表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/58

その25の2


「無能のくせに強いやつにすり寄って


 おいしい目だけ見ようってやつが、


 俺は死ぬほど嫌いなんだよ……!」



「おまえのことか?」



「あ?」



「次期国王にすり寄って、


 うまい汁を啜ろうってんだろ?」



「無能はテメェだろうが!」



「そうか?」



 致命傷を狙い、エランはレグの顔面へと突きをはなった。



 それを見たレグは、スキルを発動させた。



「っ!?」



 エランは顔色を変えた。



 レグが空中に出現させたのが、見慣れた形状の爆弾だったからだ。



 今ここで起爆すれば、レグもエランもタダでは済まないだろう。



 爆弾は、ナイフが向かう先に浮かんでいる。



 冗談じゃない。



 エランは攻撃を急停止させ、体を硬直させた。



 その瞬間、レグは一歩ふみこんだ。



 そしてエランの腹へと、全力の拳を叩き込んだ。



 鈍い嫌な音が、倉庫内に響いた。



 ……決定打を受けた。



 呼吸すら困難になる痛みが、その事実をエランに告げた。



 だがそれでも現実を受け止められず、エランは目を見開いて喘いだ。



「バカな……俺は……特級……」



「そ。俺もそうだったよ」



 心が現状を拒んでも、事実を捻じ曲げることなどできない。



 エランはどうしようもなく、地面へと崩れ落ちた。



 レイスが残りの敵を叩き伏せ、キリアンの部下は全滅した。



 たった一人になったキリアンに、レグが向き直った。



「さて、残りはおまえ一人だが、


 どうするおぼっちゃん。もう一戦やるか?」



「……やめておくよ。勝ち目があるとも思えないからね」



「そっか……」



 レグは脱力して、ナイフを『収納』した。その直後。



「ブッ!?」



 キリアンの顔面に、レグの拳が突き刺さっていた。



「けど1発だけブン殴らせてくれ。悪いな」



 吹き飛ばされたキリアンは、地面をごろごろと転がり、やがて動きを止めた。



 それから少しして、レイスの連絡を受け、応援がやって来た。



 キリアンの部下は拘束された。



 兵士たちと一緒に、アムの両親も現場に駆けつけてきた。



 ジャバックとシトリーが、首謀者であるキリアンと向かい合った。



「…………」



 シトリーが、無言で涙を流した。



 直後ジャバックが、キリアンを殴りつけた。



「母親を泣かせるな。アホウが」



「ごめん」



 それからキリアンは、どこかへと連行されていった。



 その場に残ったジャバックは、レグのほうへとやって来た。



「娘を助けてくれたこと、本当に感謝する」



「いえ。仕事ですから」



「ギルド長のめがねに狂いはないな。


 礼の報酬の件だが、


 数日以内には手配できるそうだ」



「よろしくお願いします」



「それでは……行こう。シトリー」



 血の繋がらない息子を気遣って、シトリーが口を開いた。



「……あの子はどうなりますか?」



「死なせはしない」



 ジャバックたちは去った。



 レグはアムに声をかけた。



「送るよ」



「……はい」



 アムはシルクの鞍に乗せられることになった。



 レグがその手綱を取った。



 レグたちの後ろを、レイスを乗せたカゲトラが駆けた。



 いつもよりゆっくりと、シルクは街路を駆けていった。



 猫に揺られながら、アムが口を開いた。



「……レグ」



「何だ~?」



「拗ねたようなことをしてしまい、申し訳ありませんでした。


 そのせいでこんな大事になってしまって……」



「べつに。厄介ごとが片付いたなら良いと思うがな。


 しかし……どうしたもんかな……」



「何がですか?」



「エナンカのことだよ」



「エナンカ……?」



 レグには見えない位置で、アムはきょとんとした表情を作った。



「忘れたのか?


 レイガルルの所の新入り」



「知ってますけど。


 どうでもよくないですか? あんな人」



「おとなりで邪龍討伐の作戦があったらしいんだが、


 軽く手傷を負わせただけで、


 部隊は撤退したみたいだ。


 目的はわからんが、邪龍はこの国にやって来るだろう。


 レイガルルが邪龍と戦うはずだったのに、


 大事な戦力を豚箱おくりにしちまった。


 替えのメンバーが見つかれば良いが……」



「弱かったですよね? あの人。見つからないんですか?」



 エランはレグにあっさりと叩きのめされた。



 キリアンの他の部下と同等の、三下でしかない。



 アムの目にはそう見えたようだ。



「強かったが?


 あいつがただのザコなら、小さな花火が拝めただろうさ」



「花火?」



「それに、冒険者にとって重要なのは、単純な強さだけじゃない。


 それぞれの天職に応じた役割をこなす必要がある。


 …………困ったことになった。


 レイガルルになんて言うかなぁ」



「悪いのは、キリーとその口車に乗ったあの男でしょう?


 レグが悩むようなことではないと思いますが」



「そうだけど、影響でかいよなぁ」



「ひょっとして……レグが穴埋めとして


 レイガルルさんのパーティに入るつもりではないでしょうね?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