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泉
入学する三ヶ月前、僕は荷物を持って駅前で叔父に会った。
僕が、これから住む一軒家に案内してくれるらしい。
叔父と一緒にタクシーに乗り目的地に走り出す。
「瓜生君が、あの家を気に入ってくれるといいなぁ。」
叔父は心配そうに笑いながら話す。
「そうですね。」
話すのが苦手な僕は、もっと何か気が効く言葉があったはずなのに
素っ気無く応えた。
「そうそう、そこの泉で自殺をした大学生がいたんだよね。」
数十分タクシーで移動したとき、ふっと叔父はガラス越しに見える場所を指さした。
指をさした場所を辿りながら外を見ると、そこには泉よりも小さな池のような水溜りがあった。
どこにでもありそうな小さな泉だ。




