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第46話 隻眼の男とWatts towersの涙

ソニック達Watts towersにとって親代わりとなっていた人物の話です。

 イスラム国という仮面を被った奴らが世界中で暴れている。この時代から世界中でテロリストや戦争が増加している。イギリス、フランス、ドイツ、スペイン等先進国でも暴れ回っていた。ロシアはクリミア半島に侵入した。シリアやウクライナの人々は故郷を追われ、世界中でかくまった。


 2017年10月、ソニック達Watts Towersがラス・ベガスで他のミュージシャンとセッション中に、マンダレイ・ベイ・ホテル付近で銃声が聞こえた。1発どころじゃない無数の銃声だった。ソニック達Watts Towersは、それぞれ近くの建物に付近の人々を避難させ、一緒に籠城した。その銃声は約15分間続き、止まったと思ったら、今度は爆発音が聞こえた。怯える人々と、それを守ろうとするWatts Towersの男達。その内SWATが乱入し、2時間後に事件は収束した。ソニック達Watts Towersは、散り散りにコンボイ達と合流。明け方まで眠れずラス・ベガスをあとにした。


「また何も出来なかった・・・」


とソニックは悔やんだ。


 2020年。世界はかつてない危機に瀕していた。新型ウィルスの蔓延である。いつも笑いが絶えないこの家でも、流石にこれはどうしようも出来ない。ライブをすることが出来ず、ソニック達Watts Towersは2年ほど活動が出来なくなった。ただ家にいるだけ。こんな生活はソニックがアメリカに来て初めてだった。そんな中


「俺達ってほんと休まねーで働いてたんだなあ。」


と気付かされる。


 2022年、行動が緩和され、LA等近郊の外出が許され活動が再開された。これからと言う時悲劇が訪れる。LAベニス&マリーナでの野外ライブ中、史郎がステージ袖で急に倒れた。救急車が駆けつけたが、間もなく死亡が確認された。


 史郎が亡くなった。急性心筋梗塞だった。ソニック達Watts Towersにとって皆の親父のような存在だった。皆、拳を握りしめ、静かに泣きながら墓を掘り、棺桶に入った史郎を埋めた。緑と5人の娘、12人の孫、そして多くの息子達を残し、この世を旅立った。気付けばもう70歳だった。


 棺桶をソニックや鉄治、ジャム、デイブ、スコッチ、Watts Towersを代表してビッグ・ジョーが持った。他のWatts Towers達は墓を掘った。GT達や「Burning Gear」社長の塚原、「Burning Gear America」の古賀、手嶋、木村も駆けつけた。菜月達5人も参列した。


 本当にただ眠っているだけのいつもの史郎だった。悲しみに暮れる全員の中、ただ1人ソニックだけは泣かなかった。棺桶の中にソニックが初めて史郎と出会ったときに着用していたスカジャンを掛けた。その両掌は血で真っ赤に染まっていた。菜月に


「・・・何で兄ちゃん泣かないの?」


と聞かれ、ソニックは


「これが俺の涙だ。男は戦ってる時、武器を手から血が出るくらい握りしめて泣くんだよ・・・この掌の血が俺の涙だ。」


と言って立ちすくんでいた。この歳になってまで随分俺達に付き合ってくれたと感謝の気持ちを表した結果であり、これからは史郎抜きで活動しなければならない。家も自分で守らなければいけない。そんな意思表示にも見えた。


 これからソニック達Watts Towersの戦いは本格化する。今まさに世界中の人々が悲鳴を浴びている。政治、財政難、宗教、戦争、感染症、あらゆる悪の権化が表に姿を現した時代である。ソニックはこれまで出会った大勢の人物の言葉を思い出す。


「Burning Gear」社長の塚原の言葉


「アメリカに行って君の思うその下らない世の中って言うの?君の音楽で一緒にぶち壊してみろよ。」


インターポールのニールとタイマンを張っている最中


「真剣勝負の場でくだらねー事してんじゃねー!」


エデンで傷だらけになり、自分を引き摺っていたマネージャー、鉄治の言葉


「俺は信じるぞ。オメ-はぜってー何かあんぞ。言葉に出来ねー何かがな。」


包帯を巻いてワッツ・タワーに戻ったとき、ビッグ・ジョーが


「おい、これ被っとけ。ここは滅多に雨降らねーが、まだまだ冷えるぞ。」


「お前といるといろいろ楽しめるからよ。付き合ってやるよ。これからもよろしくな、ソニック。」


NYに閉じ込められ、寂しい思いをしていた菜月が


「あれから毎日通って練習したんだよ。今はバク宙の練習してるの。でもどんなに夢中になって練習して強くなっても、やっぱり兄ちゃんいないから怖くて寂しかったの。だから今ので無しでいいからね。」


