第73話 RELIVE⑬ Sonic&Hard Rockers
今回は現地の仲間の力を借りて戦いに挑みます
そして夜になり、ソニック達WattsTowersと他の8組のバンド達の合同ライブが、この腐った世の中に戦いを挑むミュージシャン達と一緒にステージへ上がると場内は動揺に包まれる。
「今日はSonic Los Angelesのライブじゃねーのか?」
「何だこの面子は?ロックフェスでもやろーってのか?」
「こんな安いチケットでこれだけのミュージシャンのライブが聴けるなんて・・」
「けど、何だ?この異様な雰囲気は?」
「ソニックもサプライズには豪華過ぎやしないか?」
と感激していたオーディエンスもいたが、ソニック達は
(馬鹿面下げてんのも大概にしろよテメーら!今日はここから朝まで1人も逃さねーぞ!裏切られた人間の恨み思い知れよ!)
と全ミュージシャン達が睨みを利かせていた。ステージ横ではズラタン、サルキス、セドリック、ルアイを始め、国の政策でギャングにされてしまった者達が不安そうに観ていた。ソニックは
「しっかり観といてくれ。これが俺達の戦い方だ。天地ひっくり返してやる!」
と意気込んでいた。
この日のライブは変則的だった。バンドごとに行われるのではなく、ボーカルを残し10数曲ごとにミュージシャンが入れ替わる。全員でこの腐った法律をぶっ壊そうとしていた。ソニック達WattsTowersが他のバンドの演奏をすれば、次はボーカルを残して交代し、ヘビーメタルバンドのボーカルやハードロックのボーカルがSonic Los Angelesの曲を演奏する。ほとんど喧嘩腰のこのライブにソニックの「Jet」がドーム型の天井に
「斬!」
「キーン!ガン!」
「ズバン!ピキッ!」
「キューン!ギャン!」
と叩き付けるように響き渡る。1時間後にソニックの「Jet」でアヴィーチー・アリーナのドームにひびが入った。更に1時間後遂にドームに穴が空き、ソニックの「Combat」でドームに次々と風穴が空いていく。この会場の支配人が
「もう止めてくれ!建物が壊れる!」
「野外なら隣のテレツー・アリーナにしてくれ!」
と叫ぶも、ソニックも他のボーカリスト達も
「は?文句があんならこいつらをギャング呼ばわりしたテメーの政府に言え!」
「言っとくけどオメーら!今日は朝までここから出さねーぞ!」
と怒鳴りつける。次第にドームの屋根から大きな破片が観客席に落ちてくるが、アポロとクローバーが用意した防護網で破片を真上で拾っていく。因みにこの防護網の手配は消防士のセドリックが提供したものだ。ドームの屋根が剥がれ、外にソニック達の演奏が漏れ始めてきた。
そしてこの騒動を聞き、地元警察がやって来てソニック達を外側から包囲し銃口を向けるが、ソニックは参加ミュージシャン全員にバリア・プレートを配っており
「おい!撃ちたきゃとっとと撃てよ!ただし外したらオメーらの両腕吹っ飛ぶぞ!」
とボーカリスト達が煽りながら演奏を続けると、本当に発砲してきたが、バリア・プレートの作用で弾丸が弾き返され銃が暴発し、警官隊達が両腕を吹っ飛ばされ血まみれになって退散した。時が経つにつれて軍隊や政府、果ては王室警備隊まで出動するが、全く同じで両腕を吹っ飛ばされて後ずさりする。ソニックや他のボーカリスト達が
「テメーら!一度引き取って真面目に働いてる奴らをギャング呼ばわりしてんじゃねー!」
「何が福祉国家だ!偽りの正義なんて邪魔だ!その両腕と一緒に捨ててしまえ!」
「こいつらは余所者なのにオメーらの国のために尽くしてきたんだ!」
「こいつらは奴隷じゃねーんだ!それをわかってて住まわせたんじゃねーのか?」
「結局バイキングと一緒じゃねーか!高い税金ふんだくりやがって!それを払ってたこいつらは用済みかよ?」
「あんま舐めてっとテメーらも北氷洋の無人島に連れてくぞ!」
「テメーらだってゲルマン移民の末裔だって事忘れんな!」
周囲の警官隊や軍隊、政府、弁護士、王室警備隊は顔を青ざめ、オーディエンス達はソニック達ボーカリストの威嚇により固まってしまっている。正に図星を突かれたと言ったところであろうが、ソニック達WattsTowersにとっては見慣れた光景である。エデンでのライブ、9・11での野外ライブ、そしてLAでのプレジデントによる銃乱射事件・・・このアヴィーチー・アリーナを含む一帯は、ソニック達WattsTowersと、この国で勇敢に戦っているHeavy Metal&Hard Rockersによって氷漬けにされていった。この国のトップがアメリカの幼稚な奴ではなかったということがせめてもの救いだっただろうか・・・
