第8話 結成!Watts Towers!
第一期Watts Towers結成最終章になります。
ワッツ・タワーに着いたのは夜になってしまった。相変わらず皆暴れていたが、運んできた熊を見て一斉に手が止まる。カタメ達は疲れて一休みしていた。ドラム缶の火と首のない熊を見て周りは唖然としている。するとカタメはそんな皆に言った。
「河かどっかで水汲んできてくんねーか?そしたらお前らにも喰わしてやるよ。」
彼らは呆気にとられていた。
「今まで「何か」を奪い合っていた俺達に「分けてやる」だと?そんな奴今までここにいたか?」
次第にその場にいた28人の男達がロス・アンゼルス川からバケツ等で水を汲んできて手伝い始めた。
アポロの指示の元、疑心行脚な彼らは落ちているバケツやフライパン、空き缶、鉄やアルミの箱みたいなものに水を汲んできた。まず、怪力の8人、ビッグ・ジョー、ブライ、ジャーマン、ロッキー、マック、それと街に残っていた巨漢のダニエル・オブライエン。通称「ダン」とマーティン・シャムロック。通称「クローバー」が熊をうつ伏せにする。
次に、ナイフを所持しているアル、JJ、アパッチ、サージェントと、ジョニー・パーカー。通称「スクラッチ」、アーノルド・ランブル。通称「ランボー」、トーマス・ホークアイズ。通称「トマホーク」、ハイロ・ロペス。通称「ジャイロ」
が背中から肉を裂き、左右両腕、両肩、胸、内蔵、腹身、両脚、腰と大まかに取り分ける。
それから、大体の教養があるアパッチ、ゴッグ、ジャーマン、イミダス、エディ、ランボー、マック、ムスタファ・アル・マディ。通称「ドクター」、ジミー・バージル。通称「バズ」
が、それぞれの部位を説明し、ナイフ組に捌き方を教えながら煮えたぎった水に切った肉を入れていく。鍋代わりにバケツが12個使われた。
準備は出来た。あとは火を通して味を付けるだけだ。そこで、カタメはポケットからある物を取り出す。それは、アメリカに来る直前に龍司から渡された謎のキューブ状の固体。それは、「なみや」のラーメンスープを超濃度で凝縮したもの。カタメは龍司に「腹減ったらこれ舐めて凌げ。」と言われてきた物。税関にも引っかからずに今取り出して沸騰したお湯に溶かした。こうして皆で作った熊鍋が完成した。ここまで関わったのはカタメと鉄治を入れて53人。ドラム缶の火を囲み、皆で平らげた。皆が旨いと言って喜んで食べた。その中でビッグ・ジョーがカタメが熊を倒した話を皆に聞かせていた。JJ、レオ、ジャッキー等と一緒に。この53人がようやく本物のファミリーとなった夜だった。
街に残っていたファブリティオ・ボルケーノ。通称「バルカン」や、エンリケ・バスケツ。通称「ハウンド・ドッグ」が、カタメの背負っているギターケースを見て、歌を歌ってくれとカタメに頼んだ。カタメは快く承諾し、ワッツ・タワーの面々に初めて自分の曲を歌った。エデンの時のようにしっかりと歌った。するとガリー・イスマエル。通称「イビル」、ディエゴ・コルネホ。通称「ディアブロ」、アーチボルト・ロウ。通称「パイレーツ」、ジェイソン・ゴブ。通称「ゴブ」がカタメに話す。
「お前の曲ってロックなんだろ?ロックなのに敬語で歌ってどーすんだよ?」
「それにキングス・イングリッシュじゃねーか?そりゃ物投げられるよ。」
「曲はカッコいいけどよ。問題は歌詞だな。もっとラフにしたらいいんじゃねーか?こっちはヒスパニックも多いからスペイン語混ぜてみろよ。」
「エデンで歌ってたんだろ?ジャンキーの溜まり場じゃねーか。」
カタメはそこでようやく気付いた。
(そうか、日本で覚えた英語じゃ使い物になっていなかったんだ)
そしてみんなにどうすればいいか意見を聞いた。カタメがアメリカに来て初めて心を開いた。するとそこにいた全員が
「しょーがねーな。俺達が言葉教えてやるよ。お前の曲カッコいいからな。」
この日の夜から、彼らは仲間、Watts Towersというファミリーになったんだ。カタメの新しい仲間。
【ファブリツィオ・ボルケーノ】
通称「バルカン」
ニューヨーク州オールバニー出身のイタリア系移民。マフィアの父から逃げてきた。バランス感覚とリズム感がある。ロス暴動の参加者。
【エンリケ・バスケツ】
通称「ハウンド・ドッグ」(狂犬)
メキシコからの移民。筋が通らない事を嫌い、暴力沙汰でアメリカの自動車整備工場を退職した。ロス暴動の参加者。
【ムスタファ・エル・マディ】
通称「ドクター」
アラブから来た元内科医。皆の怪我や病気を診ている。30代後半で最年長。
【ガリー・イスマエル】
通称「イビル」(悪魔兄弟)
フランス側のバスク地方出身。ディアブロとは兄弟分。文系で言葉を覚えるのが得意。5カ国語が話せる。ロス暴動の参加者。
【ディディエ・コルネホ】
通称「ディアブロ」(悪魔兄弟)
スペイン側のバスク地方出身。イビルと兄弟分。理系でイミダスに負けないほど計算高い。換金が得意。ロス暴動の参加者。
【ジョニー・パーカー】
通称「スクラッチ」
