↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/79

第51話 Sonic Boomが吹き荒れる世界大戦

前回の事件を機に世界中が変わり始めます

 ソニック達Watts Towersは今回の事件を機に


「俺達LA誇り高き英雄」


「1人の身勝手な権力者を成敗した勇者達」


「圧政に苦しめられた世界中の国々を救った21世紀を代表するレジェンド」


と称えられるようになった。そして、欧州や中南米、中東諸国の君主達から


「あなた達のおかげで平和が戻った。本当に感謝しかない。」


と多くの人々に感謝の弁を告げられたが、ソニック達Watts Towersはさらっと


「俺達はいつも通りライブやってただけっすよ。御礼なんて言われる義理なんてねーっす。それより俺達のライブに来て下さいよ。最高のモン聴かせますから。」


と真顔で特に何をしたわけでもないような言葉で交わした。


 あの逮捕劇から数年間、世界中が荒れ狂った。それまで各国で圧政を強いられてきた民衆達が一斉に動き出したのだ。アメリカのLAから始まったこの大事件から、中東のアラブ諸国、アフリカ大陸、ロシア等極東、中南米に至るまで民衆達が様々な自由や平和を求めて活動を始めたのだ。それは武力等ではなく、様々な主張をぶつけ合うまるで幕末の日本のような動きが世界中で起こったのだ。


 一方その頃、桜宛てに手紙が届いていた。新婚旅行で出会ったダイアナからであった。ソニック達Watts Towersが起こしたあのライブから10日後、ベンが亡くなったそうだ。ベンは死に際に


(若僧。遂にやりおったな。それでいいんだ。最高の「Sonic」だったぞ!)


と言葉を残し笑みを浮かべ、安らかに眠ったと書かれていた。この手紙をソニックも読んだ。そして


(ベン。俺なりにやってみたよ。世の中まだまだ変わるぞ。いつかあんたの村みてーにいい景色作れればいいな。そのためにまだまだ頑張るよ。)


と誓った。


グラミー賞の蓄音機型トロフィーを眺めながら


(おっちゃん。この歳になってよーやく腐った世の中ぶっ壊せたよ。俺ももうあんたの歳超えちまったけどな。菜っちゃんも元気でやってるよ。)


(史郎さん。あんたに見せたかったな。もうちょっと長生きしてりゃいいもん見せられたのにな。俺の力不足だったな。すまねー。桜や緑さん達は俺が守るからよ。)


満面の笑みをこぼしながら泥のように眠った。桜はそんなソニックの横に同じく静かに眠った。


 翌日、ソニックはいつも通り早起きし、桜と緑は髪を整え朝食を作っていた。子供達は学校へ行き、菜月達も仕事に戻った。いつもの平和な日常が始まった。見えない敵はまだまだある。それは何処でどのように存在するかなんてそこにいる民衆しかわからない。ソニック達Watts Towersのように、勇気を出して主張すればいいんだと世界中の人々がこの腐った世の中と戦えばいいんだと気付かされた。その旗印を持った人間がたまたまソニックだったとういだけである。世の中は1人では変えられない。1人で変えようとすると前日に逮捕されたプレジデントのようになるということは皆わかったようだ。


 あれから半年後、菜月の親友である窓香の執筆した小説がベストセラーになった。その内容はソニックと菜月をモデルにした兄妹愛のストーリー。これは、20年程前、ソニックと桜が結婚した時、当時中学生だった菜月と約束していた事で、菜月がアカデミー賞を受賞した辺りから執筆していたものだ。LAの住民達は、そんなソニックや菜月を「LAの息子」「LAの娘」とあだ名を付けていた。今回の大事件により、一躍時の人となったソニックは、窓香が書いた本を読んでいる。とても感動的な話にされていたがソニックにとって菜月を引き取るのは「ケジメ」であり、窓香から見たソニックとは随分かけ離れていた。それでも


(へえ、俺って女の子にそう見られてたんだなあ。)


と思いながら読んでいた。今は窓香の初恋の相手であるGTを主役としたソニック達Watts Towersの面々を1人ずつをモデルとした軍記物を執筆しているようだ。


 翌2027年3月には、同じく菜月の親友である千尋が、ウェストハリウッド東部に花壇が沢山並ぶ自然公園を作り話題となった。この作りは昔、菜月達と自転車で行ったローリングヒルズ内のシルバートウヒ公園をモデルにした華やかな公園で、中にはオープンカフェをいくつか建てており、LAの新たな名所、デートスポットとしてLAの住民達の憩いの場となっている。


