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わすれな草  作者: 紅朱
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覚えていく世界

次の日子犬に起こされるよりも、ずっと早めに起きた。

前日の夜ピクニックという単語を検索すると弁当なんかを作って楽しく話をしている画像を見た。

今度は弁当の中身の検索をかけてみる。

色々とでてきたので冷蔵庫の中身を確認して、おにぎりとサラダとタマゴとメインのおかずができそうだったので買い足さなくて済むことが分かると作ってみようとパソコンの電源を切った。

床に足をつけるとカーテンを開けて窓を開ける。

ピクニック日和の天気で雲ひとつ無い。

僕は子犬を起こさないようにドアを開けて1階に降りた。

ドアを開けっぱなしにしたから勝手に子犬が降りてくるだろう。

僕は前の住人が使用していたのだろう弁当箱を何個か見つけた。

一番大きいのを選択する。

綾瀬がこの家を出入りするようになってから前の住人が使用していたことに対して気が悪くなっていった。

冷蔵庫から材料を出してサクサクと料理を作っていった。

昨日の夜のうちにお米をといで、朝できあがるように炊飯器をセットしておいた為おにぎりも滞り(とどお)なく作れた。

綾瀬がいつもくる時間を時計で確認して携帯を確認した。

着信もメールもなし。

できた弁当に蓋をすると箸を2膳用意して包みに入れて、2階にあがり着替えをすませる。

子犬は欠伸をして起きた。

いつも起こしている僕が先に起きていることが不思議に思ったのか足元をクルクルと回って匂いをかいで前足でジーパンを軽くひっかく仕草をする。

「ドックフード食べるか。」

子犬を抱きかかえると1階に降りてドックフードを与えた。

僕はコーヒーと軽い朝食を作ってソファーに腰をおろした。

テレビをつけて普段とは違う番組を見ようとチャンネルを変えた。

腕時計を見る。

まだ、いつも綾瀬が来る時間には少し早い。

洗面台に行き鏡越しに自分の顔を見た。

前髪が目を隠すくらいの長さになっていた。

月日は早いものだ。

顔を洗うとニコッと意識して笑ってみる。

最初に比べてまともになったが苦笑のように見える。

この笑顔を綾瀬に見せてるのかと思うと申し訳なくなった。

腕時計を見ると、あと30分くらいで綾瀬がくるだろう。

僕は2階からバックを取りに行き弁当と水筒を入れる。

水筒の中身は紅茶だ。

綾瀬はコーヒーよりも紅茶のほうが好きだと言っていたことを覚えているからだ。

お弁当に合う紅茶をネットで調べて先日買っておいて良かったと思った。

人のために調べて購入なんて変なことをしていると思いながら、綾瀬に合う回数が増えていく度に紅茶の種類や花の種類やら色々と覚えていった。

代わりに僕が知っている本をたくさん話をした。

たまに、綾瀬は家にある僕が購入した本を読んで笑っていた。

特に気に入ってるのは元素の図鑑だ。

色々な元素と写真と内容を見る綾瀬は頭を抱えたりして、難しい難しいと言いながら良く眺めている。

意味を理解するよりも眺めるというほうが合っている。

僕は綾瀬が来る時間までパソコンを立ち上げて今月発売予定の新しい本を見ていく。

綾瀬が来てから凄い勢いで本が増えていった。

もとより好きだから本屋で購入等はしていたが、本が増えていく本棚を綾瀬は喜んでいた。

その顔が見たくて僕はとにかく新しい本の発売日や興味がそそられる本探しを積極的にするようになった。

そろそろか。

僕は腕時計を見て普段綾瀬が来る時間を確認した。

パソコンの電源を切ると2階の窓を閉めに行った。

だが、いつもの時間に綾瀬は来なかった。

クゥーンっと子犬が切ない声を出す。

どうしたんだろうかっと僕は子犬を抱きしめて玄関へ足を運んだ。

そして、綾瀬が現れたのはいつもの時間より40分も遅れてだった。

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