第21話 広いぜ!アメリカ!
第二期Watts towersが合流する話です。また、この話からソニック達Watts Towersがアメリカ全土に活動を始めます。
1998年3月。ソニック達Watts Towersは、アメリカ南部ネバダ州、ニューメキシコ州、テキサス州方面にツアーに臨む。この日はソニック初のツアー、サン・フランシスコ、ラス・ベガス、サンタフェ、サン・アントニオ、ダラス、オースティン、ヒューストン、ニューオリンズでの公演が行われる。LAからエクスプレスウェスト、サンセット・リミテッド鉄道、テキサス・イーグル鉄道と乗り継いで移動しようとするが、サンタフェでの公演が終わった後、メキシコ国境近くのデミングを大分過ぎた辺りで電車が止まってしまい、復旧まで何日かかるわからないという。そこでソニックは、
「降りて歩いて行こう。」
と言い出した。遠くに一本道がある。東に歩いて行けば着くだろうと単純に考えていた。ところが、歩けど歩けど先が見えない。進んでる気が全くしない。あの病院からダウンタウンまで毎日通っていたソニックだったが、完全に計算違いだった。そんなこんなでまる5日程歩き続けた。だんだんと疲れ果て、目がかすんでいく。食事も摂っていないし辺りは荒野、人どころか生き物すらいない。ソニックは初めてこの国の広さを知る。
(広い・・・)
(広い・・!)
(・・・広いぜアメリカ!)
何処かもわからない荒野。倒れ込んだ場所に石碑のようなものが立っていた。「Trinity」と書かれてある。後にこの地が人類初の核実験が行われた場所だと知ることになる。ソニックは一本道に大の字で寝転がりながら呟く。
「この荒野が真っ青でひんやりした南極の砂漠だったらなあ」
荒野をバッファローの大群が走ってくる。脇に逸れるWatts Towers。ソニックはその中の2,3頭をFBIから貰った警棒で倒し、火を起こして皆に振る舞った。食べ終わってからそれぞれ車すら通らない一本道の上で眠りについた。だが、先はまだまだ遠かった。どこまでも続く荒野の一本道で、仲間達が次々と倒れていった。するとそこに一台の大型トレーラーが通りかかり、ソニック達Watts Towersに声をかける。
ドライバーの名前はコンラード・ボーイ。大柄な白人男性。ダラスのライブ会場がソニック達の一団が到着していないと知り、彼に迎えに行くよう要請。偶然にもソニック達を発見し、コンテナ内へ運んだ。ソニック達は、手渡された水を飲みながら彼に礼を言う。だが、彼の顔は浮かばれなかった。訳を聞くと、彼の経営する運送会社が倒産したらしい。これが最後の仕事だと話した。するとソニックは彼を誘った。
「だったらLAに来て俺らの仲間になってくれよ。この広いアメリカを、お前らのトレーラーで一緒に旅しようぜ。お前の会社ごと俺らが引き取るからよ。俺達は空で移動するより、広いアメリカの大地を旅したいんだ。」
彼は「返事は待って欲しい」と言いつつ、ダラスまでソニック達を乗せていった。
ソニック達は送ってくれた礼として、彼と彼らの社員21名にチケットを配り、ライブに招待した。最初は皆、職を失い元気が無かったが、「Sonic Los Angeles」のライブが始まると、何もかも忘れるように楽しんでいた。そしてダラスでのライブが終わると、彼らはソニックと鉄治にあの時の答えを話す。社員全員で話し合ったそうだ。
「俺達もお前らの仲間になってもいいのか?」
ソニックやビッグ・ジョー、ボスが返答する。
「当たり前だよ。大歓迎だ!」
「これからも頼むぜ!大将。」
「みんなもよろしくな!家族も連れてきていいからな。まとめて面倒見るからよ。」
このダラスで新たに21人の仲間が加わった。
【コンラード・ボーイ】
通称「コンボイ」
ダラス生まれのダラス育ち。コンボイ軍団の社長兼リーダー。190cmの巨漢。
【タブ・ボイド】
通称「ターボ」
南アフリカ出身のアフリカーンス。先導車担当。エンジンなどのパーツが作れる修理屋。第二運転手。
【ヴォルフガンク・ヨンク】
通称「ゼロヨン」
オランダ系アメリカ人。ネバダ州リノ出身のスピード狂。先導車担当。元キャノンボーラー。第二運転手。
【ドナルド・ヒルトン】
通称「タンク」
バージニア州リッチモンド出身。旧ザイールからの移民。タンクローリー担当。
【ダンカン・プティ】
通称「ダンプ」
ミシシッピ州ガルフポート出身。北アイルランド系移民。重機なら何でも操れる。カーキャリア担当。
【クリスチャン・ランパード】
通称「クリス」
ニューメキシコ州サンタフェ出身。几帳面な掃除屋。スタジオ車担当。
【ウォルター・ジェファーソン】
通称「ジェフ」
カンザス州ウィチタ出身の黒人男性。身長188cmの巨漢。貯水タンク車担当。
【ミゲル・スアレス】
通称「ミグ」
ヒスパニック。テキサス州オースティン出身。実家が惣菜屋。冷凍食料車担当。
【セルジオ・トーレス】
通称「ゼータ」
フロリダ州オーランド出身のラティーノ。礼儀正しい元ホテルマン。寝台車担当。
【トレバー・ハワード】
通称「ハルク」
ケンタッキー州レキシントン出身の黒人男性。元海兵隊でカレーが得意料理。冷凍食料車担当。
【クラウディオ・マイルズ】
通称「ディオ」
コロラド州デンバー出身のムラート。元執筆家。移動図書館兼第二運転手。
