ローリーの家にて、、、
暗い森を抜けローリーは、懐かしい故郷に戻ってきた。 子爵様の館が見え、その隣の街、街には大量の木材が積まれていたが、人影はまるでなく、町全体が死んだように静寂に包まれていた。
街を少し抜けたところに、ローリーの家があった、以前はクリーム色がかった綺麗な家だったが、手入れがなく、木が腐ってしまったような、くすんだ、何か不気味な家に変わっていた。
お金はなくても、人を暖かく迎えたいと、薄暗くなると、門灯の明かりを欠かさない家だった。
その門灯も時々思い出したようにつき、そして消え、その家の不気味さを一層深くしていた。
はたして家族は今でもここに住んでいるのだろか?
父が泣きながら私の勘当を言い渡した時、家族の皆は泣いていた。
母は私にすがって泣いていた。 お前はお前は悪くないと、、、、私は、風魔法があるので、除隊して皆のもとに帰り木材でも運ぶ手伝いをしようと思ったがまさにその時、侯爵家より圧力がかかり父に男爵家を勘当されてしまった。 私の片足をだめにして、なおかつ、私や家族をを苦しめる公爵家の息子を私は長年恨んできた。 勘当されて以来戻ることも出来なかった、懐かしい我が家であった。
私がドアと叩くと、年老いた執事が出てきた。 私が子供の頃からこの家にいた、忠実な執事であった。 執事は私に気づくと、母を呼んでくれた。
母はなにもいわず、私を抱きしめてくれた。
私は隊をやめたことを、聖剣士さまのいる北の子爵領に行くことを、母に話し、父上に別れの挨拶がしたいと母に言った。
母は少し困った顔をして、2階の執務室に歩いて行った。 部屋は何処も薄暗く、上空から見た屋敷を見た時、2階の父と兄のいる書斎に僅かな明かりがついているだけだった。
父と兄はローリーが国防軍をやめ、北の子爵領に行くと言う話を聞いて、強い魔獣の多い北の砂漠の領でローリーは大丈夫なのかと心配したが、自分は彼を勘当した身なので今更会えない。 兄も今男爵家の状態を知れば、あいつにも負担がかかる。 今日も書斎で金の算段をしていた。
もう、自領で伐採した、オークで作った自慢の家具もすべて売ってしまい、お金になりそうな、めぼしい物は何も残っていなかった。
この魔法の作動で作られた家の機能はもうすぐすべて魔石が買えないためすべて消える。
「儂は逢えんが、あいつの好きだった茶でも出してやれ、それと、、、」ローリーの父親はごそごそ、机の中を探し、小さな封筒を出した。 中には10万ギガほどの金がはいっていた。
兄は「それは、明日、借金取りに支払う我が家に残った最後のお金ではありませんか、これがなかったら、、、」と言ったが、父は笑って「いいじゃないかどうせこの家は、もう終わりじゃよ、遠いところに行く息子にせめてもの餞別じゃ」と言った。 「そうですね、もう終わりですね」と、ロイドは泣き笑いした。
母は暗い顔をして、2階から戻り、「お父様とロイドは今大切な話をしていて、今更勘当したお前には会えない」と言っている、お茶を飲んだら、この封筒を持ってこの館を去りなさい」と泣きながらローリーに話した。 これは父上から私にくれた最後の品、私は封筒を胸に入れた。
ローリーはせめて、すぐ上の兄のライドに会いたいと言ったが、彼は子爵領に行っていると、言った。
母はうっかり「子爵領は国に税金が払えなくて、近くバジル家はとり潰しになる」と口を滑られた。
そして、また泣き始めた。 私は母を抱きしめて、最後に残った茶を飲んで、静かに部屋を去った。
玄関のところで執事に魔石と金貨の入った、大きな皮の袋を渡し、これを父上に渡してくれ、と言付けて館を重い足を引きずり、去った。
飛び立つ時、2階の窓を見ると、父上と兄上が窓を開け空を見上げ、私の飛び立つところを見送ってくれていた。 私は空高く、父上、兄上に見えるよう、飛び立った。
ローリーが飛び立ってしばらくすると、ローリーのすぐ上の兄、ライドが戻ってきた。
彼は子爵領に行ったが、お金のことは言い出しかね、すこし友人のリチャードと話して戻ってきた。
リチャードもやはり自分と同じ暗い顔をしていたので、あまり話すこともなかった。
ドアの前に立つと、執事が玄関から、駆け寄ってきて「今、下の坊ちゃんが戻ってきて帰られました」と
言った。 ライドが空を見上げたが、ローリーはすでに飛び去った後だった。
隊を辞め、北の聖剣士様の領に行くのか? ローリーはいつも聖剣士様のことを自慢していたからな、と弟思いのライドは思い出していた。 執事は大きな革袋を差し出し「これをご主人さまに渡してくれるよう、仰せでした」とライドに渡した。 ライドは「なんか重いけど、いらなくなった制服や防具でもはいっているのかな?」と苦笑いしながら、父親の書斎に入っていった。
ライドが書斎に入りしばらくすると、2階から唸るような、3人の男の声が聞こえてきて、母はその声に驚き、2階に駆けあがり、3人の前にあった机の上に山のように積まれた金貨と見たこともないような魔石とともに、たくさんの魔石をみて、悲鳴のような声をあげた。
3人は袋の中に会ったローリーの短い手紙を読んだ。 そこには、(この金貨は聖剣士様から頂いたお金で何ら、怪しいお金ではない、皆の生活のため使ってほしい、魔石は聖剣士様とその息子ジェラルド様、大尉カルロス様の贈り物で、特に尋常でない輝きのある2つの魔石は300年魔力がきれない膨大な魔力をひめているため、皆で相談して使ってくれるように)と書いてあった。
ライドはその魔石に吸い込まれるように手を置いた。 手が光り、一気に自分の魔力が上がっていくのを感じた。 試しに机を動かしてみると、机が宙に浮き、指一本で動いた。
続けて、父も兄も魔石にさわってみたが、膨大な魔力が魔石から体にはいり、手が光り、2人にも強い水色の光線が出ていた。 ついに、色なしと言われつづけた父は、大きな声で泣きだした。
ふいに父はローリーと呟いた。 そのつぶやきは、彼が起こした風によって消えていった。




