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第72話 Sonic&Heavy Metal

ソニックがスウェーデンで移民体制の限界を知ります

 ソニック達WattsTowersは、コペンハーゲンからオーレスン・ブリッジを渡り、次の国スウェーデンへ向かう。スウェーデンと言えば、ハード・ロックとヘビー・メタルバンドを多く輩出している国である。


 たったの30分でスウェーデンの都市、マルメに到着。ここの他、イエテボリ、ストックホルムで公演を行う。この国でハード・ロックとヘビー・メタルバンドが盛んな要因は多くある。


「寒くて暗い気候で生活すると、心まで暗くなってしまい、それを吹き飛ばす。」


「広い国土な為、ドラムやエレキの練習がしやすい。」


「福祉国家で、学校の他に音楽学校が子供の頃から存在し、自由に楽器が弾ける。」


「補助金で簡単に楽器が手に入る。」


「シャイで家に閉じこもりがちな国民性で、自殺する者が多く、その問題をヘビーメタルやハードロックに乗せて歌っている。」


この国は現代音楽で世の中と戦っているいわゆる先駆者を多く輩出していた。また、この国は夜の23時から深夜になっても、太陽が沈まずうっすらと明るい白夜の国でもあった。ソニックは


「こりゃ眠れねーわな。沈まない太陽ってあるんだ。ワッツ・タワーの下だったらゴング鳴らねーな。」


とぼんやり光る太陽を眺めながら眠りに付く。これまでの出来事でソニック達WattsTowersは疲弊しており、うっすら光る太陽がまるで、家にある薄暗い蛍光灯のような役割を果たし、皆泥のように眠っていた。


 ここマルメでの公演が終わったソニック達WattsTowersは、イエテボリでの公演も無事に終わった。ここイエテボリでは、現地のヘビーメタルバンドやハードロッカー達と交流し、楽しい一時を過ごしていた。彼らは


「この土地も世の中も何処か寒くて暗いからな。俺達の音楽で熱くなってもらえんのが最高に楽しいんだ!」


と生き生きと話す。ソニックは


「今度サンバーナーディノのロックフェスに来いよ。それと、ミュージックタワーの最上階も用意するからよ。一辺アメリカおいでよ。」


と彼らを誘い


「ぜってー行く!ちゃんとステージ作って待っててくれ。」


と約束を交わした。


 そして最後の街ストックホルムでキャンプを張るWattsTowersだったが、四角く囲むように駐車している大型トレーラーの影に、拳銃を持った男達が4人、ソニック達がいるコンテナを囲んだ陣地の中に入り、コンテナを盾にして銃撃戦を始めた。


「おい!テメーら!そんなモン持って何してやがる!」


とソニックが怒鳴ると、男達は


「別にあんたら撃つ気はねー。これは俺達の抗争なんだ!」


ソニックは


「オメーらギャングか?」


と尋ねると


「あいつらはギャングって呼んでるけど、俺達はギャングじゃねーんだ!この国の奴らにギャングって事にさせらちまったんだ!俺達はこの国に嵌められたんだよ!」


と事情を話す。だが、それを聞いていたビッグ・ジョー、ブライ、マック、コンボイの巨漢カルテットが4人の両手を締め上げ拳銃を押収し


「おい!兄ちゃん達!俺達のトレーラーを盾にしてそれはねーだろ?」


と寝台車に連行する。


 寝台車に強制連行された4人の名はズラタン、サルキス、セドリック、ルアイ。それぞれボスニア・ヘルツェゴビナ、アルメニア、中央アフリカ、イラクから家族で移住してきた移民達であった。彼らは幼少期に祖国が内戦に包まれ、家族とともにこのスウェーデンに移住。学校もきちんと通い、そのままこの地で就職して真面目に働き、差別も特になく平和に暮らしていたのだが、つい最近に法改正がなされて市民権と労働ビザを強制剥奪。家族と別れて強制送還させられそうになっていた所を逃げてきたと話す。突然の出来事と仕事も住居も国籍も奪われ、路頭に迷い警官から銃を奪い徹底抗戦していたというのが今の顛末である。4人は


