第49話 RELIVE⑨ Sonic Los Angelesここにあり!
ソニック達Watts towersが遂に決戦に挑みます。
やがてGTやジョーカー、ベック達歴代のワッツ・タワーの元住民、更には現在ワッツ・タワーで男を磨いている皆も加勢しに訪れた。
「ソニック!今が真の勝負だ!俺達もいるからな!」
とゴールデン・タイガー・レボリューション・ワッツ・カスタムのマフラーをふかし、クラクションを鳴らしソニックの音に合わせる。ワッツ・タワーの元住民達も現在は社会人として働いているが、オーディエンスの後ろから煽る。ソニックは
(・・・全く頼もしい奴らだ!)
とニヤリと笑い、GT達と合わせ、楽器をかき鳴らす。かつて若かりし頃のソニックがエデンのジャンキー達と戦った光景と同じ、いや、30余年の時を経て遥かにパワーアップしている。今はコンボイ達ダラス組がテリトリーを作り、ハック達楽器職人達がギターをチューニングし、弦の切れた楽器をテンポよく交換する。
ソニックとWatts Towersは、いつまでも演奏を止める気はない。あのエデンでのライブの様に永遠に付き合って貰う覚悟で音をかき鳴らした。1曲終わってもテンポ良く次の曲が被さるように入るのはあの時と同じだ。その間にエディとゴッグ、ロッキーが演出した照明が各地区に次々と夜空に反射して照らし出された。
「オメ-らはこれが欲しかったんだろ?たっぷりくれてやるよ!」
と照明を四方八方から街中や夜空に当てまくる。ステージには一切当てずに。
《ドゥン!ダダン!》(ボトムの合わさる音)
「オメ-らが本当に欲しかったのは神のお告げや居場所、自尊心や愛国心じゃねー、このまばゆい光だろ?」
《ダダン!》(スネアに乗ったCombatの音)
「本当の光に当たるとそれらが魂と一緒に抜けるのが怖いんだろ!!」
《ドン!シャン!グーン!》(バスドラとシンバルに乗ったMagnetの音)
「下らん政府に縛られるこの世の中の庇護から抜け出すのが怖いんだろ?!!」
《ドゥン!ボオ!ジャン!》(ベースとギターに乗ったBurstの音)
「無理矢理戦わされて頭イカれて溶けちまうのが怖いんだろ!!!」
《カッ!ドン!》(熊襲太鼓に乗ったVoltの音)
「神なんて目に見えねーモンにすがりついて、その教えに背かないように生きて最終的に裏切られるのが怖いんだろ?!!!!」
《ギュン!ビュン!》(ギターに乗ったJetの音)
「もうすぐ登ってくるしっかり見える太陽のような本当の光に当たるのが怖いんならこれでも当たってろ!たっぷりくれてやるよ!俺達の轟音付きだけどな!!!!!」
とWatts Towersの挑発は止まらない。この30年間蓄積してきた世の中への怒りを最大限爆発させていた。ソニックはこの日のためにこの国に来て、この機会をずっと待っていたのだ。
《ジャッ!》(ギターの音)
「風が欲しけりゃ吹かしてやるから「Jet」に乗っかれ!」
《タタン!》(ドラムの音)
「しびれたくなったら拳を突き上げて「Volt」浴びろ!」
《ドゥン!》(ベースの音)
「燃えたくなったら身体の中に火種くれてやるから「Burst」食らって踊りまくれ!」
《ジャッ!キュキュキュッ!ジャン!》(カッティングするギターの音)
「Magnet」やるからこっちに吸い込まれろ!」
《ダン!シャララ!ドン!カッ!ドン!》(ドラムとシンバルと熊襲太鼓の音)
「Combat」で自分の中にある自身と戦え!」
《ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!ゴゴゴン!ゴン!ゴン》(ベースを激しく鳴らす音》
「Ghost」っていうお前らに取り憑いている洗脳された亡霊を追っ払え!さっさとここまで身体ごと吹っ飛んでこい!」
と次々と6種の「Sonic」を放ちまくった。そんなライブがPM4時から翌16時まで、なんと24時間続いていた。30年前のエデンの時の倍の時間である。
まだ続けようとするソニックだったが、アラメダ・ストリートから物々しい車の行列がこのライブを遮ろうとする。その車に乗っていたのはアメリカのプレジデントだった。SPに囲まれながらプレジデントが直接言い放つ
「今すぐこの集会を止めなさい!従わなければ我々が鎮圧させてもらう!」
だが、ソニック達Watts Towersやオーディエンスと化したデモ隊や警官隊、軍隊は無視し続けた。プレジデントが顔を赤らめて
