表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/42

第1話 入学

四月。

大阪――不良高校が街を牛耳る時代。


コンビニの前には制服姿の不良たちがたむろし、商店街には各高校の旗が掲げられている。警察すら、下手に手を出さない。


その中でも大阪で名を轟かせる一校――

愛嬌高校。


退学上等、喧嘩上等。

だが「筋」を通す奴だけが頂点へ行ける高校だった。


校門前。


桜の花びらが舞う中、二人の少年が並んで歩いていた。


田中「……デケェな、愛嬌」


170cm。鋭い目つき。短髪。


その隣を歩く、小柄な少年。


銀次「たっくん、絶対楽しいよぉ。強いやつ、いっぱい居るもん♪」


158cm。華奢。長髪。


二人は幼稚園からずっと一緒だった。


田中「お前、入学式で暴れんなよ」


銀次「えへへ、たっくんがやれって言ったら暴れるよ〜♪」


田中「言わねぇ」


銀次「じゃあやらな〜い♪」


周囲の新入生たちが、自然と道を空けていく。


「……あれ、田中じゃねぇか?」

「マジかよ……」

「“日愛中学最強バカップル”の……?」

「隣のチビが銀次……?」


ヒソヒソとざわめきが広がる。


だが二人は気にしない。


そのまま体育館へ向かった。


―――――


入学式。


壇上には、愛嬌高校を束ねる男たちが並んでいた。


まず中央。


3年B組。

番長――鬼塚。


長身。黒コート。

目だけで場を支配している。


新入生が息を呑む。


その左右には、“三鬼”と呼ばれる怪物たち。


3年A組――成田。

腕を組み、仁王立ちしている。


3年C組――初音。

長髪を揺らし、鋭い眼で新入生を見下ろしていた。


そして最後の一人。


3年B組――長口。

異様に大きい体。普通に立っているだけで威圧感がある。


鬼塚「――この学校にルールは一つだ」


体育館が静まり返る。


鬼塚「強ぇ奴が、上に立つ」


その瞬間、歓声が爆発した。


「うおおおお!!」

「愛嬌ォォ!!」


鬼塚はニヤリと笑った。


鬼塚「退学したくねぇなら、生き残れ」


―――――


ホームルーム。


1年A組。


田中と銀次が扉を開く。


ガラガラ…


教室内には、すでに喧嘩腰の連中が集まっていた。


金髪。リーゼント。刺青。

普通の高校とは空気が違う。


田中と銀次は窓側の後ろ席に座る。


銀次「たっくん、隣だぁ♪」


田中「当たり前みてぇに来たな」


銀次「えへへ♪」


その時。


前の席のひょろっとした男が、椅子をくるっと回した。


丸メガネ。細い目。

だが妙に落ち着いている。


察知丸「お前ら、田中と銀次だろ?」


田中「……誰だ」


察知丸「オレは察知丸。情報屋だ」


銀次「情報屋さん?」


察知丸「愛嬌高校の勢力図くらい知っといた方がいいぜ」


教室内の不良たちも耳を傾け始める。


察知丸「まず番長――3年の鬼塚。愛嬌の頂点だ」


田中「へぇ」


察知丸「同じく3年の三鬼は、成田、長口、初音。三人とも単独で並の学校なら潰せるレベルだが、番長に絶対の忠誠を誓っている」


銀次「わぁ、強そう〜♪」


察知丸「あと……柳」


教室の空気が少し変わる。


察知丸「アイツはヤバい。2年だが、1年の頃に当時2年だった鬼塚と引き分けてる」


教室がざわつく。


「は!?」

「マジかよ……」


察知丸「それ以降、二人は決着がついてない。だから“次の番長候補”って言われてる」


田中「……」


察知丸「他校もヤベェぞ。兵庫の“修羅工業”、京都の“黒百合”、奈良の“餓狼学院”……関西は戦国時代だ」


銀次「楽しそう〜♪」


察知丸「……お前ら余裕だな」


その時だった。


ガタン!!


教室の中央で椅子が吹っ飛ぶ。


リーゼントの男が立ち上がる。


「おいおいおい!!」


別の男も叫ぶ。


「田中と銀次って、あの二人だろ!?」


「日愛中学の最強バカップル!!」


「マジならA組のトップ決めるしかねぇ!!」


ドン!!

ドン!!

机が蹴り飛ばされる。


教師はもう居ない。

止める奴も居ない。


これが愛嬌高校だった。


リーゼントの男が前に出る。


大柄。190近い。


「オレァ1年A組の頭になる男、北澤だ」


田中「……」


北澤「田中ァ!! まずお前からだァ!!」


銀次がスッと立ち上がる。


銀次「たっくんに触るの、ダメだよぉ?」


その瞬間。


教室の空気が凍った。


北澤「……チビ、お前から潰すか?」


銀次「やってみるぅ?」


田中は静かに立ち上がった。


田中「……入学初日から騒がしいな」


クラス中の不良たちが笑いながら机を下げる。


円ができる。


1年A組。


最初の頂点決めが、始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