表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/58

その22の2


「位置がわかれば、現状を打破できるのですね?」



「俺は腐っても冒険者です。


 並の魔獣に負けたりはしませんよ。……っと」



 レイスと話をしながら、レグは敵の攻撃を防いだ。



「敵が並の魔獣でなければ?」



「もしそうなら、俺たちはとっくに死んでますよ」



 並外れた魔獣の攻撃を、こんな盾で防げるはずがない。



 防御が成立している時点で、相手は凡百の魔獣でしかない。



 レグは自身の冒険者としての経験から、そう値踏みしていた。



「……わかりました」



 レグの言葉に納得して、レイスは前に出た。



「次の攻撃で、私が敵にマーキングします。


 後のことはよろしくおねがいします!」



 レイスは武器も持たず、レグの前に立った。



「ナーガエールさん……!?」



 レグは驚きつつも、彼女を止めることはできなかった。



 すぐに霧の奥から攻撃が来た。



 影に反応し、レイスは手を前に伸ばした。


 

 敵の突進に、レイスの両手が触れた。



 それと同時に、レイスは足元に魔法陣を展開させた。



 衝撃で、レイスの老いた腕が砕ける。



 敵の大質量が、レイスを吹き飛ばした。



「レイっ!?」



 後ろに飛ばされたレイスの姿が、アムの視界から消えた。



 レグはレイスを気遣って、彼女に振り向こうとした。



 それをレイスが制止した。



「リカールさま……前を……」



 レイスの言葉を受けて、レグは前方をじっと見た。すると。



「っ……! これは……!」



 霧の奥に、光が見えた。



 見覚えのある光だ。



 レイスが服を乾かすために使っていた術。それが放つ光だ。



(敵に治癒術をかけたのか……! これなら……!)



 光は霧を貫いて、敵の居場所をレグに教えてくれていた。



 霧の妨害さえなければ、並の魔獣ていど、レグは怖いとは思わない。



 攻めるべき時が来た。



 レグは盾を『収納』し、地面から魔剣の鞘を拾い上げた。



 そして剣を鞘に納めた。



「ちょっと……! 諦めたの……!?」



 レグの行動が、戦意の喪失に見えたようだ。



 レッティが動揺を見せた。



 一方で、そばに立つトリーシャは冷静だった。



「いえ。レッティさま。あれは……」



 トリーシャにはレグが何をしようとしているのか、見当がついているようだ。



 レグは低く構え、鞘に魔力をこめた。



 鞘が輝きをはなった。



 霧の向こうから、光がレグに近付いてきた。



(丸見えなんだよ……!)



 出所がわかっていれば、恐ろしくもなんともない。



 レグは集中力を高めた。



 霧から敵が飛び出した。



 レグは戦闘歩法で横に動いた。



 目を凝らしていたレグの瞳に、大蛇の頭が映った。



 瞬間、レグは鞘の魔力を爆発させた。



 それに合わせて、レグは片刃の魔剣を抜刀した。



 目にも留まらぬ速度で、青い刀身が走った。



 次の瞬間、口から胴体のなかばまで切り裂かれた蛇が、地面に倒れた。



「メイルブーケ流魔導抜刀……裂氷-れっぴょう-」



 事を為遂げたレグは、魔剣を鞘に収めた。



 絶命した魔獣は、その姿を消滅させていく。



 それに同調するかのように、周囲の霧が晴れていった。



 景色が明瞭になると、レグは視線を巡らせた。



(これで終わりか?


 霧は魔獣の力だったのか……?


 いや。そんなことは後回しだ)



 レグは後ろに向き直り、レイスに駆け寄った。



 魔獣の攻撃を受けたレイスの腕は、嫌な方向に曲がっていた。



 目は閉じられている。



 意識を失っているのかもしれない。



 それを見たレグは、スキルで回復ポーションを取り出した。



 そしてレイスの口に、強引に薬を流し込んだ。



「う……」



 すぐに薬が効いたのか、レイスは両目を開いた。



「だいじょうぶですか?」



「……はい。魔獣は……?」



「倒しました」



「さすがはリカールさま。


 話に違わぬお手前ですね」



「まあ、あれくらいなら。


 それよりも、あんまり無理をしないでください。


 ひやっとしましたよ」



「他に手が思い浮かびませんでしたから」



「……それなら俺の失態ですね」



 とっとと打開策を思いついていれば、レイスが無理をすることもなかった。



 彼女を責められる立場ではなかったなと、レグは苦い気持ちになった。



「いえ。それよりリカールさま……」



「何ですか?」



「腕が……」



 レイスは痛ましげにレグの腕を見た。



 魔剣を振るった彼の利き腕が、折れ曲がっているのだった。



「えっ……魔獣にやれらたのですか……!?」



 事態に気付いたアムが、驚きと焦りを見せた。



「ただの自爆だ。これくらいならポーションで治る」



 技が不完全だった。



 そのせいで怪我をした。



 それだけのことで、予想ができていた事態だった。



 冒険者として痛みに慣れているのか。



 レグは重傷を負っても平然としていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