第6話 1年各組
かくして。
愛嬌高校一年――各クラスのトップが決定した。
1年A組――田中、銀次。
1年B組――須藤。
1年C組――米田。
1年D組――長谷川。
1年E組――仲谷。
だが。
どのクラスも、その日の空気は妙だった。
理由は一つ。
三鬼――成田。
各クラスのトップ候補たちは、銀次以外、全員が成田に叩き潰されるか、圧倒的な差を見せつけられていた。
B組の須藤ですら。
C組の米田ですら。
誰一人として、成田に「本気」を出させられなかった。
そのせいか。
本来なら一年同士で潰し合いが起きるはずの入学初日は、不気味なくらい静かに終わっていく。
誰もが理解してしまったのだ。
“上”には、本物の怪物がいると。
―――――
放課後。
1年A組。
夕陽が教室を赤く染める。
田中は机に座りながらカバンへ教科書を突っ込んでいた。
銀次はその横で、上機嫌に鼻歌を歌っている。
銀次「たっくん今日かっこよかったぁ♪」
田中「お前だろ。三鬼相手に避け切るとか意味分かんねぇ」
銀次「えへへ〜♪」
銀次が田中の腕へ抱きつく。
銀次「でもたっくん、南山の技すぐ真似してたよねぇ♪」
田中「見りゃ出来る」
銀次「それ普通じゃないよぉ?」
田中「お前も普通じゃねぇ」
銀次「たっくんに言われたぁ♪」
二人が自然に笑い合う。
その光景を、A組の連中がなんとも言えない顔で見ていた。
「……やっぱバカップルだ」
「なんであの強さであんな空気なんだよ」
「怖ぇよ逆に」
察知丸がメガネを押し上げながら呟く。
察知丸「でもまぁ……」
察知丸は静かに笑った。
察知丸「一年の覇権は、この二人で決まりだな」
「間違いねぇ」
「A組最強じゃね?」
「俺らA組が1年トップ??」
教室の空気には、不思議な高揚感があった。
愛嬌高校一年。
その中心には、間違いなく田中と銀次がいた。
―――――
翌朝。
まだホームルーム前だというのに、校内が妙に騒がしい。
ドタドタドタッ!!
廊下を大量の足音が駆け抜ける。
ガラッ!!
1年A組の扉が勢いよく開いた。
そこに立っていたのは、3年の不良たち。
腕章付き。
完全に“番長直属”の兵隊だった。
教室の空気が張り詰める。
先頭の男が叫ぶ。
「番長命令だァ!!!」
全クラスへ響き渡る怒号。
「1年の各クラス代表は――」
「今すぐ体育館に集合しろォ!!!」




