110 グランデ・フィウーメ校の二人組
ちょうど1年前の今日、6姉妹の物語を投稿させていただきました!ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
「確かに。……オレも知りたいな」
誰ですか。
「そうでしょ、希翠?」
「そう、だな」
知らない人の後ろから青龍希翠が顔を見せる。
「王都校の生徒会副会長さん、はじめまして。それから、そこの君たちも久しぶり」
「ステッラ・ポラーレ王国 国立魔法学園グランデ・フィウーメ校、生徒会第三位。〈月兎〉のコッニ・リオ参上、だよ」
なかなか古風?ですね。
「王都校生徒会副会長、〈異界からの誘い魔女〉の紫月稜華です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね」
……この人、なんか深入りしたらすごい痛い目にあいそうな感じ……。
「ほら、希翠も」
「俺は紫月に名乗ったこと、あるけど」
「紫月さんじゃなくて、そっちのうちの生徒たちの方に」
はぁ、と青龍希翠はため息をつくと、声高に名乗り上げた。
「グランデ・フィウーメ校生徒会長、〈青龍〉の青龍希翠、だ」
へぇ〜。
青龍希翠の二つ名って〈青龍〉なんだ。
初めて知りました。なんか、これ、各学校ごとに法則がありそうだよね。
「さて、ウチの庭に入り込んだのは誰かな?」
コッニ・リオ、怖っ。笑顔が怖いっ!
だけど、これだけは言わせてくださいっ!
「庭ってなんですか、庭って」
「ん〜? オレらの領域?」
「そ、そうですか……」
理解するのが難しい……。
「で? 情報源はどこ? 早く吐いてくれないかな?」
「な、なんで言わないといけませんの!?」
「オレが知りたいから」
側から聞いていると横暴なセリフですね。
「オレが言ってんの。生徒会序列第三位のオレが」
「せ、生徒会長!こんな横暴があっていいのですかっ!」
まさかの敵サイドだった青龍希翠に助け的なのを借りようとしているんだが。
「別に。俺はどうとも思わないし。リオの判断に任せる」
これ、狂犬を野放ししているのと同じでしょ……。
今までの感じを見ただけだと、コッニ・リオ、かなりの危険人物疑惑があるんだが……。
「というわけで。ここで騒いだら迷惑だしね? 生徒会室、行こっか」
……なんか、警備署に笑顔で連行するのと似てない?これ。
「な、なんでですの!?」
「……紫月さん。合同文化祭と同じようにしてもらっていい?」
「え? どういうことですか?」
なんでいきなり合同文化祭が出てくるんだろう。
「ほら、王都校とベッロ・コスタ校の生徒を司令室に連行する時に使ったやつ。……オレ、あれを後で見て驚いたんだよね。どういう魔法、使ったの?」
「……普通の魔法です」
……ええ、魔法庁に届出を出していないだけの、ただの魔法。
「で、使っていいんですか?」
「いいよ。希翠もいい?」
「許可する」
おいぃ、生徒会長がそんな軽い感じでいいのか!?
「……それでは」
多分、わたしには拒否権ないんだよねぇ。
「情報操作」
睡眠効果のあるものを空気にのせ、魔法でお騒がせ二人組のところに持っていく。
すると瞬く間にコテン、と寝落ちした。
「情報操作……情報魔法、か……?」
……もしかして適性魔法を当てようとしているのかな?
「じゃあ、行きましょうか」
その生徒会室とやらに。
「青龍会長、生徒会室ってどこですか?」
「……案内するから歩け」
「嫌です」
何が悲しくて歩かなきゃいけないのかなぁ。
せっかく魔法が使えるんだから、魔法、使わないと勿体無いよね。時間も勿体無いし。
「……生徒会室は中央校舎3階の東側の突き当たりにある」
「ありがとうございます」
はぁ、とため息をついたものも教えてくれた。
「転移」
……流石に今度はいきなり中に突入、っていうことはしませんでした。
私は学べるからね!ちゃんと入り口の前に転移したのです。
「入っていい」
「失礼します」
一緒に転移しておいたグランデ・フィウーメ校生徒会組に言われ、私はそっと生徒会室に踏み込む。
「ようこそ、グランデ・フィウーメ校生徒会室へ」
……うん、ありきたりな生徒会室だった。王都校と大きく変わりない。強いて言えば王都校より爽やかな印象を受けること、だろうか。
「……あのぉ、私、転校したわけでは……」
「そうだね」
なんなんですか。
まるで新しく入ってきた人みたいな感じのセリフを言っておいて。
「……さて」
「……リオ、ほどほどにしておけよ?」
「わかってるよ、希翠」
え、なんか恐ろしげな雰囲気なんですけど……。
「あの、私、そろそろ調べ物に……」
「「ダメ だ/だよ?」」
……マジか。
「楽しい楽しいご……尋問の時間だよ♪」
拷問の間違いじゃないのかなぁ……。いや、絶対と言っていいほど拷問と言いかけたような気もしなくはない……。
だって、さ……雰囲気がそうなんだもん。コッニ・リオの口調が恐ろしく軽くて、だけど言ってることが恐ろしくて。……目が据わっているって言いますか…。
「わ、私っ……!やっぱ帰りますっ!」
こんな恐ろしいところにいてられるかっ!!
