第27話 説教
翌朝――白星高校。
教室の中は、朝から異様に騒がしかった。
「おい白夜!!」
「逃げたってマジかよ!!」
「番長が逃走って前代未聞だぞ!!」
教室の中心。
そこには、小さく縮こまる白夜の姿があった。
白夜「だ、だってぇ〜……」
半泣き。
頬をぷくっと膨らませながら反論している。
白夜「相手めちゃくちゃ多かったんだぞぉ〜!?」
そこへ。
ガラッ。
教室の扉が開く。
入ってきたのは星滝だった。
銀髪をかき上げながら、自分の席へ向かおうとする。
すると。
白夜「星滝ぃぃ〜!!」
タタタッ!!
白夜が全力で駆け寄ってきた。
白夜「こいつらがひどいぃ〜!!」
星滝「……はぁ?」
星滝は露骨に嫌そうな顔をする。
だがすぐに、昨日のことを思い出した。
星滝「……で?」
白夜「ん?」
星滝「俺らの仇は、ちゃんと取ってくれたんだよな?」
ピタッ。
白夜が固まる。
白夜「うっ……それは……」
教室が静まり返る。
そして。
クラスメイトの一人が、ぼそっと言った。
「白夜、逃げ帰ってきたんだってよ」
星滝「……は??」
空気が止まる。
白夜「あ、あれは戦略的撤退で――」
星滝「ッ!!」
ドンッ!!
机を叩く。
星滝「お前、あんだけ“余裕や余裕♪”って言ってたやろが!!」
白夜「ご、ごめん〜!!」
星滝「しかも愛嬌二年に囲まれて逃げたって何やねん!!」
白夜「だってぇ〜!!」
白夜が半泣きで叫ぶ。
白夜「なんか大人数で待ち伏せされてて〜!!」
星滝「……あ」
長口たちに白夜が行くことを伝えていた事を思い出し、少し心が痛む。
白夜「あんなにいたら無理だってぇ!!」
クラスメイトたちが頭を抱える。
「終わった……」
「白星の格が……」
「他校に絶対バカにされる……」
星滝は罪悪感を無視して、低い声で言った。
星滝「いいか白夜」
白夜「うぅ……」
星滝「これで俺ら白星は、“愛嬌に全員負けた”ことになるんやぞ」
星滝「この意味が分かるな?」
白夜が急に胸を張る。
白夜「みんな一緒ってことだな!!」
星滝「アホ!!」
星滝「愛嬌にボロ負けしたって噂が広まるんや!!」
星滝「他校から舐められまくるぞ!!」
白夜「でも負けたお前らも悪いからなぁ!?」
星滝「だからって番長が逃げるな!!」
白夜「無理なもんは無理ぃ!!」
「また始まった……」
白星高校の朝は、しばらくその言い争いで騒がしいままだった。




