第18話 兼持②
1年A組。
ガラッ。
教室の扉が開く。
田中と銀次が戻ってくると、A組の連中が一斉に視線を向けた。
「お、帰ってきた」
「どうだった?」
「兼持ってマジで強ぇのか?」
銀次は自分の席へぽすっと座る。
銀次「ん〜……変わった子だったぁ♪」
田中も椅子を引いて腰を下ろす。
田中「不良嫌いらしい」
「愛嬌にいて不良嫌いってなんだよ……」
「そもそもなんでこの学校来たんだ?」
銀次「セレブ校行きたかったんだってぇ♪」
「「「場違いすぎるだろ!!」」」
教室に笑いが起きる。
だが察知丸だけは腕を組み、少し真面目な顔をしていた。
察知丸「……でも妙だな」
田中「何がだ」
察知丸「“キレたら強い”タイプってのはいる」
察知丸はメガネを押し上げる。
察知丸「でも、斬念の実行部隊10人を一人で返り討ちってのは、普通じゃねぇ」
銀次「確かにぃ♪」
銀次は机に頬杖をつく。
銀次「気配は弱そうだったのにねぇ」
田中はふと、兼持の目を思い出していた。
怯えていた。
だが。
“金”の話になった瞬間だけ、別人みたいに空気が変わった。
田中「……多分、条件付きだ」
察知丸「条件?」
田中「あいつ、金絡みだけ異常なんだろ」
銀次「あぁ〜♪ ありそう〜♪」
A組の男子が苦笑する。
「なんだよその能力みたいなの」
「金で覚醒するとか意味分かんねぇ」
すると銀次が、にこっと笑った。
銀次「でもさぁ♪」
全員が銀次を見る。
銀次「愛嬌って、そういう変なの多いよねぇ♪」
一瞬静まる。
そして。
「……否定できねぇ」
「お前が言うな」
「一番変なの銀次だろ」
ドッと笑いが起きる。
銀次「えぇ〜!?♪」
田中は小さく息を吐きながら窓の外を見る。
昨日までとは違う。
一年全体の空気が、確実に変わり始めていた。
斬念との抗争。
兼持という未知数。
そして、“愛嬌一年は強い”という自信。
全部が混ざり合いながら、一年たちは少しずつ一つになり始めていた。
その時だった。
ガラッ!!
A組の扉が勢いよく開く。
「田中!! 銀次!!」
入ってきたのは、息を切らした須藤だった。
須藤「今度は別の高校が動いた!!」
教室の空気が、一瞬で張り詰める。




