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第25話 名宝 熊襲太鼓と1人の楽器職人

ソニック最強のパワーアップアイテムを得る話です

同時に新たなWatts towersが3人加わります

 少し時が遡る。ソニック達Watts Towersが荒野を彷徨っている間、日本である事件が起こる。それは、1998年3月頃からの出来事である。


 宮崎県のとある神社。ここで不気味な騒音が起こっていた。ある日、神社の前をソニックの曲をかける窓を開けた車が通り過ぎた。すると、


《ボオッ!ボオッ!》


と変な音が鳴る。また、別の日には、神社の近所に住んでる者数名が深夜のテレビ番組でかかっていたソニックの曲に反応し


《ボオッ!ボオッ!》


と再び不気味な音を鳴らしていた。その神社には、日本の国宝「熊襲太鼓」が祀られていた。

 

【熊襲太鼓】


はるか昔の2000年以上前、九州地方に定住していた隼人と呼ばれる一族の熊襲建(くまそたける)という人物が、この太鼓を叩き雷を呼び、大蛇を倒したという伝説がある。その「熊襲太鼓」が、遠く離れたアメリカの地で音楽活動をしているソニックの音に共鳴した。そのような事が重なり、神社の宮司がソニックのCDを購入し、かけてみると、その不気味な音が激しく鳴り響いた。太鼓には一切触れておらず、太鼓の中から


《ボオッ!ボオッ!》


と不気味な音を鳴り響かせていたのだ。不審に思い、歴史研究家等を集めて調査するも、解明には至らないままだった。ましてや国宝のこの太鼓に触れることすら出来ずに調べようがなかった。だがその後、連日のようにこの太鼓は


《ボオッ!ボオッ!》


と毎日のように鳴り響き、ソニックの曲をかけ終わった後、更に激しく


《ゴオッ!ゴオッ!》


と怒り狂うように響かせ、近隣住民を困らせていた。宮司は関係者に


「実際に本人に来てもらおう。」


という結論に達し、「Sonic Los Angeles」の所属するレコード会社「Burning Gear」にこの太鼓の事を伝える。


 現地に着いた「Burning Gear」の関係者達は驚くが、ソニックがこの太鼓が置いてあるここに来るのは不可能と話す。何故ならソニックはこの時点で日本に滞在出来るのは240時間、10日間の内に日本を離れなければいけない規則になっていた。国宝といえど、太鼓を叩くためだけのためにその時間を使う訳にはいかないという判断だった。実際にここから9ヶ月後、ソニックは菜月を迎えに行くために一時帰国し、残り時間は232時間に減ってしまっている。この先まだその時間を大切なことに使うかもしれないと「Burning Gear」サイドは危惧していた。念のために鉄治を通してソニックと連絡を取った。すると、


「悪いんですけど、俺は日本に滞在出来ないんで叩くのは無理です。」


と返答される。その電話越しでは、ソニックの曲がよりによって大音量で鳴らされていた。すると熊襲太鼓が激しく


《ゴオッ!ゴオッ!》


と、まるで獣のような雄叫びを上げ、周囲にいる全員が倒れてしまった。宮司が電話を代わる。


「あなたのその音楽流しただけでこれですよ。聞こえますか?」


確かにその雄叫びみたいな音は電話越しに聞えてくるが、ソニックにはどうしようもない。日本に帰れないからだ。ソニックは


「あの、その太鼓をLAに持ってこれるなら何とか出来ますけど、無理なら諦めてくれますか?」


と頼む。方法はそれしかないからだ。すると宮司が


「とにかくあちこちと掛け合ってそちらへ運んでみます。この太鼓は国宝なので時間がかかりますけど叩いてもらえますか?」


ソニックは持ってこられるならやると了承した。


 それから宮司と「Burning Gear」が動いた。日本政府や皇室まで話しが及んだ。歴史研究家等も交えて話し合いが行われ、2年後の2000年3月、ようやく「2年間の貸与」という形でまとまった。


 こうして宮司と共にLAに搬送されてきた熊襲太鼓だが、さっそく事件を起こす。この熊襲太鼓が、税関で荷物検査の際に勝手に転がり、LA国際空港の外へ飛び出していった。ソニックが過ごしていたワッツ・タワーを勢いよく転がり、車道を走る車をはねのけて、この日に野外ライブをやっていたソニックのライブ会場に向かっていった。この日のソニックはウェストサイドのロデオドライブでドラムを叩いていた。すると、その転がってきた熊襲太鼓がソニックの叩く和太鼓を突き飛ばし、台に乗ってピタッと止まった。オーディエンスも突然の出来事にびっくりだった。それでもライブを中断するわけにもいかないソニックはその熊襲太鼓を叩きながらライブを終えた。熊襲太鼓が転がってきたのは残り3曲という所だったが、ライブ終了後、ソニックは両腕を抱え、膝を突きうずくまる。そして、ソニックが使用していたドラムスティックが粉々になっていた。ソニックが痛がりながら


「・・・1回叩いただけでこの反動かよ?これ使いこなすには相当苦労するぞ。」 


そして、ソニックにだけ熊襲太鼓の声を聞こえた。


(俺を叩け!天地をひっくり返してやる!)