ワシントンDC出身の黒人男性。ギャングに両親を目の前で射殺された過去を持つ。音感があり、楽器を渡せばいとも簡単に弾く。ロス暴動の参加者。
【アーチボルト・ロウ】
通称「パイレーツ」
ムラートでバミューダ諸島出身。父は現役のカリブ海賊。根性がないからと船を下ろされ、この町に住む。船舶免許を持つ。ロス暴動の参加者。
【ダニエル・オブライエン】
通称「ダン」
ニューヨークのスラム街ハーレム出身。縄張り争いに負け、LAに逃れた。学校に通ったことが一度も無い。ロス暴動の参加者。
【ガレス・ベルガー】
通称「ギャリー」
ポーランド系イングランド人。先祖が戦時中にイングランドに難民として逃れ、以降はアメリカに移住。厳しい家庭に育った為、この町に逃れてきた。ロス暴動の参加者
【グラハム・テルファー】
通称「GT/ゴールデンタイガー」
デラウェア州ウィルミントン出身。金髪のスコットランド系移民。盗んだ車やバイクを乗り回す。直結の名人。ロス暴動の参加者。後に新たな道を見つける。
【アーノルド・ランブル】
通称「ランボー」
テネシー州ナッシュビル出身の黒人男性。厳格な弁護士と教師の両親に迫害される。出来のいい兄と比較されていた。カタメと似たような境遇を持つ。ロス暴動の参加者
【ドワイト・スプリンガム】
通称「バロン」
イングランド・バーミンガム出身。英国紳士で少々プライドが高いが、仲間思いの好青年。血の気が荒いが女子供には絶対手を挙げない。ロス暴動の参加者
【エリック・スパイダー】
通称「シャフト」
ロス・アンゼルス郊外サンバーナーディノ出身。LAで知らない知識はないほどの情報通。古いノートパソコンと無線を所持している。ハッキングの達人。ロス暴動の参加者
【ロビン・キャロル】
通称「ロブ」
トリニダード・トバコ出身の黒人男性。スチールドラムの達人。また、シンガーの才能もある
【ルーカス・ヴァンマイヤー】
通称「ルーク」
ウィスコンシン州ミルウォーキー出身のドイツ系移民。バイク泥棒の常習犯。バイクなら部品から組み立てられる。ロス暴動の参加者
【ダグラス・ベガ】
通称「ベガ」
中米エル・サルバドル出身の元宅配員。会社で差別を受け、窃盗の濡れ衣を着せられ、社長を殺害。服役後にワッツ・タワーに移り住む。
【ベルナルド・クーガー】
通称「アニマル」
オクラホマ州タルサ出身。先住民族チェロキー族の末裔。獣のように獰猛で警察と因縁がある。拳銃分解の達人。ロス暴動の参加者。
【フランク・デンプシー】
通称「コブラ」
アリゾナ州ピオリア出身のヒスパニック。毒舌でとても執念深い。リズム感が良いベースの達人。ロス暴動の参加者。
【アンドリュー・ホーガン】
通称「ムスタング」(荒馬)
テキサス州サン・アントニオ出身。実家は牧場経営。母を父のDVで殺され、その父を殺した過去を持つ。ロス暴動の参加者。
【ガブリエル・ウェストサイド】
通称「ガービー」
フロリダ州マイアミ出身。褐色のラティーノで元サーファー。身体が柔らかくブレイクダンスが得意。ロス暴動の参加者。
【ハイロ・ロペス】
通称「ジャイロ」
南米チリ出身の小柄な棒術使い。格闘能力が高く、身の回りに落ちている物を武器に扱う蛇取りの名人。子供に優しい。ロス暴動の参加者。
【トーマス・ホークアイズ】
通称「トマホーク」
アイオワ州シーダーラピッズ出身。元ヘリコプターのパイロット。視力が桁外れ。祖先は先住民「フォックス族」でブラック・ホーク戦争の英雄。ロス暴動の参加者。
【マーティン・シャムロック】
通称「クローバー」
ミズーリ州スプリングフィールド出身の元建設作業員。先祖はスコットランド・ハイランダーの血筋。ロス暴動の参加者。
【ボギー・オニール】
通称「ボス」
ウェストバージニア州出身。30代前半。年長者の部類で大学時代に建設業を起業したが大失敗。借金から逃れるためにワッツ・タワーに逃れる。一級建築士の資格を持つ。
【ロベルト・アバンテ】
通称「エース」
メリーランド州アナポリス出身の元空軍パイロット。アメリカ空軍入隊2年目にアフガニスタンで撃墜され、この町に逃れた。右脚は義足。
【ユーリ・ゼブラコフ】
通称「ゼブラ」
ウクライナ出身。旧ソ連解体時に故郷のチェルノブイリから移住。原発事故の影響から迫害されていた。ピアノや弦楽器の達人。
【ジェイソン・ゴブ】
通称「ゴブ」
ネブラスカ州オマハ出身。大学でアメフトをしていたが、監督との確執で暴行罪で退学。トウモロコシの皮剥きが得意で、壁に貼ってあるシールやチラシを集めている。ロス暴動の参加者
【ジミー(ジャネット)・バージル】
通称「バズ」
ルイジアナ州バトンルージュ出身のケイジャン。絵画の才能があるLGBT。性自認は男。華奢だが喧嘩は強い。よくカミソリで頭髪を剃っている。ロス暴動の参加者
鉄治も加えたこの53人が最初のWatts Towersとなった。アメリカ版梁山泊のようなものだ。カタメはこの時生涯の仲間、友を手に入れた事になる。
Watts Towersの人物のモデルは水滸伝の人物です。
また、ワッツ・タワーはアメリカに実在しますが、梁山泊をモデルにしています。




