真実
『わかったよ。前に、その家を友人に貸していたことを話したと思うんだけど。その友人なんだがね。こっちに来て話をしたあの泉で死んだ人なんだ。元々心臓が悪かったんだけど、それが悪化して死に繋がったんだけどね。』
叔父は気まずそうに答えた。
そういえば、タクシーで泉を指差して人が死んだんだっと言ってた。
その人のことだと瞬時に理解した。
そして、それに興味を持たなかった僕にもしかしたら叔父は安心したのかもしれない。
もし興味でも持たれたら、この家の話をしなくてはいけなくなるから。
「それで、その人の名前は?」
『綾瀬 彩。知り合いで紹介された人なんだがーー』
僕は綾瀬の名前が出て、気が動転しまいそのあとの叔父の話が耳に入ってこなかった。
綾瀬が死んだ人?
「え・・・・・・」
僕は床にリモコンを落とした。
ガタンッと音がする。
時が止まったようにそのまま動けずに居た。
「今なんていいました?」
『いや、知り合いに紹介され』
「その前です。その人の名前です。」
『いや、綾瀬 彩だけれど』
やはり叔父から綾瀬の名前がでてきた。
聞き間違えではないようだ。
「嘘だろ。」
『どうしたんだ瓜生君』
叔父は心配そうに僕に言うが僕の耳には小さくしか聞こえない。
むしろ耳に入ってこないくらいだ。
「すみません。用事を思い出したんで。切りますね。」
『ちょっと、まって』
僕は電話を切った。
頭が混乱する。
一体何が起きているのだろう。
「じゃあ、今まで僕は・・・」
呆然と立ち尽くし、最後まで言えずにいた。
言ってしまうと認めてしまうような気がしたからだ。
けれど、これで全てが納得いく。
風呂場の案内もコップも全て。
今までのことも。
家の全てをほとんど知っていた綾瀬の言動も。
でも、認めてしまうことがこわい。
認めてしまうと何かが変わってしまうのかもしれない。
でも確認したい。
本当のことを知りたい。
僕は母親に電話することを忘れ明日綾瀬に会いに泉に行くことを決めた。
もし、綾瀬がそこで亡くなったのなら居るはずだ。
今までだって家以外で出会ったのは泉だったし。
子犬が僕のジーパンの裾をかじってた。
まるで心配しているように。
「お前は本物なのか?」
子犬を抱きしめると温かい。
僕はそのまま寝室に向かって行き
子犬を抱きしめて寝た。
いつもは嫌がる子犬は今回だけ、僕の行動に何を思ったのかそのまま動かずにいてくれた。
明日全てが分かる。
僕は目を閉じた。