先手必勝、逃げるが勝ちっ!
「転移!!」
……ふぅ。
逃げ切れたかな。ここがどこか知らないけど、広大な学園の中で一人を探すのは相当難儀だもん。少なくとも、時間稼ぎにはなるよね。
すぐに図書室に行くのは安直だし……どうしよっかなぁ……。
「……紫月、稜華」
「ひいぃっ!」
地を這うような、恐ろしいほど低い声。
「転移っ!」
「逃すかっ!」
「転移!」
嘘!?
なんでことごとく転移先に青龍希翠がいるの!?
「転移転移転移転移!」
「……無駄だ」
「なんでよぉ!!」
振り返れば青龍希翠。
なんでこうなった!!
「そもそも私っ!!」
なんでなんで!
「ここには調べ物のために来たわけでっ!」
だから!
「協力する義務などありません!!」
はぁ……疲れた。
話しながら走る……じゃないや、魔法を発動するのはなかなか疲れる。
「一回止まれ!」
嫌だよ。絶対止まるもんか。
「止まれ、紫月稜華っ!」
絶対絶対嫌だ……って、え?
「事情を聞け。いいな」
「……あのぉ、これは……」
魔法、ですよね?
私、身動きができないんですけど。
「とにかく、話をきけ」
いいな?と青龍希翠は睨みを利かせて行った。
**
「……で、青龍会長とコッニさんがえっと……取り調べ?をする時には必ず第三者がいないといけない、と……」
なんでも、過去に恐ろしい取り調べとやらをして、問題になったとか。……まぁ、コッニ・リオなら恐ろしい尋問をしそうだよね。精神的に悲しくなるって言いますか。
それで学園長から禁止令が出たそうで。
「一つ言っていいですか?」
「なんだ?」
「バカですね」
バカですか、じゃない。断言する。
「俺は巻き込まれだけだ」
「同罪ってことじゃないですか?」
だって、さっきの見た感じ、この青龍希翠はコッニ・リオのことを飼い離しているじゃん。ちゃんと操れないとダメだよね。私が言えたことじゃないけど。
「というか、こんなんで聞き取り、する必要あります?」
そもそもだよ!
そんな嫌味を一つ二つ引っ掛けられたぐらいで生徒会室に連行とか。どんな学園ですか。いえ、グランデ・フィウーメ校でしたね、ええ。
「とっっっっても下らないと思うので、私帰りますね。失礼します」
さて、図書館へ行きましょう。
早く調べ物を終えて、早くミアのところに帰ろう。うん、それがいい。
「転移」
「ちょ、待て……」
誰が待つもんですか。
私はさっきまでいた席に戻り、今度は周りなど気にせず、どんどん内容だけを読み取っていく。
……あとは研究室でまとめればいいよね。来た時も誰にも言わなかったし、勝手に帰っても問題ないだろう。
「転移」
「あ、稜華さん」
……ヘリコニア先生。いたんですか。というか、いつもいるか。
「なんでしょうか?」
私がそういうと、先生は一瞬びっくりしたような顔をしてからニコリと笑みを浮かべた。
「なんでもないです。研究室を使うのでしたらご自由にどうぞ」
「ありがとうございます」
てっきり研究のお手伝いするのかと思っていたけど、違ったようだ。
「絡まった糸はめんどくさがらず、複雑になる前に解いてしまった方がいいですよ」
何かを感じ取ったヘリコニア……。
更新が少し遅れてしまい、すみません(-_-;)




