第22話 白星高校④
1年校舎。
廊下はボロボロだった。
壁にはヒビ。
床には倒れた白星一年たち。
息だけが荒く響いている。
須藤「……はぁ……ッ、クソ……」
仲谷「しんど……今回マジで多かったやろ……」
長谷川「腕痛っ……」
米田「誰やケツばっか蹴りやがって……」
四人とも満身創痍だった。
制服は破れ、頬にはアザ。
だが。
誰一人、倒れていない。
白星一年たちは、全員床に沈んでいた。
須藤が壁にもたれながら笑う。
須藤「……でもよ」
米田「ん?」
須藤「俺ら、前より強くなってねぇか?」
一瞬、静まる。
長谷川が肩で息をしながら笑った。
長谷川「……あぁ」
仲谷「前なら、こんな人数止め切れてねぇな」
米田「確かに……」
須藤「斬念ん時より動けてた」
長谷川「連携もマシになっとったしな」
仲谷「ちょっとずつやけど、強くなってきてる感じするわ」
沈黙。
そして。
全員が、小さく笑った。
ボロボロ。
それでも。
昨日までとは違った。
―――――
2年校舎。
ドガンッ!!
白星二年が吹き飛ぶ。
「ぐぁっ!!」
廊下には大量の白星生徒が転がっていた。
数。
圧。
統率。
その全てで、愛嬌二年が上回っていた。
蟻塚は廊下の真ん中で、腹を抱えて笑っている。
蟻塚「アハハハハッ!!」
兵隊たちが白星を取り囲む。
完全包囲。
逃げ場なし。
蟻塚「やっぱ集団で少数ボコるんって、たのし〜♪」
白星側が顔を引きつらせる。
「こいつ……性格終わってる……」
蟻塚「褒め言葉やなぁ♪」
二年たちは完全勝利だった。
―――――
3年校舎。
静かだった。
あまりにも、一方的すぎて。
白星三年たちは、廊下へ倒れ込んでいる。
対して。
番長直属兵、十人。
誰一人息すら乱れていない。
直属兵の一人が、倒れた相手を見下ろしながら言う。
「言ったはずだ」
別の直属兵が続ける。
「引き返せと」
さらに前へ出る。
「我ら番長直属兵――」
低い声。
重い圧。
「教室には、「「「一歩たりとも踏み込ません!」」」
白星三年たちは、もう立ち上がれなかった。
―――――
中央中庭。
ベンチ。
木漏れ日。
そして。
気絶している白星三年たち。
柳はベンチに座ったまま、眠そうに首を傾げていた。
柳「……で」
柳「この人たち、誰だったの?」
完全に興味がない。
白星側は返事もできない。
柳は小さくあくびをした。
柳「んぁ……眠……」
そのままベンチへごろんと横になる。
数秒後。
スースー。
もう寝ていた。
中庭だけ、戦争が終わった後みたいに平和だった。