「聞こえなかったのか!今すぐ止めろと言ってるんだ!大統領命令だぞ!」
更に「Sonic」を食らいまくり、武装解除した警官隊や軍隊をプレジデントが煽り
「お前ら!何やってんだ!サボってないで早く止めろ!」
と促すが、周囲はそんなプレジデントを冷ややかな目で見ていた。次第にプレジデントはまるでクソガキ大将丸出しで感情的になり、武装解除した軍隊の銃を拾いソニック達に向かって撃ちまくった。
《ダダダダダダダッ!バン!ダダダダダダダッ!》
悲鳴を上げるオーディエンスと弾丸を軽く避けまくるステージ上のソニック、ジャイロ、ベガ、バルカン、ゼブラ、イビル、ロブ、アニマル、ゴブ、スクラッチの10人。更に周囲のWatts Towersがバリア・プレートを弾丸避けにばら撒き弾丸を跳ね返し、引っ付かせる。しっかりオーディエンスやLAの住民達を守っている。ソニックが
「おい!おっさん!弾切れか?その辺に転がってるもん全部撃ちたきゃ撃てよ。オメーの大好きなおもちゃなんだろ?オメーに言わせりゃ俺らもこいつらもおもちゃなんかよ?だがな!俺達にはぜってー当たんねーぞ?オメーと違って潜ってきた修羅場が違うからな!」
更にあの第2次ロス暴動から今まで監視し続けていたFBIに
「おい!これもう現行犯だろ?30年も俺の周りをうろちょろ監視してる奴ら!アクビでもしてんのか?また職務怠慢かよ!学習能力なさすぎんぞ!」
と怒鳴り散らす。明らかに民衆の目はプレジデントを蔑視、敵視している。赤面し、まるで子供の様に次々と銃を取るプレジデント。ここにいる全員が
(馬鹿が。相手が悪りーよ。あのWatts Towersだぞ。)
(誰だよ?こんな救いようのねー奴に投票した奴ら!)
(目障りだ。アメリカから消えろよ。クソ野郎が!)
(そんなに国家権力振りかざしてーのか?)
(まるでガキだ。哀れなヤローだ・・・)
という呆れた目で見た後、一斉に背を向けた。それは、この周囲にある市庁舎や裁判所の職員、連邦政府庁舎の人々も同じだった。
(アメリカの恥さらしが!)
(独裁者にでもなったつもりか?)
(LAの街に平和をもたらした男達に無礼極まりないだろ?)
(こいつはもうプレジデントじゃない。薬物中毒者かただのチンピラだ!)
最早このLAにそんな情けないプレジデントに味方する者等何処にもいなかった。同行していたSP達までもが
(ダメだこいつ・・・)
(イエスでも救いようがねー・・・)
(情けない。もうこの国も地に墜ちたな・・・)
と呆れていた。
一方、この地から少し離れたアート・ディストリクトに陣取っていた照明のロッキー、今日のサポートを務めるコブラ、クリスの所にGTが訪れ
「バリア・プレートの電圧上げるからサインしてくれ。」
とロッキーが照明でシグナルの合図をすると、音響のゴッグとハウンド・ドッグ、ダラス組全員が一斉に電気と車のエンジンを止め、更にシビック・センターの屋上やブラッド・ベリービル、エル・プエブロ・パーキング、ロス・アンゼルス市庁舎等計30カ所に陣取っているWatts Towers達が同時に使用している電気を止める。それを確認したGTとコンボイの合図でバリア・プレートの電力を最大限に上げる。すると、プレジデントの持っていた銃が暴発し、警官隊、軍隊、拳銃を所持している住民達の銃火器が次々と連鎖的に爆破されていった。兵器が使えなくなりパニックに陥ったプレジデントが
「おい!大統領命令だ!ここにいるクズ共を全員殺せ!」
と警官隊や軍隊に命令する。この場にいる誰もが
「テメーいい加減にしろ!クズはテメーだろーが!この国は俺達皆のモンだ!」
と一斉にプレジデントに対して激怒し出したその時、一台のヘリコプターがリトルトーキョー脇の空き地に着陸した。このヘリコプターは見覚えがある。インターポールのニールがよく乗っていたヘリコプターだが、ニールはもうとっくに退職している。出てきたのはニールではなく別の人物達だった。その人物達が
「プレジデント。あなたに逮捕状が出ています。ご同行願います。」
と言ってプレジデントに手錠をかけた。彼らはインターポールであった。
「何やってんだ!お前ら!俺を誰だと思ってる!このアメリカの君主だぞ!」
往生際が悪く、暴れ回るプレジデントをインターポール数名が押さえつけた。暴れるプレジデントの足下に
《キーン!ズバッ!》
と軽い「Jet」が飛んだが、放ったのはソニックではない。別の人物だ。ソニックは
(まさか?)
