104 海鮮フェスティバル!
今日は2月22日、猫の日ですね♪
(本編とは関係ないです)
25階層からのイカ・タコ達を蹴散らしていき、ボス級も倒し。
「地下31階層〜!」
やったね。とうとう海のエリアを抜けたよ!
「綺麗な空だね、風華」
「今って何時なの、美華」
「私が知っているわけないじゃん、風華」
「まぁ、そりゃあそうだよね。美華だもん」
「はぁ?喧嘩売ってんの、風華」
「なんのことですか〜、美華さん〜?」
……双子が不毛なやり取りを続けているのは置いておいて。
目の前に広がるのは空だ。広がる、雲。
赤
オレンジ
黄色
青
水色
紫
灰色
黒
ありとあらゆる色が、空が、詰まっている。
宙に浮いているような、不思議な感覚。
もっとその世界を見たいと。
その先に進みたいと、足を進めようとした。
しかし、刹那。
辺りは、私達は、光に包まれた。眩しくて、目を閉じる。
そして、しばらくの間、浮遊感に襲われた。転移魔法とは違う、魔法。
「全員帰ってきましたね?」
その声に、恐る恐る目を開けた時にはもう、眩しくはなかった。
ダンジョンから連れ戻されたらしく、私達は実技場にいた。
「以上で、ダンジョン攻略は終了です。各々、レポートを提出することを忘れないように」
キツい警戒が、ゆっくりと紐解かれる。やっと、安心して息をできた、と言う感じだ。時間が経つにつれ、辺りが話し声で溢れていく。
なるほどね。時間になるとダンジョンから強制的に連れ戻されるのか。
すごい仕組み……魔法、にしてはかなり大規模だ。だって、ここにはダンジョン内にいた全員と思われる人たちがいるから。
「それでは、解散っ!」
解散〜。
ダンジョン攻略、楽しかったなぁ。
……一部魚達っていう例外がいたけど。
「呼び出しです」
今まで夢中になっていたからあまり気にしなかったけど、魔法で補っていただけだ。きっと、かなり疲れている。身体的にも、精神的にも。
「紫月飛華さん」
「あ、私、呼び出しみたい」
いってらっしゃ〜い。
飛華も大変だねぇ。こんなに疲れているのに、呼び出されちゃうなんて。
「紫月風華さん、紫月美華さん」
「私達も? 珍しいね、美華」
「そうだね、風華」
姉組、全員行っちゃうんですか。何か問題でも起こしたんでしょうか。
「紫月陽華さん、紫月稜華さん、紫月夢華さん」
え!? 私達も?
先生、解散って言ったのに……。
「繰り返します。紫月……姉妹。紫月姉妹」
あ、これはめんどくさがれて姉妹で一括りにされたやつだ。
「紫月。こっちだ」
あ、トランクイリタ先生。先生が呼び出しをされた場所まで案内してくれるらしい。それにしても、なんで呼び出しなんて受けちゃったんだろうね。不思議不思議。
トランクイリタ先生の後に続き、中央校舎のとある扉の前で止まる。扉の上には、物々しい達筆。
「が……学長室!?」
私もビックリです。
「……ま、ガンバ!」
そんな清々しい笑顔で言わないでください!? 自分は関係ないからって!
しかし非情にも私達の無言の訴えを見事にスルーし、扉をノックする。
「学長、失礼します。トランクイリタです。紫月姉妹を連れてきました」
「どうぞ。あ、トランクイリタも中へどうぞ」
「チッ」
え、まじ?
学長先生とやらに向かって、舌打ちした? 信じられん。(仮にも)上司でしょ。
そしてさっさと入れというように顎をしゃくっている。
「……失礼します」
飛華に続き、私たちも入る。
正面に置かれた、大きな机。そのど真ん中に30代前半ほどの容姿をした、深緑の瞳で深緋の髪の人が座っている。
机の前にはソファとローテーブルが置かれていて。そこに、ヘリコニア先生は座っていた。え、なんで?なんでヘリコニア先生までいるんだろ?
先生は私達の姿を見ると、みるみるうちに瞳を潤ませ始めた。
「ぜんばい〜。だずげでぐだざい〜」
「……ヘリコニア」
呆れを含んだ声色でトランクイリタが言う。
ヘリコニア先生が半泣きになったのは私達を見て、じゃなかったね。トランクイリタ先生のようだ。
「ヘリコニア、なにやっているのですか? ……生徒の前で。取り繕いなさい」
「稜華さんは知っているので問題ないですぅ〜」
「お黙りなさい」
……あ〜、うん。
「……失礼しました」
帰ろ帰ろ。
こんなところにいたら多分時間の無駄だ。私、早く帰って部屋のふわふわベッドで寝たい……。
「稜華さん、それはダメです!」
なんで!?
