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106 冬の家

「それでは、くれぐれも大きな事故がないようにしてくださいね。ベーネ・ヴァカンツァ」

「ベーネ・ヴァカンツァ!」


お決まりのセリフを言えばもう、冬休みだ。それにしても大きな事故って……小さい事故ならいいんですか?なんてバカな質問はしないけど。

冬休みは期間が短いのもあるけど、宿題は夏に比べたら少ない。

だけど、うん……やることは、夏より多いだろう。


ミアのご機嫌取り。

私の研究。多分学園の研究室で。

そうなったらおそらく、先生の研究の手伝い。

あとは、魔法の法則と歴史について。グランデ・フィウーメ校への立ち入り許可? が1ヶ月しか期限がないから冬休み中に終わらせる、または8割以上を進めないといけない。


上げてみても数は少ないものも、一つ一つが手のかかる大仕事だ。……大変だね。


「稜華ちゃんは今日、家に帰る?」

「帰るよ」


まず1番最初にするのはミアのご機嫌とりっ!

ずっと怪しい液体を混ぜたりして、研究に付き合わされて、解放された時には2日ぐらい経っているだろう。……これ、楽しくなきゃやりきれないよね?

そして次にグランデ・フィウーメ校に行く。魔法学園はどこも終業式の日が同じでほぼ全員の寮生が帰宅する。すなわち! 青龍希翠に接触する可能性が大幅に減る!

うん、完璧。きっと向こうも怪しまれないように〈青の魔術師〉のところに帰るだろうしね。

で、私は王都校の研究室で自分の研究のレポートとかを書いている間、先生から手伝いの要請が来る。そして手伝う。


うん、完璧(2回目)。

これほど効率的にプランが立てられるなんていいね。


「よかった〜。じゃあ、夢華のご飯、食べられるね〜」

「陽華ちゃんはご飯目当てなの?」

「違うよ〜? 夢華目当て〜」


軽く夢華にハグをする陽華。

若干、陽華の方が背が高いから夢華が押しつぶされそうだ。


「姉妹で仲がいいんですね」


まぁ、一般的にはいい方って言うんでしょうね、きっと。


「つむぎちゃんは冬休み、どうするの?」

「私は実家に帰ります。家業のお手伝いをしなきゃいけなくて」

「そうなんだ〜。頑張ってね〜」

「はい! 稼ぎ時なので、頑張ります!」


すごい気合い。相当、大きなお金が動くんでしょうね。

まぁ、長期休みだしね。みんな財布の紐ぐらい緩むだろう。


「じゃあ、私達は帰るね〜。つむぎちゃんは〜?」

「ちょっとやることがあるので……」

「そっか。じゃあ、楽しい冬休みにしてね」

「陽華さんと稜華さんと夢華さんも。……機会があればぜひ、うちに遊びにきてくださいね」


そういうと津城さんは教室を去っていった。


「……つむぎちゃんの家って……どこ?」

「さあ〜?」


ですよね〜。

遊びに行くとしても場所を知らないっていう……。


「……帰る?」

「そうしよ……」


ビミョーな感じで寮へ行くとそこはもうお祭り騒ぎだ。

終業式の前日まで授業があるという鬼畜さのせいでみんな忙しかったのだろう。冬休みを一分一瞬でも良いから伸ばそうと、恐ろしい形相で荷物をまとめている。

やっぱり転移魔法は偉大だね。転移魔法がなかったら私達、家に帰って、数日過ごしたらすぐに帰るという過酷な帰省になっただろう。だって、家は遠いし姉妹は寄り道するし、辺境だし、ねぇ。


「それじゃあ、お願いしまぁす!」


やけにハイテンションなのは飛華だ。

一度家に帰って掃除とか諸々は手伝うけど、やることが全て終わり次第、学園に戻って麗羅先輩と一緒にダンジョン攻略をするらしい。

どちらにせよ、夢華に今日1日だけでも家にいる様にとの厳命が出ている。だからミアのところ行くのは明日以降だ。


「……転移」

「魔法支援」

「魔法補助」


回数を重ね、慣れたこの転移魔法システム。


「うわぁ〜、相変わらず すごい埃……そう思わない?美華」

「逆に同意しないわけないじゃん、風華。さっさと掃除、してよ」


掃除っていっても魔法なんですけどね。


「私? なんでよ、美華」

「風華だもん」


意味わからん。回復魔法は掃除と関係あるのか……?

