第10話 襲撃
翌朝。
田中と銀次が並んで登校してくると、普段より早い時間にもかかわらず、1年校舎の廊下で生徒たちが固まっているのが見えた。
銀次「ん〜? なにかあったのぉ?」
田中「……騒がしいな」
近づくにつれ、会話の断片が耳に入る。
「昨日の夜らしいぞ」
「外でやられたって……」
「しかも一年のやつだけ狙われたとか」
田中の足がわずかに止まる。
田中「外?」
輪の中心にいたB組代表の須藤が、顔を上げた。
その表情はいつもの喧嘩腰じゃない。
明らかに苛立ちと警戒が混ざっている。
須藤「お前ら来たか」
銀次「おはよぉ〜♪」
須藤は軽く頷き、すぐに本題へ入る。
須藤「昨日の夜、うちの一年が外でやられた」
C組代表の米田も横から続ける。
米田「学校帰りとか、コンビニ寄った後とか……バラバラだが、狙い撃ちだ」
D組代表の長谷川も憎しみをこめながら
長谷川「全クラスで合計13人がやられた」
E組代表の仲谷は腕を組んだまま低く言う。
仲谷「で、やられた奴らは病院行きだ」
その一言で空気がさらに重くなる。
銀次「病院……」
銀次は少しだけ目を細めた。
須藤「骨やられてるやつもいる。普通のケンカじゃねぇ」
米田「完全に“潰し”だな」
長谷川「しかも、こっちが何も仕掛けてねぇ状態でだ」
田中は黙ったまま話を聞いている。
表情は変わらない。
だが空気だけがわずかに冷えていた。
銀次「ふぅん……」
銀次は軽く首を傾げる。
銀次「じゃあ、たまたまじゃないんだねぇ」
田中「違うな」
短く言い切る。
田中「狙ってる」
その言葉に、須藤たちの顔が引き締まる。
米田「やっぱそう思うか」
長谷川「このタイミングでか……」
須藤は一度息を吐き、田中を見る。
須藤「で、どうする。1年代表のお二人さん!」
田中はしばらく黙っていた。
校門の方を見る。
その先にある“外の世界”。
そして淡々と言った。
田中「……やられたままにはしねぇだろ」
銀次「うん」
銀次は即答して笑う。
銀次「やった人、見つけなきゃねぇ♪」
その笑顔はいつも通りだったが、さっきより少しだけ温度が低い。
須藤は小さく笑う。
須藤「……だよな」
仲谷「滅ぼしてやる」
米田「まぁ、うちはそういう学校だしな」
長谷川「じゃあ決まりだな」
誰も止めない。
田中はカバンを肩にかける。
銀次もその横に並ぶ。
銀次「たっくん、今日ちょっと忙しくなりそうだねぇ」
田中「あぁ」
校門の外に視線を向けながら、田中は一言だけ言う。
田中「遊びじゃ済まねぇな」