【ディディエ・ルロワ】
通称「マンモス」
アラスカ州アンカレジ出身のエスキモー。元自然保護員。キッチンカー担当。
【フランソワ・デュラン】
通称「フランキー」
ルイジアナ州レイクチャールズ出身のケイジャン。ロスに赴いたときに暴動に参加。診療車担当。
【パトリック・ゲイル】
通称「ジャンゴ」
ドイツ系アメリカ人。インディアナ州ラファイエット出身。元ギャングの構成員でソニックの専属ドライバー。第二運転手。
【ホセ・マリオ・バケーロ】
通称「マッハ」
ヒスパニック。テキサス州ヒューストン出身。仕切り屋で寮の管理人兼トレーラーハウス担当。
【ピエルルイジ・マルコスティ】
通称「マルコ」
ノースカロライナ州グリーンズボロ出身のイタリア系移民。チューニングの天才。カントリーをこよなく愛する。トレーラーハウス担当。
【ラファエル・グティエレス】
通称「グッチ」
グアテマラからの移民。のんびり屋の肥満体。寝台車担当。
【ガストン・ダドリー】
通称「ガッサ」
ミネソタ州ミネアポリス出身。世渡り上手な元商社マン。経理担当。
【ロジャー・ドラモンド】
通称「ロージー」
パナマからの移民。女ったらしで時間にルーズ。第二運転手
【デニス・サブウェイ】
通称「サブ」
アーカンソー州リトルロック出身。今年入社したばかりの新卒。第二運転手。
【オズワルト・ドミンゲス】
通称「ドミンゴ」
ニューメキシコ州アルバカーキ出身。好戦的なヒスパニック。第二運転手。
ソニックの新たな仲間が加わった。彼らを味方に引き入れた事により、「Sonic Los Angeles」は全米をツアーに回る事が可能になった。彼らのおかげで残りのツアーも順調に進み、ニューオリンズのファイナルまで無事終わった。このツアーの後、6枚目のアルバムを出す。
コンボイ部隊の大型トレーラーでダラスから一旦サン・アントニオへ戻り、その後オースティン、ヒューストン、ニューオリンズでのライブを終わらせる。サン・アントニオは一旦飛ばしてしまったため、深く謝罪した。予定は大分遅れてしまったが、サン・アントニオの公演以外は問題なく進んだ。後からコンボイ達に聞いたら、ソニック達Watts Towersは、方角を完全に間違えており全く別方向へ歩いていたらしい。「Trinity」は戦時中核実験が行われた場所だと仲間のディオに聞かされてびっくりした。そう。鉄治の出身は広島で、まさに運命が繋がった形になった。また、自然に詳しいマンモスに
「こんな広い荒野を何も持たないで歩くなんて無謀だ。お前ら本当に歩いてサン・アントニオやダラスに来ようとしていたのか?」
と呆れ果てていたようだ。日本の電車しか知らなかったソニックは、アメリカの広い鉄道網を完全に舐めており、日本のように乗り換えですんなり行けるだろうと思っていたのだ。そんな話をしながら、ソニック達Watts Towersは、ダラスで知り合った新たな仲間、コンボイ部隊をWatts Towersに歓迎し、LAの帰路に着いた。
コンボイ達ダラス組は、取り敢えずレイクウッドのアナログ・キングダムに住居を与えた。狭いので所帯持ちは2部屋貸した。そこから彼らに色々と注文した。これからは大型トレーラー数台で移動する事になる。燃料を積むタンクローリー、貯水タンク、今後もホテル等を借りるつもりはないので、寝台車や食糧を積む冷凍車、トレーラーハウス、キッチンカーや診療車等、特殊車両の免許を取ってもらった。長旅も考慮して各車両に2人ずつ交代で運転するように伝えた。またソニックは隻眼で運転免許を持てない為、代行運転も頼んだ。彼らは直ぐに取りかかり、4ヶ月程で全員免許を取得した。彼らはこれから欠かせない存在となっていった。GTが抜け52名になっていたWatts Towersは、彼らを加えて73名の大所帯となった。
その後もコンボイ達と一緒に全米を回った。シアトル、ポートランド方面の西部、マイアミやオーランド等の東南部、メンフィスやナッシュビル等の南部、デトロイトやシカゴ等の北部、NYやボストン等の北東部、カンザスシティやオマハ等の中部、そして、アメリカの首都ワシントンDC。他にもこの1年でアラスカ、ハワイを除く48州と実に300程の都市でライブツアーを敢行した。彼らコンボイ部隊の加入はあまりにも大きかった。
また、コンボイ達はLAで新しく会社を立ち上げ直した。スポンサーには礼としてソニック達Watts Towersが出資した。彼らは普段、LAで通学バスの送迎やデリバリーに勤しんでいる。免許の持てないソニックの運転手は、元ギャングのジャンゴが務めるようになった。彼らは車検もこなせるので、車を購入し始めたWatts Towersにとても重宝された。バイクに精通する者も多く、Watts Towersのゴッグ、ルーク、ハウンド・ドッグと、ターボ、ゼロヨン、ダンプが組んで、バイクショップを始めてみるらしい
コンボイ達21名が新たに加入した新生Watts Towers。全米を回ったことで知名度も急激に上がった。その5ヶ月後、7枚目のアルバムも完成。その後、LAに帰るとある知らせが届く。
アメリカの鉄道は一駅までかなりの距離と時間がかかるそうです。また、この地は物語終盤に来る事になります。




