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わすれな草  作者: 紅朱
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子犬と女性と僕

僕は振り向くと人は一人も居なかった。

確かに後ろから声が聞こえたはず。

首を傾げつつも前を向くと、目の前に一人の女性が立っていた。

すらっとしていてブラウスとスカートを身に着けていて落ち着いた雰囲気だ。

長い髪がときより風によってなびく。

女性は、無言で僕のほうを見ている。

いや、僕ではなく僕が抱えている子犬のほうを見ているようだった。

「なにか?」

僕は子犬のほうに目線を落とすと犬を両腕におさめる。

子犬は落ち着いたようで先ほどと打って変わって大人しくなった。

「あ、その、ワンちゃん・・・。」

女性は僕の目をきちんと見ながら心配そうな顔をした。

思わず僕は目線をそらした。

「私の子なんですけど・・・。」

先ほど聞こえた声と同じようなことを言っていることを思い出した。

そういえば、同じ声。

「すみません。この犬もしかして貴女の家で飼われている感じですか?」

子犬を抱きしめながら女性に近づく。

「・・・はい。」

少し間が空いてから返事が返ってくる。

「あの、突然なのですが。そのワンちゃんを貰っていだけませんか?」

女性は唐突に少し早口で言いスカートを強く握り締め下を向いた。

「はぁ?」

僕の情けない声が出る。

何を言い出したのかと頭の中で整理をするが矛盾ばかりで

何も考えられない。

「私、もう飼えなくなってしまって・・・。」

悲しそうな切なそうな今にでも子犬を抱きしめたそうな顔で

微笑みを見せる女性。

「別に構わないですけど」

僕は何を血迷ったのか即答した。

別に女性に好意がったわけではない。

ましては、部類の子犬好きでもない。

ただ、思わず声がでてしまったのだ。

「本当ですか!!」

女性は、さっきと打って変わって嬉しそうな顔をして

僕から子犬をとると高く持ち上げた。

「ねぇ、これで1つ目のしたい事が完了したよ。きみは幸せになってね。」

「わん!!」

女性の言葉に子犬は元気よく鳴いた。

まるで幸せになるから大丈夫だよっと言っているようだ。


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