第2話 銀次vs北澤
机がガガガッと引きずられ、教室中央に広い空間ができる。
不良たちが壁際へ下がり、ニヤニヤと笑いながら円を作った。
「始まるぞ……!」
「いきなり田中と銀次かよ!」
北澤が首を鳴らす。
バキッ。
北澤「簡単に潰れねぇでくれよ」
銀次「ん〜?」
銀次は首を傾げたまま、ふわっと前へ出る。
小さい。
細い。
だが――妙に怖い。
北澤から仕掛ける
ドンッ!!
床を踏み砕く勢いで突進。
巨体とは思えない速さ。
教室の空気が揺れる。
だが。
銀次「おそ〜い♪」
ヒュッ。
消えた。
「……は?」
北澤の視界から銀次が消失する。
次の瞬間。
トン。
銀次の手が、北澤の背中に軽く触れた。
銀次「ばぁ♪」
北澤「ッ!?」
ドゴォッ!!!
北澤の巨体が教室を一直線に吹き飛んだ。
机を三つ巻き込み、壁に激突。
教室が静まり返る。
「……え?」
「今、何した?」
「見えなかった……」
北澤が震えながら起き上がる。
額から血。
だが目はまだ死んでいない。
北澤「ぶっ……殺すッ!!」
再び突進。
今度は拳を振り上げる。
その瞬間。
銀次の姿が、北澤の懐に入り込んでいた。
銀次「遅いってばぁ♪」
ドッッッ!!!
鳩尾への掌底。
北澤の身体が「く」の字に曲がる。
そのまま膝から崩れ落ちた。
完全沈黙。
銀次「終わりぃ♪」
銀次は何事もなかったように、田中の隣へ戻る。
銀次「たっくん、弱かったぁ♪」
田中「お前が速すぎんだよ」
教室中の不良たちが凍りついていた。
190近い北澤が、まるで子供扱い。
しかも銀次は息一つ乱していない。
その時。
ガタン。
今度は別の席から一人が立ち上がる。
坊主頭。
鋭い三白眼。
腕には無数の傷跡。
「……銀次が化け物なのは分かった」
ゆっくり前へ出る。
「でもよ」
男はニヤリと笑った。
「田中の方がヤベェって聞いてんだよなァ?」
空気がまた変わる。
察知丸が目を細める。
察知丸「アイツは……南山!」
南山が拳を鳴らす。
南山「オレ、“技殺し”なんだわ」
田中「……」
南山「どんな技でも、一発食らえば見切れる」
その言葉に、教室がざわつく。
南山はニヤニヤしながら田中を見る。
南山「つまりよ――」
南山「“真似するだけ”のお前とは、相性最悪って事だ」
銀次「……」
田中は無表情のまま立ち上がった。
そして。
ゆっくり南山の前へ立つ。
田中「面白ぇ」
南山「だろ?」
教室中が固唾を呑む。
一年最強候補同士。
今度は――田中の番だった。




