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113 突撃、隣の魔術師!

「ミア、一緒に旅行しませんか?」


いいこと思いつきました。


「え?いきなりなんなの?」

「旅行です。私、ミアと外に出たことなかったな〜って思って」


まぁ、これは事実だよね。

ミア、基本的に研究所から出ないし。見れば机にひっついているし。


「でも……」

「でもじゃないです。ミアも外に出て運動した方がいいですよ」


私がいえたことじゃないけどね。


「う、運動ならしているわ!」

「……一応どんなのか聞いてもいいですか?」

「脳の運動よ!毎日微妙に質量を測ったり……」


絶望的。


「とにかく、行きます。ミアも一緒に。大丈夫です。ちゃんと目的もあるんで」

「……目的って?」

「ミアの助手を探すんですよ!」

「無謀じゃないかしら?」


大丈夫。


「当てはあるんで!」

「……そう。ならいいんだけど」

「じゃ、早速行きましょう」


善は急げ、行動するが勝ち、だ!


「でも……」

「実際は転移するんで問題ないです」


その後にちょっと観光ができたらなぁって企んで入るけどね。


「……わかったわ」


やった!


「……流石にこのままの格好じゃマズいわよね?」

「そうですね。えっと……私が魔法でどうにかしましょうか?」

「大丈夫よ。普通にシャワー浴びてくるわ」


そ、そうですか。


「じゃあ、待ってます。……逃げないでくださいね?」

「稜華、貴女、わたくしをなんだと思っているの!?」

「ミアです」

「そうだけど……」


あはは。さ、早く行ってらっしゃい。

シャワーに向かったミアを見送ると私は目の前の問題に向き合う。……うん、心当たりはあるんだよ。だけど、どの魔法陣を使ったっけなぁって思って。

まぁ、最悪の場合はダイレクトじゃなくていっか。




**




「……お待たせ」


10分後、ミアが戻ってくる。

いつもとは違い、しっかりとした黒のローブを身につけている。


「じゃあ、行きましょうか」


と言っても、結局どの魔法陣か思い出せなかったから近くに行くだけなんだけどね。


「転移」


つきました〜!


「稜華、ここって……」

「祠です」


ここはトゥリズモ・テッレーノ地域。


「ミア、助手になってくれそうな人はここにいます。だけど私、肝心の魔法陣を忘れちゃったんですよね」

「そ、そう……」

「だから、ミアが攻略してください」

「え?」

「ミアが、攻略してください」


だって、私だけじゃ無理だもんね。

ここには〈青緑の魔術師〉が眠っているのです!……自分では起きれなそうなシステムだけどね。


「……分かったわ」


ミアは祠に入るとものすごいスピードで攻略していく。

……さすが魔術師だね。魔力量も魔術知識も抜かりないからスムーズだ。あっという間に〈青緑の魔術師〉が眠っている部屋に辿り着いてしまった。

夏休みに来たとき、設置した魔法陣もちゃんと残っている。


「……ねぇ、稜華」

「なんでしょう?」

「祠の中に転移できたんじゃない?」


……。


「……そんなことないですよ」

「嘘ね。今、わたくしが貴女に強制的に吐かせてもいいんだけど」


え……。


「3秒以内に決めて。3、2」

「自分で言います」

「ならなんなの?」


はぁ。バレてしまったか。

魔法陣で転移できるのが1番楽だったんだけど、別に転移魔法を使えばダイレクトに来れそうだったんだよね……。


「……見たかったから、です」

「大きな声で」

「魔術を、見たかったからですっ!」


私、思いついちゃったんだもん。

もちろん、どの魔法陣を配置したっけて思い出そうとして。結局思い出せなかった。

だけど、途中でも思っちゃったんだよね。転移魔法使えばダイレクトに行けるんじゃない?って。だけど。


「この祠の関門?的なやつって、魔術関連で構成されていますよね」


だから。


「ミアが攻略すれば、魔術のことがもっとわかるんじゃないかなぁって思って……」


だんだんと言葉が尻すぼみになっていく。


「なんだ。それだけのこと?」


それだけで済ませられないんですけど……。


「魔術くらい、わたくしが教えるわよ?」

「良いんですか!?」

「良いわよ。条件があるけど」

「なんでしょう!?」


魔術を学べる!めっちゃ嬉しい!!


