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第1章:4話 俺と戦略とあり得た未来

「はぁッ...はぁッ...」


パソコンの充電切れ。

もうそれに賭けるしかなかった。

奴が何者なのか。

そんなことは分からない。

しかし、奴に関する情報は少なからずあった。

俺は、そこから戦略を組み立てた。


「はぁッ...ッくッ..」


情報の1つ目。

奴の現れたきっかけ。それは、

俺が悟のUSBをPCに差し込んだことだ。

そして、2つ目。

出現した場所。奴はPCから現れた。


...そこから察するに、

奴の存在にはおそらく「IT系」のものが関わっている。

やつが「IT系」のものであるとするならば、

やつの動力は十中八九電力に違いない。

仮に動力が電気だとするならば、

その電気を受け取っているのは

間違いなく出現した場所であるパソコン本体のはずだ。


「何だったんだ、今の...」


これに賭け、時間を長引かせて

パソコン本体の電力の消耗をまった。

幸い、USBをさしてウイルスが感染したときに、

充電ケーブルを抜いていた。

さらにパソコンはウイルスに感染しているため、

電力の消耗は通常より早い。

しかも奴の動力分の電気も使うとするならば、

相当な量の電力が消費されるはずだ。


「はぁ...」


結果論だが、奴の存在の消滅時、

パソコンに電源が切れていたことから、

奴はパソコンからの電力を用いて動いていた、

ということで間違いないはずだ。


頭脳が冴えた。助かった..。

...振り返ってみると、

あの状況でこれだけの戦略をスッと組み立てた己の才が、

我ながらおぞましい。


...しかし。

「もし」この推察が外れていて、

奴が電力で動いていなかったとき。


...

......



俺は...

なすすべなくあいつに殺されていた!!!!!!!!!!!


いや。殺されていたのだろうか?

もっと別の何かをしようとしたのだろうか。

正体不明のやつの目的なんて、

分からない。分からない。

分からないが、考えようと思わない。思えない。


...何故なら、それがリアルで、

現実で、起きていたかもしれないことだからだ!!!!!!!!

俺が生き延びたのは、ほぼ運だ。

洞察にミスがあるなんてザラにあることだし、

幸運にも奴が言語をつかえたため時間稼ぎも出来た。

普通だったら、俺は...


俺が奴に殺されていた未来が、

普通にあり得た。

いや、通常そうなっていたはずだ。

そう考えると、

ことが終わった今でも恐怖が背筋をつたう。


「ッくッ...」


体に若干力が戻り、ある程度思うように動けるようになる。

俺は壁に手をつけながら、よろよろと立ち上がる。


まだ恐怖が続く。

ことが終わった今でも。

ことが終わった今でも...

ことが終わった今でも...?



...




終わってない...?


冷静に考えて、意味不明な存在に対して、

もうPCの電源が切れたから遭遇しないなんて確証、

あるはずがない。


自分で電気を作り出し、パソコンを立ち上げ、

再び襲い掛かってくるかもしれない。

また、別の動力に切り替えて姿を現すのかもしれない。

そして...最悪の場合。


俺の考えた攻略法は実は全くの見当違いで、

やつはただこの部屋の中に姿を隠し、

俺の反応を見て楽しんでいるのかもしれない。



ゾクッ...



...この部屋は危険だ!!!!!!!



再び恐怖し、

机の上のスマートフォンを念のためパソコンに触れないようにパッととった。

そして俺はそのまま鍵もかけずに一目散に家から飛び出した。


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