懐かしい街
マチスは豪華馬車の旅を楽しみながら、息子達と子爵領に戻ってきた。
伯爵領のギルド付近で一度馬車を降り、食事を楽しみ、明け方頃、この子爵領に帰ってきた。
伯爵領の森を抜け、徐々に砂が多くなり、その向こうに砂の街が蜃気楼のように現れた。
末っ子のビリーは懐かしさで涙を浮かべていた。
長男のミゲルはこの子爵領で、仕事を始める、決意にみちて、あらためて街を眺めた。
食いしん坊のハロルドは、伯爵領で買いこんだ大量の食料品を眺めていた。
街は昔ながらの景色で、店に着くと、昔のままの仕事部屋でマチスは、今日の予定を告げた。
朝食をとったら、しばらく休み、この街の子爵様のところに、挨拶に行くぞ。
もう一つ、お前たちの家を購入するつもりだ。 この街には多く空き家があるが、すべてこの街の子爵様が管理しておられる。 街を出る人達のために、子爵様は、餞別金を出し、決まりをもうけ、10年以上戻らない家に関しては家の放棄を認めると言う証書を作った。 ときどき、子爵邸に手紙や、家に戻ってくる人達に関しては、餞別金を返還してくれれば、家の権利を残すという、ことになっているが、もう10年以上戻らない家もたくさんある。 この店から近いところにまだ住めそうな家を探すことにしよう。 ビリーは父親と今までどうり住みたいと言ったが、マチスはいずれ息子達も自分から独立することも考えていた。
午後は、仕事の依頼のあった、子爵邸に皆で挨拶に行く。
あちらの家族は皆、この世の物とも思えないほどの美形であるが、失礼のないよう、きちんと挨拶すること、、、その後、子爵領の庭にて、仕事のうち合わせをする。
あたりが明るくなると、皆で子爵様たちの街の魔道具屋を訪ねた。
普段は、ガランとしている魔道具屋は活気にあふれ、職人たちが忙しくは働いていた。
家のことは、自宅に帰り、調べたら、連絡するとのこと、 近くというと、店の両隣もそろそろ10年になると、了承してくれた。 ゆっくり話すこともないほど、忙しい様子に息子たちは、驚いていた。
もう一つ驚いたことに、魔道具屋のそばにある高級ドレス店に一般の市民達が多く出入りしている。
男も女もなぜか店に吸い込まれるように、入っていく。 この街はこれから生まれかわるのかも、しれない、とミゲルは思った。
いよいよ、馬車で2時間ほどの子爵邸に行くことになった。
馬車が少し進むと、父、マチスが言っていたように、砂漠の中に聳え立つような石の山があらわれた。
3人の息子は、あらためて、これからの仕事に意欲を燃やすのであった。




