまって…」
リム「大丈夫です!一緒に行動していたから2人の強さは良く分かっています!!」
マージ「リム!いい子ね!!あなたは!!」
仲良さげに抱き合う二人を他所にレギスはあることを考えていた。
対話の可能性。
それをまだ捨てきれていなかった。
*
マージ「みんな準備は良い?」
「「「「はい!」」」」
リム「はい!」
魔法使いが空中に手をかざす。
空間が大きく歪み、やがて渦になる。
「ック。」
「開け…」
レギスは剣を強く握っている。ベクトは自分の胸に手を重ね、強化魔法をかける。
数秒経っただろうか。その時が来た。
【グニャン】
渦を巻いていた空間に小さな穴ができる。
そして、その穴が大きくなり
マージ「今よ!」
繋がる。
*
飛び込んだ空間は異様だった。
見たことの無い多くの物が置かれている。薄暗く埃っぽい空間。
ベクト「ここは…なんだ?倉庫?」
リム「なんだか薄暗いですね。」
レギスは手に持った剣を、背負った鞘に戻す。
レギス「魔王の子!!いるんだろう!!」
リム「ちょ、ちょっとレギスさん!?」
ベクト「大丈夫だ。嬢ちゃんはゲートに集中してくれ。」
リム「は、はい!」
ゲートの穴が小さくなる。
レギス「お前と話がしたい!!!」
レギスの声はとてもよく響いていた。
数秒の沈黙の後、声が返ってくる。
蒼汰「なんだ…」
物陰の奥から魔王の子が姿を見せる。距離にして20m先、その手には光で反射する鈍い刃物を抱えていた。
レギス「話し合おう!俺たちは何か大きな勘違いをしている可能性がある!」
蒼汰「…」
ベクトは斧を強く握り込む。
もしも何かがあった際、守れるのは自分だけ。
そう考えていた。
蒼汰「…話し合い?」
男は小さく笑う。
蒼汰「…わかった。」
手に持っていた刃物を物陰に向かって投げ捨てる。
ベクトは彼の目が憎しみで染まっていることを見逃さなかった。
レギス「良かった!やはり対話で――」
ベクト「危ない!」
斧を手放し、レギスに抱き着く形で倒れ込む。
そんなベクトの背中を先ほど捨てたはずの刃物が切りつけていた。
ベクト「ック!」
蒼汰「ッチ。」
お互い転がるように物陰に隠れる。
リム「えっ?えっ?」
レギスは物陰で何が起こったのか理解ができず図放心状態だった。
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