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12/24

幼馴染との休日

平日の5割り増しの人通りでにぎわう日曜の駅前。


「悠人、おはよ。相変わらず早いな」


集合時間の15分前にも関わらず、広場の木陰で佇んでいた悠人に声を掛ける。


「ちょうど24時間ぶりだね。今日も善人と会えて嬉しいよ」


からかう表情の悠人を軽く無視しつつ周りを見渡すが、もう一人の幼馴染の姿は確認できない。


今日はまもりと悠人と3人で、期間限定のいちごスイーツを食べに行く予定。


何でこんな話になったかは、正直もうさっぱり覚えてない。たしか「俺が奢る~」みたいな話をしていた気もするが、たぶんまもりももう覚えてないだろう。


5分ほど悠人と立ち話しながらまもりの到着を待っていると、同じタイミングで俺と悠人のスマホがポコンっと音を立てる。


『いま家出た』


大方の予想を裏切らず、まもりからの遅刻確定の連絡。しっかりとキメ顔の自撮り写真も送ってくるあたり、まったくもって焦っていないことが伺える。


こいつもはや一周回って良い性格してるよなぁ、と感心していると、隣の悠人も苦い顔をしてスマホを見つめていた。


「こいつ終わってる。善人もそろそろ縁切った方がいいよ」


けっこうな本気トーンで吐き捨てるようにつぶやく悠人。でも、甘やかす俺たちにも多少の原因はあるだろうから、それはさすがに可哀そうではある。


「どうする?どこかで暇つぶすか?」


駅前だと何なりとありはするが、30分程度の暇つぶしならゲーセンが無難か。悠人に目を向けると、少し悩むような仕草を見せる。


「いや、このままお話しよう。善人に聞きたいこともあるし」


悠人は話しながらゆっくりと歩き出し、ちょうどカップルが立ち去って空いたベンチに移動する。


◇


「ほい。紅茶は無糖しかなかったわ」


自販機で買ってきた悠人の分の飲み物を渡す。もちろん俺はいつものスポーツドリンク、最近は水やお茶よりも飲んでる気がする。


「ありがと。やっぱり善人は優しいよね、自慢の彼氏だよ」


そろそろ毎回ツッコミ入れるのも飽きてきたので、ハイハイっと適当に流しながら飲み物に口を付ける。


不満そうに俺の横顔を睨みつける悠人をスルーして、駅前を行き交う人の流れをぼんやりと見つめる。


「善人は...もう彼女とか作らないの?」


両手で握りしめたペットボトルを見つめながら、悠人はぽつりとこぼす。からかう素振りは見せず、優しく語りかけるような声色。「いまはお前が彼女だろ~」とは言えない感じの空気感がある。


「......彼女ねぇ。まず、相手がいないからなぁ」


正しい返答が思い浮かばず、とりあえずが冗談とも本気とも取れるニュアンスで返してみる。チラっと悠人の横顔を伺うが、いまだに手元を凝視していて感情は読めない。


「篠宮さん。たぶん、まだ善人のこと好きだよ」


今日の天気の話くらいの軽さで、サラッと重めな感情の話をする悠人。


まぁ、そうだよなぁ。ここ数日の紗季を見てれば、当事者の俺でも分かるレベルだし。


少しずつ汗をかき始めたペットボトルをベンチに置く。今日は最高気温もけっこう上がるっぽいし、早めに室内に入りたいな。


「紗季のこと、悠人は嫌いだったろ。最近は仲良いみたいだけど」


悠人と紗季が連絡取ってるのは、おそらくは密会報告のためだろうけど。悠人は俺の問いかけに、ゆっくり手足を伸ばしながら答える。


「全部、善人のためだよ。僕個人としては、まったく興味ないし」


相変わらずの冷気を帯びた目をしながら、どこか遠くを見つめる悠人。こいつ、ホントに俺以外の物事への執着が薄いんだよなぁ。


「あ、まもりはダメだよ。あいつは絶対に善人を幸せにできない」


不快そうな表情を隠そうとせずに吐き捨てる悠人。いや、まもりさんも良いところありますよ?ええと、その、う~んと、顔とか?


まもりの話題でふと思い出して、ポケットから取り出したスマホ画面を確認する。既に約束の時間を15分ほど過ぎていたが、いまだにまもりが到着する気配はない。


「じゃあさ。もう、僕にしちゃえば?」


両手を胸の前で握りしめて、わざとらしい上目遣いでこちらを見つめる悠人。中性的かつ麗しい顔立ちでこれをやられると、男だと分かっていてもすこし照れてしまう。


「まだ、まもりの方がマシだな。俺は女が好きだ」


少し熱を帯びた頬を隠すように、明後日の方を向いて答える。やべ、ちょっと声が大きくなってしまった。


「女好きだ、とか大声で言いふらすの。普通にキモいよ」


突然、背後から声を掛けられてベンチの上で5cmほど飛び上がってしまう。首だけ動かして後ろを確認すると、そこには侮蔑の表情で俺を見下すまもりが佇んでいた。


「まもり、まずは謝罪。20分遅刻だよ」

「はいはい、ごめんなさい。女好きさん、今日は奢りじゃなくていいから」


やめてください、その恰好の悪いあだ名。いやむしろ男らしくはあるのか?


手をヒラヒラと振りながら、商店街の方に勝手に進んでいくまもり。傍若無人すぎる、やっぱり彼女にするなら悠人の方がマシかもな。


呆れた悠人と目が合い、ふふっと笑いが漏れる。


悠人と同じタイミングでベンチから立ち上がり、先を行くまもりの後をのんびりと歩き出した。


可愛い男はBLじゃねぇ、って。エロい人が言ってました

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