桜を救出してお礼を言いに来た史郎が


「それより君はミュージシャンか?いい曲じゃないか!もし良かったら俺と組まないか?」


内弟子だった達斗が


「やっぱこのままじゃいけないと思うんだ。もっと強くならないと。」


ダラスで救出してくれたコンボイが


「俺達もお前の仲間になってもいいのか?」


楽器職人のハックが


「ソニック。俺日本に行ってくるよ。この太鼓と同じ素材のスティックじゃないと叩けないと思う。これから日本に行って材料探してくるよ。」


熊襲太鼓が


(こういう状況だから俺がいるんだ。全身全霊で叩け。俺は2000年以上前から準備してきたんだ。俺に全部任せろ。俺を信じろ。そしてお前自身と仲間を信じろ。)


菜月の師匠、黒澤と立ち会ったとき


「これが噂の「Sonic」か。想像以上に凄いな。」


9・11で出会ったジャンボ・マックスが


「ここは俺らの縄張りだ!勝手に入るんじゃねー!」


アメリカでの母、緑が


「あの子ってちゃんと笑えるのね。可愛い男の子じゃない。」


エデンのマスター、ティムが


「何てクレイジーな野郎だ!死神でも取り憑いてんのか?オメ-は!」


アメリカに来たばかりのソニックを何度も治療したライトボーン医師が


「気にしないでいいんだよ。君の音楽はこの病院にも毎日響いてるよ。それで救われた患者も多い。何よりこうして目の前に元気でいる。それでいいじゃないか。」


国際弁護士として共に戦ってくれたルディが


「肌の色や人種で罪をなすりつけ、1人の丸腰を肌色が白くないという理由で大勢でリンチする、はっきりいって腐った連中だ。」


9・11で打ちひしがれているNYの人々が


「神を信じないならいったい何を信じるんだ?」


Watts Towersが


「おい!オメー!何で俺らにやらせねーんだ?」


「オメーがムカつく奴だと思う奴は、俺らにとってもムカつく奴なんだよ!いつまでも1人で暗い過去背負ってんじゃねー!」


「俺達は、ようやく走り出したばかりじゃねーか?こんな馬鹿ほっとけ!」


既になくなった龍司が


「その大事なもんってーのは、お前みたいなごく一部の人間しか握れねーもんなんだよ。俺がどんなに必死に頑張っても掴めなかったもんを、お前は既に掴んでるのに放り投げてしまう。そいつを他の誰かが拾おうとしても、簡単に掴めねーんだよ。それって勿体ねーと思わねーか?」


妻の桜が菜月を引き取る際


「それならあたし達に任せてよ。大丈夫だよ。うちは女の子しかいない家だから。その代わり、あんたも一緒に住みなさい。菜っちゃん寂しがるから。」


新婚旅行先で出会ったベンが


「この力を持つ意味を決して忘れるな。お前はいずれこの世の中を変える男だ。」


「俺にとって大事なものは、長年に渡って築き上げたこの村とこの景色だ。だが、ダイアナのおかげで俺は新しい大切な何かを手に入れた。それは言葉では言い表せないものだがな。」


まるでこれから死地に向かうかのように走馬灯のように大切な言葉が脳裏に浮かんだ。ここまでこんなにも多くの人物に支えられてきた。今回の史郎の死でソニックは完全に目が覚めた。そして静かに燃えていた。


(戦うとしたら今だ!答えは1つ、この腐った世の中をぶち壊して、生きて必ずここに帰ってくる!皆で一緒にこれからも笑って生きるためにな!)


 翌日、Watts Towers全員にその覚悟を述べた


「お前ら、近々本当の戦いの時が必ず来る!俺達の手でぜってーこの腐り始めた世の中をぶっ壊してやろーぜ!」


そして鉄治が


「エデンの夜を思い出そう。あの時の感覚だ!NYのライブの時も合わせて気合い入れていこう!俺達はこうして生きている限り戦わなきゃいけねーんだ!」


Watts Towers全員が


「ああ!準備ならいつでも出来ている。その為に俺達はこうして刃を磨いてたんだ!世界中引っくり返そーじゃねーか!」


と一同気合いを入れた。そして遂にこの腐った世の中とケジメを付ける機会が訪れようとしていた。










ソニック達Watts towers全員にとって親父のような存在でした。これを機に彼らは団結します。

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