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第1章:3話 俺と暗黒と希望の光

俺はUSBに手をかけた。


...悟...あいつ...


悟がおかしくなってしまったこと。

その理由が分かるかもしれない。

その興味が後押しした。


「いくぞ...」


恐る恐るPCに差し込んでみる。

...と、そのとき。


...ヴー


スマートフォンの通知が鳴る。


「...ツ!!」


差し込んだUSBを反射的に引き抜いた。


デスクトップに大量の"error"の文字が出、

けたたましい警告音が鳴り響く。


「はァッ!?」


動揺した俺は、

慌ててスピーカーを手で懸命に抑え、

警告音を軽減させようとする。


当然、何の解決にもならない。


...ウイルスか...???


我に返った俺は、

今度はシャットダウンしようとマウスをつかむ。

しかし、マウスポインタは動かない。

片手でスピーカーを抑え、

必死にマウスを動かすものの、

一向に動く気配がない。

画面がエラーの表示でドンドン埋まっていく。


...ッ、クッソ...


充電ケーブルを引っこ抜く。

無論、充電式なため、

抜いたところで画面が消えるわけではない。


これはもう...

バッテリーを引っこ抜くしかない。

...


そう思った突如。



「ブッ...」


デスクトップが荒れる。


なんだ!?


ブブブ...


「うわァッ!!!!!!!!」

俺は突発的にその場から飛びのいた。



...黒い塊が画面から飛び出してきたのだ!!!!!!!



ドロドロとしたおどろおどろしいその球状の物体は

空中に浮かんでおり、

ゆっくりと俺に近づいてくる。


人の頭くらいの大きさだろうか、

この世の闇を一身に背負ったようなオーラを纏っており、

不気味なことこの上ない。

しかし、初対面のはずのあいつに既視感を感じる。


...あの悪夢で見た、あいつだ...


俺にはそいつが危険なのはもう本能的に察された。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


しかし腰が抜けて思うように体を動かせない。

度肝を抜かれて声すら形にならない。

それでも、ゆっくり俺に近づいてくるそいつ。

目をかっぴらき、

壁に背をつけ、

ただ足を無意味にバタバタさせる無様な俺。


嫌だ...


やつは体を広げ俺を覆ってくる。


恐怖で涙がとめどなく流れる。

目を思いっきりつぶる。

恐怖から目を逸らすこと。

それが俺にできる唯一の抵抗だった。



「すまねえなァ??」



...は?

俺が発した声ではない。

とすると、あいつは話せるのか?

確か、あの悪夢の中でも、あいつは話していた。


...じゃあ、まだ...


希望の光が、一筋。頭に血流が走る。


「ぉい...きょ...協力する...ぉ...おまぇに...だから...」


声を絞り出して命乞いをする。

やつが言語を使えるのなら...


やつが発したのは見下した笑い声だった。


「あきらめろ」


奴は冷ややかに言ってのけた。


「嫌だッ...待ってくれッ...。

ぁあ、お前に...いいことを...教えてやろう?

俺を殺すのは...そのあとでも構わないはずだろう...??」


勿論、こいつに有益な情報なんて何一つない。

というか、こいつにとって何が有益かなんて分からない。

しかし、だんだんと頭が覚醒してくる。


...俺は、勉強はからっきしだが、

異常に脳が覚醒するときがある。

それが、死の間際、今来るとは。


「問答無用。第一、

何故そんなこと、お前が言う必要がある...?」


どうせ死ぬなら、

仮に俺が奴に有益な情報を持っていたとしても、

俺自身に何の得があるのか...。

そう、奴は言う。もっともだ。


...考えろ。そして、黙るな...。

この戦略がうまくいけば



まだ奴から逃れられる可能性がある。



「当然だろ...?」


ふふッと、俺は笑う。

声は恐怖で震えている。

しかし、狂人感を演出するのにはひと役買った。


「...?」


「復讐だよ」

俺は言う。


「俺はここでもう死ぬ。

しかし、おれはあいつを絶対に許さない。

死ぬなら、俺はお前に情報を与えて、

あいつも道連れにしてやるんだ...。」


再び、クククッと笑う。

情報なんてない。

その前の質問を、伸ばせ。


「おまえ、知ってるか...?あいつのこと...?」


逸らせ、逸らせ、逸らせ。

話題を逸らし続けろ。


「悪いな、時間がねえんだ...?とっとと言え」


クソッ...うまくいかねえ。

このままだと死ぬ...


「分かった。分かったから!

時間がないんだな?じゃあ、すぐ答える!

だから、ちょっと時間をくれ!

...そうだな、あと3秒だ、3秒だけ待ってくれ!」


「3秒やるから言え」


もう20秒くらい伸びた。

そろそろ少しは具体的な内容をいれないと、

興味を引き付けられない。

あいつが何者か、俺が持っている情報は...



ーーこいつがここにいる理由だ!!ーー



「3秒たった。終わりだ。」

奴はグワッと俺を包み込む。


俺はあいつの名前を叫んだ。


「悟ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


一瞬、奴の動きが止まる。これか!!!

「悟!!!そうだ!悟!!!」

取り敢えず友人の名前を連呼する。

奴の動きが止まる。

しめた。


「そうだ!俺は悟の情報を持っている!!

何が聞きたい!?性格か?学歴か?

それともあいつの裏アカか??

何でも知っている!!答えよう!!」


...






「...やっぱりわかってないじゃないか」


...終わった。

何で気づかれたのか分からないが、

作戦は失敗した。

奴は三度俺に襲い掛かる。

もう防ぐ術はない。





ブッ...

再び音がする。


...............?


何も起きない...?


恐る恐る目を開く。

...やつはもういなくなっていた。

奴はどこに行った...?

目をギョロギョロと動かし辺りを確認する。

しかし、奴はいない。


デスクトップをみると、

真っ暗になっている。

外された電源ケーブルが垂れている

作戦の成功を確信した俺は、

ぐったりとその場に倒れこんだ。

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