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土魔法の令嬢  作者: 雪風花


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愛と怒りの王都、黄金の翼

ローリーはまだ、あたりが薄暗い内に、すこしでも早くポーションをミッシェルに届けるため

カルロスの家を出た。

王都まで、約3時間、疾走に近い状態でまだ明けきれぬ朝靄の中を力の限り飛んだ。

王都のギルドに着いたとき、胸のドキドキ感が半端なかったが、ミッシェル、カルロスそして、アーノルドの顔を思い出し、覚悟をきめた。   窓口で上級ポーションを買いたいと受付嬢に言った。

自分のみすぼらしい姿を見て、受付嬢は怪しんだが、袋の中一杯の金貨を見せると、受付嬢は、奥にいるギルドマスターを呼んだ。  ローリーは呼吸を整えて、上級ポーションがほしいと、袋を見せながらギルドマスターに言った。  ギルドマスターは、ローリーを奥の部屋に連れて行き、受付嬢はお茶をもってきた。  茶を飲んでいる間に鑑定士がきて、彼の持ってきた金貨を確認した。

ポーションは王都のギルドに3本あったが、ローリーは、そのすべてを求めた。

高級ポーション3本で3億ギガ、手元には3億ギガ以上の金貨が残った。

ポーションを受け取りギルドの皆に最敬礼され、ギルドを出た時、ローリーは腰の感覚がなくなるほどの、衝撃に襲われた。 冒険者数人から背後から蹴られたのだ。  彼等はギルド前職員の最敬礼をみて、ローリーの持っている、ポーション、現金を奪ってやろうと、狙っていたのだ。 

足を引きずりながら、彼はなんとか、気絶しまいと、必死だった。

彼等が、袋に手を掛けようとしたとき、わずかなスキをつき、空に大きく舞い上がった。

蹴られた腰は酷く痛かったが、カルロスの顔を思い出しながら、空を飛び続けた。


かならず、ポーションをカルロスに届けると、、、幾度も痛みで気が遠くなりそうになったが、ポーションを待っている皆の顔を思い浮かべ、飛び続けた。  それが、自分のために隊を追われ、治める領地も取られたカルロスへの贖罪であった。   自分はなぜあの時、防御だけで、反撃にでなかったのか?

たとえ公爵の令息に逆らい自分が死罪になっても、あんな結果になるなら、そのほうが良かった。

ローリーは、もうあの件で縁切りになった、父、母、兄弟の顔を思い出した。

やはり、侯爵には逆らえない。  反撃することはできなかった。 

ローリーは鋭い腰の痛みにあがらうように、貴族社会に対する怒りで、自分の持てる全魔力で空高くとぶのであった。 

 誰にも、大切なポーションが奪われないように、、、、


そのころ、カルロスの家のベランダで、空を見上げ、アーノルドはローリーを待っていた。

カルロスは医者を呼び、孫のミッシェルのベッドのそばに付き添っていた。

アーノルドがローリーの姿を確認すると、ローリーもわかったようで、ふらふらと地上に舞い降りた。

そして、抱えている袋をかばうように、腰から、落ちた。

それをベランダで見ていたアーノルドは驚いてローリーのもとに駆けよった。

ローリーは薄目を開け、隊長、無事任務は、完了しました。  それだけ言うと、彼は意識を手放した。


ローリーが意識を回復したとき、彼はカルロス大尉のベッドに寝かされていた。

アーノルドはローリーによくやったと、昔通りの口調で微笑みかけた。

ローリーが目覚めたことを待っていたかのように、医者がミッシェルにポーションを一本飲ませた。

ミッシェルはみるみる顔色が良くなり、頬にはうっすら、赤みが戻った。

医者は彼の体を丁寧に確認して、熱も下がったし、明日念のため、ポーションをもう一本飲めば、完全にこの病は治る、と 太鼓判をおした。  カルロスは泣いていた。  孫に頬ずりして、病気の回復を喜んだ。  ローリーもベッドの上で泣いていた。

医者はついでに、ローリーの腰を見て、10日間ほどの安静が必要だと言った。

アーノルドはそんなローリーを見て、ここで、しばらくカルロスの世話になれ、腰がなおってから、ゆっくり、子爵領に来ればよい。と言った。

ローリーは結局カルロスさんに、また、迷惑をかけてしまった、と泣き笑いをして、カルロスに笑われた。  カルロスにこんな状態になってまで、よくポーションを守ってくれた。これからは、孫と私で、ローリーの世話をすると言って、笑った。   ミッシェルはむっくり起きて、お腹が空いたと言った、それには、皆が大笑い。   カルロスはあらためて、アーノルドに頼んだ。

自分もローリーと共に孫を連れて子爵領に行ってもよいか?

アーノルドは首を長くして待ってると、答えた。

ローリーは改めて、袋の中の金貨をアーノルドに返した。

これはカルロスさんに渡すために持っきた。  この金がカルロス大尉の役に立つなら、嬉しいとカルロスに袋を押し付けた。  医者は残りのポーションの一本を、知り合いに重病人がいるので、ぜひとも譲り受けたいと申し出た。  アーノルドは、カルロスさんが決めればよいと言った。

カルロスは、毎日ローリーの様子を完治するまで、見に来ること、を条件に半値で譲ることをきめた。

アーノルドから譲り受けた莫大な金は、ローリーと半分づつ、受け取ることに決めた。

 

こうして、アーノルドは2人の友を自分の領土に迎えることになった。


その日の夜、眠りにつく前、アーノルドは、恩人カルロス先輩のお孫さんの命を救った金の塊を出してくれた、愛娘レイナと、偉大な土魔法を授けてくれた女神様に改めて感謝するのであった。




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