「ここ、どこか知っています!?」
「どこって……学長室……?」
「そうです! 学長室です! ここにいるのはこんなのでも正真正銘の国立魔法学園王都校学園長なんです!」
……まじですか。
「こんなのとはなんですか、こんなのとは」
「す、すみません!」
よくクビにならないよね。ある意味すごい。
「学長、座ってもいいですか?」
若干やり投げな感じで言い放つトランクイリタ先生。
しかし、学長先生は呆れたように言った。
「すでに座っているでしょう?」
あ、ほんとだ。
座ってる。トランクイリタ先生と元々座っていたヘリコニア先生だけ。……色々と自由な人たちだね。
「あ、紫月さん達もどうぞ座ってください」
「ありがとうございます」
私達はやっぱり飛華に続いてソファに座る。……だって、飛華はこう言う場面での適切な動き方を1番知っているんだもん。
「見ました?今の。全く、ヘリコニアとトランクイリタも見習って欲しいですね」
「すみません……」
「……それより早く本題に入ってください。俺も忙しいんですよ」
「私ほどではないでしょう?」
……知らないですよ、もう。
「申し遅れました。私はこの学園の学園長を務めさせていただいている、セニア・サラ・ヘイシソウです。よろしくお願いしますね」
よろしくお願いされたくないんですけど。
「時間も惜しいのと、さっさと終わらせろと主張しているヤツがいるので早速本題に入りますが、先ほどの、ダンジョンから強制帰還させる魔法。なぜか、貴女達のパーティーにだけ、5回ほどかけなければいけなかったのです」
そうなんですか。
世の中にはそんな魔法があるんですね。
「通常なら、一度の魔法でダンジョン内にいる生徒全員を安全に、かつ、直ちに連れ戻せます」
え、なにそれ。すご。
「ですが、今回は……先ほど述べた通りです。つまり、それ即ち、なにかしらの想定外の事態が起きたと言うこと……。何か心当たりはありますか?」
心当たり、ねぇ……。
あるって言えばあるし、ないって言えばないっていうか……。私達はただ、ダンジョン攻略をしていただけで。
「あの〜、ちなみになんで私と先輩は呼ばれたんですか?」
「今更ですか、ヘリコニア」
まぁ、確かに……。
「理由は簡単です。半数は貴女の担任のクラスの子でしょう? そのうち1人はヘリコニアが初めてとった弟子であり、研究室生ですし」
素晴らしい正論だね。
「だったら俺は……」
「関係あります。トランクイリタ、貴方に関しては……えっと……」
「理由、ないんじゃないですか?」
鋭くトランクイリタ先生が問う。相当早くこの場を立ち去りたいのだろう。
「……そう! ヘリコニアの通訳です!」
「はあ? 俺はこいつのベビーシッターでもなんでもないんですけど」
「先輩、ひどいですっ!」
知らねぇ〜!
さっさと本題に入ってよっ!
「ただ単に、自分が国内の魔法師の中でナンバーワンなのに、思い通りに魔法がかけられず悔しいだけですよね? ……いい歳して、八つ当たりですか?」
皮肉げな笑みを浮かべそう言うのはやっぱりトランクイリタ先生だけど……心臓に悪いっ!
「いい加減、認めたらどうです? 負けず嫌いの筆頭魔法師殿?」
ねぇ、ほんと、そばで聞いている方が心臓に悪いよっ! 他人を巻き込まないで欲しいですっ!
「俺もヘリコニアも、言ってきましたよね? コイツらは……紫月姉妹は、格が違う、と」
え……そんな風に見られていたの……?
「コイツらは正直言って異端だ。魔法適性も魔力も属性も適性魔法も、何もかも。素質が違う。そこに加えて、理解度やらなんやらも良い」
異端……。
そう、だよね。私達は。
私達は、作られたものだから。
「何もかもが、ずば抜けている。天才どころではない、鬼才の持ち主達だ」
「……学園長が1000年に1度の天才ならば、コイツらは万年に1度の鬼才と言っても」
「過言ではないでしょう」
お読みくださり、ありがとうございました。




