第33話 祖国からの来訪者達と白頭巾の悪魔
ソニックや菜月が一息ついたのも束の間、新たな敵がやって来ます。
2002年、菜月が小学校を無事卒業した。この年は、色々な転機が訪れる。桜がよく若草家に日本のミュージシャンを招いていた。その中に日本で駆け出しのソニックを知る人物も複数存在した。その中の1人の日本人女性が、ソニックがある日帰宅すると若草家で待っていた。どこかで見覚えのあるソニック。明らかに檻から出た後に会った事があるような気がした。ソニックは、
「あんた、どっかで会った事ないっすか?」
と尋ねる。すると彼女はバンダナを取り出し頭に巻いた。するとソニックは完全に思い出した。
「あー!思い出した!横浜で路上ライブやってたときの女の子!ミュージシャンになってたのか・・・」
彼女の名前は三沢舞。ソニックがカタメを名乗っていた時代、日本での路上ライブにて毎日聴きに来ていたバンダナを巻いた少女。現在はR&Bを主体としたミュージシャンである。桜が恋人がいる。彼は隻眼だと話を聞き、まさかと思ったらやっぱり・・・と言うことだった。また舞は、菜月がよく聴いていたミュージシャンであり、菜月にサインを上げ喜んでいた。ソニックも
「こんな形で再会するなんて・・・世の中狭いなあ・・・」
と話していた。
その1週間後、「Burning Gear」時代に手ほどきを受けていた先輩達が、LAへレコーディングに来ており、エデンのスタジオで久しぶりにセッションした。
【稲垣 孝弘】
ソニックが所属する「Burning Gear」の先輩ハードロックギタリスト。
ソニックが渡米前、作曲の手ほどきを施す。ギブソンのギターを愛用。
レコーディングでLAに訪れると、たまにソニックとセッションを行う。
ソニックのレベルの高さを年々驚いている。
【小芝 麻紀】
ソニックが所属する「Burning Gear」の先輩女性シンガー。
ソニックが渡米前、作詞の手ほどきを施す。
史郎、桜が来日前まで菜月の面倒を見ていた。
【坂本 真弓】
ソニックが所属する「Burning Gear」の先輩女性シンガー。
ソニックが渡米前、作詞の手ほどきを施す。ソニック同様メディア、カメラ嫌い。
ソニックが結婚前、病気で命を落とす。
彼らとセッションし休憩を取っている時、ある後輩ミュージシャンの話になった。その後輩とは安井理絵「Burning Gear」所属の女性シンガー。ある出来事をきっかけに自信を失っていた。メディアに痛めつけられていたらしい。その後、塚原の薦めで一時期ソニックに預けられる事になり、しばらくの間「Sonic Los Angeles」のライブで前座を務めることになった。ソニックは彼女に
「もうチャートに入ってお前の名が入った旗は上がってんだ。ここで背中向けたらお前のオーディエンスに失礼じゃねーか?周りなんて気にしねーでとことん突き進めよ。人生楽しめよ。」
と背中を押す。その後理絵はWatts Towersのドクターとニコ、ロブ、パイレーツを貸し出し、南部方面でライブツアーの旅に出た。
そして、再び桜が若草家へミュージシャンを連れてきた。今度の人は何故か暗い顔をしていた。
彼女は國吉 佐織
日本のバンド「Glamours Forever」の女性ボーカリスト。日本では知らない者がいないほどのシンガーだったが、メンバーの不祥事での脱退後、残ったメンバーで海外進出するも、日本の音楽業界に阻まれ、解散となってしまったという。まだ海外挑戦の夢を捨てきれない彼女は桜に相談を持ちかけていた。するとソニックは、
「ウチの会社でよければ。」
と鉄治に連絡し、後にソニックにアメリカへ招かれ、「Burning Gear America」所属のシンガーとしてアメリカで再起する事となった。
ソニックの再始動の間に、これだけの日本のミュージシャンがLAに訪れた。「Sonic Los Angeles」は8月初頭に再始動する。今回はNYのテロで中止になったツアーの続きをやり直しながらアルバム作成を行う過酷なスケジュールだ。大学にも通わなければいけない密度の濃い1年となる。更に菜月が中学校へ進学する大忙しの時期であった。
菜月はトーランスの公立中学校へ入学した。窓香、由佳里、望美、千尋や、黒澤道場で知り合った友達も一緒だ。菜月が中学校での入学式の後の事。菜月が四方2cmの小さい包みを持って帰って来た。菜月の通う中学校の前で入学祝いとしてある男が配っていたと言う。何気なく持ち帰った菜月だったが、ソニックには1発でドラッグだとわかった。菜月には
「それ絶対触んなよ!ドラッグだぞ。」
と説明し、菜月の友人達や中学校に報告。更にニールに連絡し麻薬Gメンが来る。菜月達はその男の特徴を聞かれた。ソニックは
