表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/42

第41話 田中vs武藤

ボウリング場内。


崩れたソファ。


散乱したピン。


その中心で――


田中と武藤の激しい攻防が続いていた。


ドゴォッ!!


武藤の拳が空気を裂く。


田中は身体を捻って回避。


そのまま懐へ潜り込み――


バシッ!!


鋭い掌打。


さらに肘。


連撃。


だが。


武藤は止まらない。


まるで岩。


打たれても、前へ出る。


武藤「…ぐぅ、、なかなかやるじゃねぇか」


血を拭いながら笑う。


武藤「流石は日愛の田中だな」


田中は静かに構え直した。


田中「今は愛嬌だ」


武藤「……そうだな」


武藤はゆっくり周囲を見渡した。


倒れた無念兵たち。


沈んだ四天王。


そして。


普通に会話している鷲峰と銀次。


武藤「しかし……」


額に青筋。


武藤「四天王が何てザマだ」


田中も視線を向ける。


須藤は床へ寝転がったまま手を振っていた。


須藤「おーい田中〜」


田中「銀次は当然として……」


少し目を細める。


田中「まさか須藤も勝てたのか……」


須藤「失礼だな!!」


銀次「たっく〜ん♪ 頑張って〜♪」


鷲峰「頼むで!ボス!」


周囲は、妙に和やかな空気になっていた。


戦いは終わっている。


不良同士。


一度拳を交えれば、少しは認め合う。


そんな空気だった。


だが。


武藤だけは違った。


武藤「おい!! 鷲峰!!」


怒号。


空気が震える。


武藤「右腕のお前が負けてどうする!!」


鷲峰は肩をすくめた。


鷲峰「いや〜あかんわ」


銀次を指差す。


鷲峰「こいつ強すぎる!」


鷲峰「てか速すぎる!勝てへんわ!」


武藤「……クソ!!」


舌打ち。


武藤「後で説教だな!!」


鷲峰「えぇ〜……」


田中は、その様子を静かに見ていた。


そして。


ゆっくり口を開く。


田中「……で?」


武藤「ん?」


田中「このままじゃ、あんたも負けるぞ?」


視線がぶつかる。


田中「そろそろ本気を出せばいいだろ」


沈黙。


そして。


武藤の口元が、ゆっくり吊り上がった。


武藤「……気づいてたか」


ゴキッ。


首を鳴らす。


武藤「本気を出すと、すぐ終わるんでな」


肩を回す。


武藤「なかなか渋っちまう」


ニヤリ。


武藤「……かといって、予想以上にやられちまったしな」


拳を握る。


武藤「このままじゃダセェ」


そして。


武藤は、大きく息を吸い込んだ。


瞬間――


空気が変わる。


ドクン。


武藤の全身の筋肉が、脈打つように膨れ上がる。


腕。


肩。


背中。


そして――胸筋。


まるで岩がさらに巨大化したみたいだった。


圧。


威圧感。


空気そのものが重くなる。


周囲がざわついた。


「な、なんだ……?」

「武藤さんのアレだ……!!」


鷲峰が静かに口を開く。


鷲峰「……あれや」


視線を武藤へ向けたまま続ける。


鷲峰「ボスは、意図的に筋肉をパンプアップする事ができる」


銀次「パンプアップ〜?」


鷲峰「あぁ」


低い声。


鷲峰「これにより、攻撃力は数段上がる」


鷲峰「パワータイプの極みとでも言うべき能力や」


そして。


田中を見る。


鷲峰「テクニックタイプの田中とは――」


目を細める。


鷲峰「尚更、相性が悪いやろうな」


その瞬間。


ドンッ!!!


武藤が突進した。


「ッ!?」


速い。


巨体とは思えない速度。


田中が避けきれない。


咄嗟に両腕を交差して防御。


だが――


バギィッ!!!


衝撃。


次の瞬間。


田中の身体が吹き飛んだ。


ドォンッ!!


壁へ激突。


棚が崩れ、ボウリング玉が転がる。


田中「ガハッ――!!」


銀次「たっくん!!」


銀次が叫ぶ。


空気が張り詰めた。


田中は、壁にもたれながらゆっくり立ち上がる。


そして。


銀次へ聞こえるように笑った。


田中「フッ」


口元の血を拭う。


田中「心配するな銀次」


静かな声。


田中「大したダメージは受けてない」


だが実際は――


響いていた。


腕が痺れている。


内臓も重い。


武藤は、その様子を見て笑う。


武藤「強がりだな」


田中「相棒に心配されることの方が、ダメージがでかいんでな」


小声で言う。


武藤が拳を構える。


再び空気が張り詰める。


だが。


田中は静かに息を吐いた。


そして。


ゆっくり構える。


田中「さて――」


目が細くなる。


田中「では俺も」


静かな声。


田中「“能力”を使わせてもらうとしよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