試しに他のメンバー、ドラム担当のバルカン、スクラッチ、バロンが代わりに叩くが、やはりドラムスティックが粉々にされ、3人はそれぞれ腕や肋骨、鎖骨を骨折し、しばらくステージに上がれなくなってしまった。パワー自慢のビッグ・ジョーやブライ、クローバー、巨漢のマック、腕力のあるロッキー、握力のあるニコが挑むが同様だった。この化け物太鼓にどんどん戦力を削られていくWatts Towers。ソニックが


(やっぱ俺がやるしかねーか・・・)


と思うが、


(この太鼓を叩くには技術だけじゃねーよな?第一叩く度にスティックがぶっ壊れるんじゃ話しにならん。)


そんな時、ある男に白羽の矢が立った。


 彼の名はオリバー・ハンコック。通称「ハック」。どうやらジャンキーがいなくなった後のエデン時代から毎日のように通い続けているオーディエンスで、駆け出しの楽器職人らしい。そのハックが最近になって


「あんたらの楽器を作らせてほしい。」


と随分前から頼んでいた。ハックは「死神のリック」の逮捕時や、桜が初めてライブに来たときも来ていた。ほぼ毎日「Sonic Los Angeles」の音に親しんできた男だ。ハックは


「俺が「Sonic」の力を最大限活かせる楽器を作る。」


と豪語していた。そのハックは今日もライブを観に目の前にいる。ソニックはハックに初めて注文する。


「よお、この化け物太鼓叩けるドラムスティック作れるか?出来たらお前が作る楽器全部使ってやるよ。」


ハックは二つ返事でOKし、熊襲太鼓をそっと触る。しばらくすると、


「ソニック。俺日本に行ってくるよ。この太鼓と同じ素材のスティックじゃないと叩けないと思う。これから日本に行って材料探してくるよ。」


ソニックは連れにアポロを同行させ、飛行機代を出す。


 それから2日後、ハックとアポロは日本の宮崎県へ飛んだ。宮司も一緒に帰国した。日本に着くやいなや、ハックは宮司に色々質問をした。どうやら材質は屋久島のケヤキと日本の馬か牛の革だという。ハックはアポロと屋久島へ行く。屋久島の森の中、ハックは木を1本ずつ触っている。まるで太鼓を触っていた時と同じように。それから5日後、2人でキャンプを張りながら遂に見つけたようだ。現地の人物に金を払い、その木を丸一本買ってアメリカへ帰国してきた。ハックが


「この木しかない。これから丁寧に作ってみる。」


と言って、熊襲太鼓と一緒に居住区があるレイクウッドのアナログ・キングダムへ運んだ。でかい大木を慎重に削っていく。ソニックが使いやすい1mの長さのドラムスティック。恐らく木だけでは反動が持たないので、中に空洞の鉛を入れていた。滑り止めに日本から仕入れた和牛の牛革を巻く。20日後にようやく完成した。試しにソニックが叩いてみる。今までにない1回叩くだけで稲妻や嵐が飛ぶような重くて扱いづらいこの熊襲太鼓を何とか叩いてみせた。ソニックは叩きながら


(・・・この太鼓、意思持ってやがる。)


「この太鼓でこんな真っ黒な空引き裂いたら、真っ赤な宇宙から血が噴き出してくんじゃねーか?」


と呟く。そして叩き終わった後、ハックに告げる。


「よし!お前は俺達の74人目の新しいファミリーだ。これから全員分の楽器作ってもらうからな。忙しくなるぞ。」


こうしてまた新たな仲間が1人加わった。


【オリバー・ハンコック】

通称「ハック」

LA在住。Watts Towers全員の専属楽器職人。弦楽器、管楽器、打楽器製作担当。


 ハックはこのままレイクウッドのアナログ・キングダムに2部屋間借りして移り住むようになる。その内1部屋は工房として使用していた。ハックの実家はマリブにあり、彼の父は同じく楽器職人。ピアノやバイオリンを作っているらしい。ハックは幼い頃から父の家業を手伝っており、元はバイオリン職人を目指していたが、「Sonic Los Angeles」のライブを観ている内に感銘を受け、ギター職人へと転身。現在に至る。


 ハックはこの年にドラムスティック6本、ギター8本、ベース6本、ウッドベース1本、ジャズピアノ1台を作り上げた。今後はトランペットとサックスを作るという。


Watts Towersは、ハックの作ったギターに名前を付けようと提案した。ハックが初めて作ったギターを「ハックG1」、ベースを「ハックB1」、ウッドベースを「ハックW1」、ピアノを「ハックP1」と呼んだ。因みにソニックが使用しているのは「ハックG4」と「ハックB2」である。ドラムスティックは特別に「ハック」の名前は入れなかった。ハックが辞退したからだ。ドラムスティックは1対で「武尊」「隼人」「屋久」と呼ぶことになった。


 ハックの作った楽器は本当に「Sonic」の響きを増幅させた。作る際に弾き手の身体のサイズに合わせ、バンド組のかき鳴らす音を飛躍的にパワーアップさせた。Watts Towersの面々も


「今までより断然弾きやすい。それだけじゃない。俺達にも「Sonic」が出せるように作られている。」


と賞賛した。この噂を聞きつけ、ハックの元に大勢のミュージシャンがハックに楽器を発注した。ハック1人じゃ間に合わないので、ハックの盟友2人をアシスタントに付けた。


【ミハエル・ローゼス】

通称「ミロ」

LA在住。Watts Towers全員の専属楽器職人。管楽器製作担当


【ノルベルト・アトタンティーノ】

通称「ノア」

LA在住。Watts Towers全員の専属楽器職人。弦楽器製作担当。

 

新たに2人加わり、Watts Towersは76人となった。ソニックは、


「これ以上あんまり増やしたくない。せいぜい100人弱までにしよう。」


と話す。あまり増やし続けるとチームとして持たないからだ。このハック率いる職人隊は後に「ハック楽器工房」を立ち上げ、多くの音楽家達を支えていくのである。


ハック達3人はWatts towersのラストピースです。

ソニックは和太鼓を叩くので熊襲太鼓を採用しました。逸話は空想の物です。

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