 4月には菜月がユニセフの親善大使に任命された。両親を失った実体験から菜月が


「世界中の困ってる人を支えたい。」


と以前から思っていた事が現実になった。菜月は今、女優業の傍ら世界中の人々に笑顔を届けている。いっぱい泣いて優しい性格になった菜月にふさわしい仕事だとソニックは菜月を激励した。


 一方、ソニック達Watts Towersはというと、2年前の大事件の発端ではあるが、プレジデントが代わった事と、国際連合、EU連合から


「ユーロ圏内及び北米の渡航許可」


の許可が下りた。世界を救ったソニック達Watts Towersのライブが観たいとこぞって誘ってきたのだ。これにより、アメリカ国内に止まらず、カナダとメキシコ、中南米、大西洋を渡ってヨーロッパ諸国でのライブが可能になった。ただしUKだけは不許可の意向を示していたが、ソニックは


「別にいいや。それより海渡れんだろ?ユーラシア大陸を大型トレーラーで旅してみたかったんだよな。」


と乗り気であった。この年にアメリカツアーにカナダ、メキシコを組み込み、その後ポルトガル、スペイン、イタリア、中立国のスイスとオーストリア、チェコ、ポーランド、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、オランダ、ルクセンブルグ、ベルギー、モナコ、最後にフランスをツアーで回ることになった。「Sonic Los Angeles」が32年の時を経てようやく世界に舞台を広げたのである。


 その頃世界情勢は、中東やアフリカ各国が国境線を見直す運動をしていた。現在の国境線は欧米人が勝手に縄張りを作り、勝手に引いた物である。欧米人抜きで話し合いが行われ、アフリカ大陸は更なる分離独立を果たす。実に2000もの部族同士が話し合って決めた事だ。皆武装解除し、言葉でぶつかり合った。ルディの息子であるウィルは、その対応に追われる毎日を送っている。


 中東では、イスラエルが聖地エルサレムを残し撤退。領土をパレスチナへ返還し、ユダヤ人はエルサレム周辺に転居という形で収まっている。イスラム国に蹂躙されたシリアやイラク、レバノンにも人々が帰還し、多少のいざこざはあるものの上手くやっているようだ。


 ロシアはウクライナから撤退。アメリカと同じくプレジデントが逮捕され、隣国ベラルーシや中央アジアのトルクメニスタンまで派生し、独裁者は一斉に摘発された。残るは日本の隣国、北朝鮮だけ取り残された形となったが、その北朝鮮も、韓国や中国、ベトナム、日本にまで亡命者を出し、残っているのは軍人だけである。北朝鮮といえば拉致問題だが、その脱北者達が次々と情報を暴露しだし、現在は達斗が所属するインターポールが調査に乗り出している。


 この社会に言葉と聞き耳で戦う恐竜が鳴き叫ぶSonic Boomが吹き荒れる世界大戦が10年以上続いた。世界中が兵器等持ってても虚しく感じたのだ。領土を奪って人々を苦しめるよりも、それぞれが袂を分かち商売の顧客となり、手を結ぶ道をそれぞれ選んだのだ。これにより世界経済がよりよい方向へ上がっていった。ソニックや菜月が考えている


「出来ることからやればいい」


という想いが世界中に伝わった。「Sonic」という特別な力を使う必要もなくなったが、ソニックは相変わらず音楽に「Sonic」を乗せてヨーロッパ諸国で暴れ回っていた。その旅の中で、ソニックやベンと同じ「Sonic使い」と何人か遭遇している。彼らもソニックと同じ人間であり、普通に働いて暮らしている一般人だ。あまり都会には存在せず、ベンのように郷土の集落にいることが多かった。ソニックのように派手に「Sonic」を使うのを嫌ったためである。いずれもソニックと同じく何処かしら身体の一部を無くした人物達であった。


 こうして「Sonic」という能力が世に知れ渡り、ソニック達Watts Towersにとって新たな人生が繰り広げられていく事になる。

あくまでフィクションです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。