「まず、魔術を使うにしては魔力量が少ないわ。……まぁ、そういう風に造ったんだけど。とにかく、魔術を学びたいなら魔力量を上げない。あと、魔力貯蓄量も」

「分かりました!」


頑張ればどうにかなる気がする!


「外で魔術を使わないこと。魔術を使うならわたくしの研究所内で」

「……研究所の中で、ですか?」

「ええ。訓練室があるから。簡単には壊れないわよ」


なるほどなるほど。


「わたくしの研究に協力すること」

「はい」


まぁ、これは通常より研究所に来る回数を増やせってことだよね。


「最後。……だけど、絶対じゃないわ」


条件なのに絶対じゃない?




「……錬金術も、一緒に学んでくれないかしら?」


え?でも……。


「錬金術は一族内で秘されるもの、じゃないんですか?」


閉鎖的な社会。それが私の持つ錬金術師一族の印象だ。


「……もう誰もいないのよ?わたくしが家長同然だわ」


わぁお。すごい暴論。


「だからわたくしが言えば問題ないんじゃない?しかも誰も咎める者はいないもの」


そう、なんですか……。


「……分かりました。条件は飲みます。錬金術も、やらせてください」


それで少しでもミアの心が軽くなるならば。


「ありがとう」


透き通った声。顔をあげれば、どこか儚げで嬉しそうで。そんな、矛盾した表情が見える。

改めて思う。ミアは、綺麗だなって。


「……さて。〈青緑の魔術師〉を起こしましょうか」

「そうしましょう」


本題からズレかけてたけど。ここに来たのは、〈青緑の魔術師〉に協力してもらうためだ。


「えっと……このボタンを押せばいいの?」

「確か、そうだったと思います」


押したのは風華と美華だったからよく覚えていないけど。

カチリ、とボタンを押し込む音。それとともに冷気が当たりを漂い始める。同じだ。夏、姉妹で来た時と同じ。白い霧の向こうに黒い影が現れた。


「んん……また誰かが来たの……? 最近はすごいね……」


霧が晴れた頃、現れたのはう〜んと背伸びをする〈青緑の魔術師〉。


「わ、今回も若いね。前回は6人だったけど、今回は2人なんだ。すごい」


〈青緑の魔術師〉は寝癖を申し訳程度に直すと何回かペチペチと頬を叩き、シャキッとした。


「こんにちは、挑戦者さん。祠の攻略おめでとう」


ありがとうございます。


「私はブレッザ・プリマヴェリーレ。三次色、〈青緑の魔術師〉だよ」


知ってます。


「えっと……あれ?どっかで見た顔……」


しばらく考え込んだ後、何かを思い出したようにポンと手を叩いた。


「あ、あの子だ。前回、6人で来た子。……見た感じ、老けてないね?そんなに時間、経ってない?」

「……そうですね。半年ほどです」

「そう。そんな短期スパンできたってことは、何か用事が?」

「ええ、そうよ」


今まで恐ろしいほどに気配を消していたミアが言う。


「え?あれ?はへっ!?」


奇声をあげ、私とミアの顔を交互に見る〈青緑の魔術師〉。


「大層な名乗り文句ね、〈青緑の魔術師〉さん?」


震え上がるような恐ろしい笑みを浮かべるミア。


「わたくしは二次色〈紫の魔術師〉レッダ・ミア、よ」

「は、はいぃっ!すみません!すみませんすみません!!今おります!」


ものすごい勢いで捲し立てた後、ピョンと台座から飛び降りる。


「ど、どうぞ」

「貴女が寝てたところでしょう?」

「す、すみません」


どうやら、魔術師の上下関係は大層厳しいようだ。

……ミアと〈青の魔術師〉はあんなに言い合っていたのにね。いや、ミアが異端なだけか?


「えっと……本日はどのようなご予定で……?」

「そうねぇ……」


そうですね。


「稜華、言ったら?」

「良いんですか?」

「別にわたくしはどうでも良いわよ」


そうですか。なら、遠慮なく。






「突撃、隣の魔術師!」

お読みくださり、ありがとうございました。

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