と何かを感じる。遅れて周りにいたFBIが今更降りてきた。ソニックに言われて仕方なく現場に来たザマであり、ソニックに
「オメーらグルなんだろ?」
とカマをかけられていた。そして、プレジデントを逮捕した一団の中に、ある日本人の男がソニックに声をかける
「兄貴。お勤めご苦労さんです。」
逮捕したのは何と、中学時代に菜月達を助けリンチされたあの時の少年、安在達斗だった。彼はその後、ソニックの内弟子となった後、アーバインの大学を出てインターポールの捜査官になっていた。
(マジかよ?)
とソニックは驚きながら
「久しぶりだな!オメーも男になったじゃねーかー?あの苛められっ子が今じゃインターポールかよ!大出世じゃねーか!」
と感心していた。達斗は
「それ言わないで下さいよ。皆を守るって約束したじゃないっすか。奴は前々からウチらでマークしてたんで。それじゃ失礼します!」
と敬礼して去って行った。因みに達斗は、かつてソニック達Watts Towersの弁護をしていたルディの息子、同じく国際弁護士のウィルフレド・バウアー、通称「ウィル」とつるんで世界中の悪事を裁いているという。昔のニールとルディの間柄と同じである。彼らにも頼もしい後継者が出来ていた。
連行されるプレジデントに向かって誰かがカチカチのジャガイモをプレジデントのこめかみに投げつけると、暴れるプレジデントは一瞬気を失い、民衆達に大笑いされていた。
「だっせー!ポテトに当たってくたばるプレジデントがこのアメリカの歴史上今までいたかよ?ガッハッハッハッ!世界一カッコ悪りー!」
こうしてあの独裁者のような21世紀最低のアメリカのプレジデントはインターポールに連行された。
この大事件を目の当たりにした者全員にマイクを握ってソニックが諭す。
「オメーらよお、武器持って傷つけあうよりもっと楽しい人生あんだろ?せっかく人に生まれたんならよ、もっと自分の人生楽しめよ。どーせ命賭けんならよ、こんなチンカス共相手にすんなや。目の前にいる病院の患者の言うとおりだぞ?何もかも失ってからじゃおせーんだよ!」
そう言ってこのライブを締めくくり去って行った。その場にいた者全員も粛々と解散していった。
夕方になり家に帰ると、そこには桜と子供達、緑達若草ファミリーが勢揃い、更に菜月達5人も待っていた。目の前にはソニックが大好きなご馳走がテーブル狭しとずらっと並んでいた。若草家はともかく、菜月や子供達はこのソニックの本当の姿を今まで知らずに生きてきたので心配していたようだ。ポカンと見てる菜月や子供達。ソニックはでかいローストチキンを頬張りながら笑顔で
「これが兄ちゃんの、父ちゃんのこれまでやってきた戦い方なんだ。」
と自信満々に語るのであった。その日のニュースが世界中に発信され、世界中が揺れた。ソニックはちらっと映ってしまっていたが。このニュースを観ながら菜月達に
「よお、このプレジデントしょっぴいたこいつの事皆覚えてっか?」
プレジデントの背後で押さえつける日本人の警察官が映ってる。ソニックが
「ほら、菜っちゃん達5人を守ってボコボコにされたあの達斗だよ。」
菜月達は
「えー!あのたっくん?!」
菜月達はびっくりして何回も見ていた。忘れもしない、菜月にアクションの道へ進む切っ掛けを作った男だった。
「あいつも強くなったよな。今じゃインターポールの捜査官だってよ。近々結婚するらしいぞ。」
あの中学時代のおとなしい優男の勇ましい変貌振りに一同驚いていた。
現職の大統領が殺人未遂で現行犯逮捕という前代未聞の事件後、世界中の独裁者、政治家、権力者が次々と摘発され、芋づる式に逮捕されていった。ソニックが30年かけて、ようやく腐った世界をぶっ壊した瞬間であった。9・11の時も、先のラス・ベガスの一件でも無力な自分を責めたが、今ここに人間同士助け合う新しい世界が始まろうとしていた。
これはフィクションですが、実際に近々このような事件が起きそうでなりません。




