第20話 白星高校②
ドゴッ!!
長口の拳が、一人の腹へめり込む。
「ガッ……!?」
そのまま身体が浮き、後ろの連中を巻き込みながら吹き飛んだ。
だが。
終わらない。
バキッ!!
肘。
膝。
拳。
すべてが重い。
そして速い。
白星一年たちは数だけで押し切ろうとするが、長口は一歩も退かない。
まるで“門そのもの”。
誰一人として突破できない。
「なんやこいつ!?」
「硬すぎやろ!!」
「人間ちゃうぞ!!」
ドゴォッ!!
また一人、宙を舞う。
気づけば。
白星一年の半数近くが、校門前に転がっていた。
窓から見ていた一年たちも、完全に息を呑んでいる。
須藤「……一人でやってんのかよ」
米田「バケモンやろ……」
仲谷「最強の門番……」
銀次だけが楽しそうだった。
銀次「わぁ〜♪ 一人無双だぁ♪」
だが。
その時だった。
ザッ……ザッ……
新しい足音。
校門前の空気が、また変わる。
白星高校の二年30人、三年60人
総勢90人。
一年たちとは違う。
立っているだけで空気が重い。
その中心から、一人の男が前へ出た。
長い銀髪。
鋭い目。
そして、笑っているのに妙に威圧感がある。
男は倒れている一年たちを見て、呆れたように頭を掻いた。
「ダメダメ」
軽い口調。
だが声はよく通る。
「その門番は“三鬼の長口”やー」
白星一年たちが振り向く。
「お前らじゃ相手にもならん」
長口の目が細くなる。
長口「……星滝」
白星三年、副番長――星滝。
星滝はニヤリと笑った。
星滝「久しぶりやなぁ長口」
長口「また面倒起こしに来たか」
星滝「しゃーないやろ」
肩をすくめる。
星滝「最近、“愛嬌一年が弱い”って噂で、大阪荒れとるしなぁ?」
長口「だから乗り込む?」
星滝「祭りには参加したいやん?」
銀次が窓際で笑う。
銀次「なんか知り合いっぽいねぇ♪」
田中は黙って見ている。
空気。
圧。
そして距離感。
(……強ぇ)
星滝が首を鳴らした。
ゴキッ。
星滝「ほな、門番さん」
星滝「今日こそは通してもらうで?」
長口「断る」
一瞬。
空気が張り詰めた。
次の瞬間。
ドンッ!!
星滝が消える。
長口も同時に前へ出る。
激突。
バギィッ!!
拳と拳。
衝撃で校門の鉄柵が揺れる。
須藤「ッッ!?」
米田「やばっ……!!」
互角。
長口が押し込めば、星滝が流す。
星滝が踏み込めば、長口が止める。
まるで怪獣同士のぶつかり合い。
銀次「すごぉい♪」
だが。
二人がぶつかっている、その間。
白星側の二年、三年たちが動いた。
「今や!!」
「中入れ!!」
「校内流れ込めェ!!」
ドドドドドッ!!
集団が、校門脇から一気に雪崩れ込む。
長口「……チッ」
止めるには、人数が多すぎた。
田中の目が細くなる。
田中「突破されたか」
白星の兵隊は、そのまま校内を駆け抜ける。




