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わすれな草  作者: 紅朱
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僕と弟

子犬を自転車のカゴに入れて思い出した。

弁当を作っておいたが結局食べることもなく綾瀬は帰っていた。

家に着くとリビングのテーブルに弁当を広げた。

卵焼きを1つつまんだ。

甘く少しダシがついている卵焼きで中々美味しくできていた。

他のおかずとおにぎりを食べ水筒に入れた紅茶を飲み干した。

全て食べ終わると、さすがに量が少し多く動く気になれず床にごろんと寝そべった。

子犬も眠そうで丸々と欠伸をした。

こういう感覚が好きだと気づいた。

ゆるく流れる感覚。

実家では味わうことがなかった感じ。

何もしないという重要性を少しだけ感じた。

窓から日差しがはいってきて、柔らかい空気が広がる

しばらくそのまま動かずにいた。

一時間ほど、そのまま過ごすと立ち上がり弁当と水筒の片付けを始めた。

2階にあがると花の図鑑を眺めた。

子犬は一緒についてきたが、喉がかわいたのか『はぁはぁ』と息をしている。

僕は図鑑を持ちながら1階に降りて受け皿に水をいれた。

子犬は喜んで飲み始めて幸せそうな顔をした。

いや、喜んでいるように僕が感じているだけだ。

本当は違うかもしれない。

何にも興味が持てず勉強をずっとしていた僕。

弟が生まれたあとぐらいから僕への対応が変わっていた親子。

何に対しても興味関心をもって笑って楽しそうにしている弟と

何にも興味をもてず勉強のみの世界を築き上げた僕。

そのうち親は僕に対して恐怖を抱き、お互い家の中でも必要な内容についてはメールがきた。

僕の部屋の横はリビングで、たまに三人が楽しそうに笑っている声が聞こえてきて

僕は宙に浮くような感覚に何度もなった。

誰とも関わりたくない、そう思い始めたのはその頃からだ。

僕はテレビをつけるとどうでもいいワイドショーを眺めて、夕ご飯を作りシャワーを浴びベッドに入った。

携帯を確認したがメールも着信履歴もなかった。

まぁ、そうだよなっと心の中で苦笑した。

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