「俺達はただひたすら一生懸命働いてただけなのに・・・」


「俺達には生きる資格がねーって言われてるんだ!」


「完全に騙された!何が福祉国家だ!」


「まだ戦争やってる国に戻ったら俺は殺されるよ・・・」


とそれぞれ心情を吐露する。さっき彼らとやり合っていたのは、彼らと同じ事をされ、ギャングに成り下がった者達であった。この国は先のイタリアとはまた違った組織抗争が繰り広げられていたのだ。だが1つだけ違っていたのは


「真面目に学業に励み、真面目に働いていたが、労働する意志もやる気もあるのにそれらを国に奪われた。」


という事であった。ソニック達WattsTowersは


「何ちゅー滅茶苦茶な話だ?」


「そりゃこうなるよな。」


「てことはお前らの敵は簡単に言うと国か?」


と同情するようになった。ソニックは


「因みにお前らは何をして働いてたんだ?」


と尋ねると、ズラタンは出版社、サルキスは銀行、セドリックは消防士、ルアイは郵便局員となって働いてたと話す。ソニックは


「お前らはこれからどーしたいんだ?」


と尋ねると、4人一斉に


「元通り働きたいさ!でもこの国がそれを許さねー。・・・・何でだよ?」


と泣きながら話す。ソニックは


「わかった。俺達がこの国と戦ってやるよ。今回のライブは「Sonic&Heavy Metal&Hard Rockと行こう!お前らステージ横で観てろ。せっかくだから援軍も呼んでやるよ。」


とスマホを取りだし、さっき別れたヘビーメタルバンドやハードロッカー達に援軍を要請すると、彼らから


「わかった。すぐ行く。俺らもこの政策に腹が立ってたんだ!」


「ソニック。お前も俺のバンドにヘルプで1回入ってくれ。この国を変えるってんならお前の強大な「Sonic」が必要だ。」


この国には既に音楽で世の中と戦っている連中がごっそりいる。余所者のソニック達より、現地で戦っている彼らがいれば百人力なのは明白である。ソニックは


「俺もそーだけどよ。この国でお前らの為に戦ってる連中もいるんだ。それを見せてやるから目に焼き付けて一緒に戦え。」


と4人を諭す。


 翌日ソニック達WattsTowersは、今日の会場アヴィーチー・アリーナへ赴く。丸いボールの形をしたドーム型の会場だが、ソニックは別の事を考えていた。


「あのダサい形のドームを内側から破壊するにはどーするか。」


と思いながら天井を見上げていた。その間に一緒に戦ってくれるミュージシャン達も続々と現れる。すると彼らから


「お前の「Jet」数発で風穴空けられるぞ。」


と助言をもらう。ソニックは


「それなら照明は上に設置しねー方がいいな。」


と照明のゴッグやロッキー等を呼び


「今日の照明は平面で行く。天井は俺らがぶっ壊すからタイミング見計らって防護網用意してくれ。ぶっ壊した破片がオーディエンスに当たったらシャレにならねーからな。今日のライブは天井破壊して外に漏らす。エデンの時と同じで行こう。」


と相談し、統括担当のシャフトを通じ、アポロとクローバーに防護網の調達を頼んだ。それを聞いた4人の中の1人セドリックが


「それなら協力出来る。俺消防やってたから。」


と協力し、他の3人もそれに加わることになった。他のWattsTowers達にも今日の形式を伝え、対バンにはなるものの、仕切りはWattsTowers主導で行われる事が決まった。更にこのライブには4組のヘビーメタルバンドと3組のハードロックバンドがソニックの要請で来ているのだが、ソニックはサックスとトランペットでの加入が確認された。あくまで彼らの戦い方に援護射撃を食らわせようと示し合わせていた。


働けるのに働かない人、働きたいけど働くことが出来ないという所は日本にも共通するのではないでしょうか

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