「この街で、しかも大事な妹達にまだこんなもんばら蒔いてやがったのか!」
と怒り心頭だった。死神のリックは檻の中。犯人は別にいると鉄治やWatts Towers、そしてGT達や当時世話になったFBIにも捜索を手伝ってもらい、犯人は3日後にベックとジョーカーの垂れ込みで見つかった。その犯人は死神のリックの元部下、サイモン・スミス。エデンでソニックに火炎瓶を投げ、更に第2次ロス暴動の際にニールを拳銃で撃った張本人だった。あの後プエルトリコに逃げ込み、メキシコマフィアと繋がりこのLAへ戻ってきたようだ。ソニックは周りにいたFBIと麻薬捜査官を呼び、サイモンの両腕の関節を外し、顔面を殴打しこう言った
「おい!テメーまだやられ足りねーのか?口利ける間にオメ-のパパ(売人)んとこ連れてけ。」
サイモンは舌を噛もうと抵抗したが、ボクサーのキッドとカンフー使いのブルに歯を全部折られたあげく、FBIに銃を突きつけられ観念し、元締めの所へ案内する。奴らはその場で全員逮捕された。ソニックは
「まだいたんかよ!しかもこの街に!ったくキリねーな!」
とこの先菜月達にまた近づいてくるのでは?と警戒していた。
翌日、そのサイモン・スミスがとある団対と深い関係を持っていることが判明する。白人至上主義の秘密結社「KKK」である。ソニック達Watts towersがまだワッツ・タワーを根城にしていた頃、白い頭巾を被ってやってきたあのショッカーみてーな怪しい奴ら。ソニックは当時Watts towersと共に彼らとやり合っており
「あいつらまだこのLAに残ってやがったのか?」
と振り返る。サイモンだけでなく、死神のリックやエデンにドラッグをばら撒いていた売人はその「KKK」の奴らだとニールから聞いていた。
後日、水曜のエデンでライブをしていると、その「KKK」がのこのこやって来た。もう以前のエデンではなく、普通のライブハウスに戻った聖地を再び汚しに来たのだ。素知らぬ顔でライブを終えたソニックは、その白頭巾の一団のところへ一直線にずかずかと向かっていき、白頭巾を強引に引っ張り「Volt」と「Burst」をお見舞いした。周りにはFBIもいたが特に何も言われず、一言だけ
「死なない程度にやれよ。」
とだけ言われていた。ソニックは白頭巾の上から殴打しまくった。この国で平和に暮らし、穏やかに成長している菜月にドラッグのような汚い物を渡した事で完全にキレており、聖地を汚されたオーディエンスも怒りだし彼らをリンチした。その場にいた者達だけでは飽き足らず、LA中に潜伏している「KKK」を一掃しようとしていた。
翌日、LAの街全体に
「The KKK is a bunch of weaklings!」(KKKは軟弱者の集まり)
というビラを配り、街中にばら撒いた。ライブでも同様の発言をして挑発した。やがて「KKK」の本隊がぞろぞろやって来たが、ソニック達Watts towersだけでなく、FBIやLAの住民達まで彼らを囲み非難し始めた。そしてLA全体が
「白人至上主義者はLAから出て行け!」
というデモ行進まで起こり、新聞沙汰になったほどである。こうして白頭巾を被った悪魔達はこのLAから次々と去って行った。
菜月の中学校生活はこうして始まった。菜月は今稽古している技の足しになるからと新体操部に入部した。授業が終わり、部活を2時間ほど行い、その後黒澤道場でまた2時間ほど稽古し、ジャンゴの車で帰宅する毎日を送る。帰りは大体7時頃になり、たまにソニックや史郎とも帰りが重なることも多くなっていた。ジャンゴにはこの間の事もあり
「どこにも寄らず真っ直ぐ帰宅させてくれ。」
と伝えていた。ジャンゴには菜月のボディーガードも頼んでいる。アメリカの夜はとにかく治安が悪い。この間のように「KKK」みたいな団体もまだ残ってるかもしれない。特に道場へ通う時はソニック達Watts Towersが住んでいたイングルウッド付近を通る為注意が必要だった。車も防弾ガラスを義務づけて厳重に送迎を頼んだ。因みにソニックが購入している車は3台。ハマーやダッジM880、シボレーCUCVⅡといずれも軍用車であり、ジャンゴを中心に運転を頼んでいるが、とてもじゃないが菜月のような年頃の女の子を乗せるのには周囲がドン引きするようなごつい車である。ソニックにとってそれくらい頑丈な車でないと安心出来ないのであった。
この頃に菜月は、数々の格闘技で黒帯を撮るようになり、かなりの自信を付けていた。新体操部でのアメリカ人の友達も作り、順風満帆な生活を送っていた。だが、この時期に菜月の将来を左右する事件が起こる。
KKKの他にも差別主義者はこの世界中に存在します。日本にもいるのではないでしょうか?




