第12話 サップの嫉妬ー1
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私――「勇者の剣」ことサップは、異世界で約三年の月日をマスターと共に歩んできました。
あちらの世界では、マスターの真の力は正当に評価されづらく、不当な理由でパーティーから追放されることも珍しくありませんでした。それでも、マスターはいつだって私の柄を握り、「お前がいてくれれば、それだけで十分だ」と笑ってくれたのです。
暗い迷宮の宝物庫で、ただ孤独に一千年もの時を刻んでいたあの日々とは、何もかもが違っていました。マスターが私に触れるたび、私の世界には鮮やかな色彩が宿ったのです。
こちら側の世界――マスターにとっての「現実」に帰還してからも、その絆は続いていく。いえ、永遠に続くはずでした。
なのに、あの女……緋宮硝子。
突然現れたと思えば、あられもない態度でマスターをたぶらかして……。
一体、彼女のどこにそんな価値があるというのですか!
マスターのことを誰よりも理解し、その歩みを支えてきたのは、他でもない私なのに。後からやってきた「暗殺者」風情に、隣を譲るつもりなんて毛頭ありません。
……けれど、マスターは確かに言ってくれました。「お前が一番の相棒だ」と。
ならば、私はその言葉だけを信じます。
マスターが彼女を「家族」に迎え入れるというのなら、不本意ながらも従うしかありません。マスターの望む平穏がそこにあるのなら、私は剣として、それを見守る覚悟を決めるだけです。