そして朝になりライブは終わった。オーディエンス達はまるで人質にでも取られたかのように解放されたような表情で帰って行くが、皆一様にうつむき静かに去って行った。彼らもまた何かを考えさせるような感覚に陥っていったのである。そして無残にも両腕をもがれ、横たわっている銃を発砲した者達に対して一緒にライブを行ったミュージシャン達が
「こいつはアメリカのプレジデントをひれ伏させた男だ。相手が悪かったな。そのもがれた両腕見ながら今までやって来た事を反省するんだな!」
「次はオメーらがギャングになる番だ!腹決めとけよ!」
「俺達ミュージシャンを舐めんな!俺達の音楽だけで世の中変えられるんだ!バルト海の向こうで活躍した先人達がそれを示している。今度は俺達の時代って事だ!せいぜい敵に回さねーこったな!」
ただのミュージシャン達の合同ライブで血まみれになった者達が救急車に乗って運ばれて行くのを見て
「その救急車も俺達の印税で払ってる事を忘れんじゃねーぞ!」
と言い放つ。
それから数時間後、WattsTowersが片付けていると、ズラタン、サルキス、セドリック、ルアイの元に大勢の人物がこのアヴィーチー・アリーナにやって来た。ズラタンが働いていた出版社の社員達、サルキスが働いていた銀行員達、セドリックと共に人命救助をしていた消防員達、ルアイと働いていた郵便局員達がぞろぞろとやって来て4人に謝罪した。
「突然クビにして悪かった。」
「お前がいないと仕事が回らなくて・・・」
「やっぱりお前が必要だ。この国や世の中が何と言おうとな。」
「この国の奴らは引きこもってばっかいるのに、その分まで文句1つ言わずに働いてくれたお前に随分酷いことをした。」
「許してくれ。」
「また俺達と一緒に働いてくれ。」
「もう国の政策なんてうんざりだ。大切なのは絆だったんだ。」
「国となら今度は俺達が一緒に戦ってやるからさ。頼むよ。」
彼らも薄々は感じていたが、法には逆らえなかった。言ってみれば彼らも犠牲者だったのである。ソニックは
「後はお前らの問題だ。どーするかは自分で決めるんだな。困ったことがあったら俺でもこの国のミュージシャン達にでも言えよ。この国は特に強いミュージシャンが大勢いるからな。今日みたいに一緒に戦ってくれるよ。」
と話すと、4人は
「俺達はただ平和に暮らしたいだけなんだ。だからこの国で真面目に勉強してサボらず働いてきた。これからもそれを続けていいのか?」
と元同僚達に告げると
「これからは俺達が守ってやる!お前らは俺達の大事な仲間だ!どこで産まれようがどこの国籍だろうが関係ねーよ。これまで頑張ってきたお前らを簡単に切り捨ててたまるかよ!」
と互いに抱き合い、涙し和解した。ソニックは
(こいつらスゲーな。俺は未だに片眼奪った連中許してねーのによ。)
と1人思った。
翌日のニュースでこのライブが大々的に取り上げられた。見出しは
「Sonic Los AngelesとスウェーデンのHeavyMetalとHardRockerが共闘。」
「移民に対する法案見直しも。」
「福祉国家の化けの皮が剥がれた夜。」
「戦う世界中のミュージシャン達。17世紀の再来訪れる。」
このニュースにLAにいる桜や菜月が
「こないだ会いに行って本当に良かった。これがパパの戦いなんだものね。」
「あたしも兄ちゃんに負けてられない。この街はあたしが守るんだ。」
と記事に見入っていた。これまでライブを行ってきた国でも
「・・・全く大したもんだよあいつは。」
「早速おっぱじめやがったな!ミュージックソルジャー!」
「このまま世界中ひっくり返してしまえ!」
とそれぞれ思っていた。
そしてスロバキア、テルホヴァー村にて
「ユライ!ソニックがバトルに勝ったみてーだぞ!」
とソニックが出会ったもう一人のSonic使い、ユライ・テルホヴァーが新聞を手に取ると
「・・・そーいう事か。俺も色々覚えてきたからな。時が来たら・・・」
と何かを考えている様だった。
この「ストックホルムの激戦」を制したソニック達WattsTowersは、陸路でデンマークとドイツに戻り、次の国オランダへ向かった。
移民に寛容な国だと思っていましたが、色々調べてみるとこの話に至りました