だけど、前回は私が魔法をかけたし、今回も私、っていうことなのかな?


「情報分解」


人体に有害なものだけ、ね。


「稜華、ありがと〜! これで安心して過ごせる〜」


それは良かったです。


「ほら、風華がモタモタしているから稜華1人でやらせちゃってるよ」

「それは美華も同じでしょ。稜華の支援もしないで」

「風華ちゃん、美華ちゃん、じゃれあいはいい加減にしてくれる?」


最近、夢華が結構はっきりというようになったよね。

飛華に続く、新たな権力者……。


「じゃれあってなんかない! 全ては美華が……」

「そうだよ!風華の失態を詰っているだけで……」


うん、じゃれあているね。

誰が見てもいうだろう。きっと。


「わかったから早く部屋に行きなよ?」


やっぱ夢華、強くなったなぁ……。

妹の成長に涙する(泣いてない)日が来るなんて……。


「稜華、何やってんの?」


あ、はい。行きます。飛華と私の部屋へ!

懐かしいなぁ……。

もう随分と長い間帰っていないけど、1年前はここで、姉妹で暮らしていたんだから。まぁ、現状も寮の部屋は飛華と同じだから何が違うのかっていう話になっちゃうけど……。

まぁ、気分の問題?


「なんか、懐かしいね」

「ん、そうだね」


久しぶりに部屋に入るとさっきの魔法のおかげもあり、最後に見た景色と同じだ。

荷物をおろし、ベッドにダイブする。

その途端、埃が舞った。


「わ、稜華……!」

「ご、ごめん……」


流石にこうなるとは思わなかった。


「確かに魔法に頼り切っていたけど……布団が……!」

「……干す?」

「そうしよう?」


どうやら双子組と陽華と夢華も同じようなことになっていたらしく、布団は干すことになった。山の中だから雪が降りやすいけど……まだお昼だし、夕方まで干せばどうにかなるだろう。


夕ご飯は久しぶりの夢華の料理。学園にいる時はいつも食堂だからねぇ。もちろん、私も手伝ったよ? ……配膳だけど。

夕ご飯の後。片付けも終わり、あとは寝るだけ、という状態だ。そんななか、なぜか溜まり場となる飛華と私の部屋。姉妹全員がなぜかいる。

みんな昼とは違う、ラフなパジャマ姿で枕を抱えてたりしておしゃべりとかに花を咲かせている。

……私的には明日に備えて睡眠時間を確保したいんだけど……姉妹の話を聞いているのも面白いのでまぁいいやっていう気分になる。なお、私は自分のベッドで寝転がっている。


「ゲーム、やらない〜?」


陽華さん、いきなりですか? そしてやるならば、なんのゲームをするので?


「陽華ちゃんと私が話していてね、もっと姉妹の団欒っていうか……馴れ合い? が必要なんじゃないかって」


そ、そうですか。

飛華と私は十分仲がいいけどね!


「美華、うちってゲームなんてなくない?」

「だよね、風華。ボードゲーム、ないよね」


そうなんです。実はうち、ボードゲームがないのです。カードゲームはあるけどね。だって、必要なかったんだもん。暇があってもそれぞれが自由気ままに過ごしていたし。


飛華はランニングだの筋トレだの、運動しているし。

風華と美華はどこからか小難しい本を引っ張り出して2人で討論しているし。

陽華はのんびり日向ぼっこしていたり。

夢華は料理とかお菓子作りとか女子力が高そーなことしていたし。

……私はミアのところに行っていることが多かったし。


というわけで、ボードゲームなんてほぼしたことないんだよね。楽しそうだなーとは思うけど、やろうと誰も言い出さなかったし。


「美華ちゃん、私達、ボードゲームなんて一言も言っていないよ?」


え?

じゃあ、ボードゲームじゃないゲームって……。


「カードゲームでもないよ〜」


カードゲームでもない、ゲーム……?


「ある意味、言葉遊びに近いかな……」

「だけど、名前にゲームってついているんだよね〜」


なるほど……?


「で、結局なんなの?」




















「「愛してるゲーム!」」

波乱の予感……。

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